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猫探し 5

「薬師寺さん、ちょっとなんかもう私にはどういうことなのかよく分からないんだけど」

 手で額をおさえながら川谷が話に割り込む。

「もしも茅場さんの家にタビがいたならそれって保護してくれてたってことだよね? だって家から脱走したのはタビの意思だもん。誰かのせいってわけじゃない」

「そうですね。彼女がタビちゃんを見つけたのは偶然だったのだと思います」

「なら、私としてはタビは見つかったんだしもうしいいよ。そりゃ早く言ってほしかったとは思うけど、切り出すタイミングをのがして言い出しづらくなっちゃったのかもしれないし……。追いつめるようなことはしなくていいよ」

「川谷さんは優しいですねえ。そう思いませんか茅場さん。どうです? 心、痛みませんか? 本当のことを話したいなあって気持ちになってきませんか? でも、言えないですよね、だって、」

「やめて!」

 茅場は悲痛な叫び声をあげた。大声を出すことに慣れていないのだろう、その声はかすれて歪な音をしていた。

「すみません。私、マコトくんに解決すると言ってしまったのでやめられないです」

 ぎろりと茅場に睨まれる。

 頼んだのは確かに自分だが、こんなことをしろとは言っていない。慌てて小刻みに首を横に振ったが効果はなかった。

 ブランコをこぐのを止めて、もったいぶるようにゆっくりとミソラは真実を告げた。

「川谷さんをストーカーした帰り道にタビちゃんを見つけてしまっただなんて、とてもじゃないけど言えませんよね」

 川谷の口から「は?」とまぬけな声がもれた。茅場は川谷から顔をそむけるように俯いている。

 茅場がタビを見つけたのだとして、その場合確かに疑問が一つ残っていた。

 彼女は本来であれば川谷家の近辺に立ち寄る用事はないはずなのだ。大学からここまでは電車で四十分かかり、茅場自身の家は真反対の方角にある。

 買い物をするにしても何をするにしても、わざわざここまで来る理由はないはずなのだ。

「薬師寺さん、ちょっと、冗談にしては笑えないよ、だって、茅場さんだよ? どうして友達の茅場さんが私なんかをストーカーするの? 大学で会えるし、連絡先だって知ってる。後をつけたりしなくてもいくらでも会って話ができるのに、そんな。それに私たち二人とも女だし、女の子が女をストーカーしたりしないでしょう?」

「あら川谷さん、思春期の女の子から好かれそうな雰囲気をお持ちなのに女性から好意を向けられたことはなかったんですか?」

「それは……あるけど……」

「なら分かるはずですよ、好意にも執着にも性別は関係ないんです」

 交わされる会話は聞こえているだろうが、茅場は微動だにせず俯いたまま固まっている。

「いや、でも、例えば好きだったとしたって、それにしたってストーカーをする必要はないでしょう? だって日常的に学校で会うし、会えば挨拶くらい普通にするし、話だってする。わざわざ後をつけたりする意味が分からない」

「人間の全てが意味のあることだけしかしないなら、世の中の犯罪件数は今よりもずっと少なくなるはずですよ。理性が勝つのならそもそもストーカー行為はしません。川谷さん、あなた、人の執着心というものを侮りすぎているのではないですか? 人の感情って時にとっても怖くてコントロールのできないものですよ」

「茅場さんがストーカーだという前提で話すのはやめて。そもそもタビが茅場さんの家にいたっていうのも薬師寺さんの憶測でしかないんでしょう? さっき証明も証拠も関係ないみたいなこと言ってたけど、私はそれは必要なものだと思う。個人の憶測だけで人に罪を押しつけてしまっては冤罪がうまれてしまう。薬師寺さんが何を知っていて何を理解しているのかは分からない。でも、憶測で決めつけるのはよくないことだと思うんだけど、違う?」

 冷静で理知的なまっとうさが川谷の言葉にはあった。

「まあ、聞きましたか? 茅場さん。あなたが川谷さんを好きになる気持ちも分かるような気がします。優しくて高潔で素敵な人ですね。女の子が理想に描く王子さまみたい」

 ぴくりと茅場の肩が動く。

「…………めて」

 低いうなりのような言葉だった。

「本当に素敵な人ですよね、川谷さん。わけへだてがなくて、公正で、偏見で人を見ない。心が弱っているときに川谷さんに思いやりのある言葉をかけられでもしたら、私も好きになってしまうかもしれません」

「もうやめて!」

 痛々しい声をあげると、茅場は噛みつく直前の野良犬のような目でミソラを睨んだ。

「私の、私の気持ちを勝手に語らないで、私の感情に踏み入ってこないで! さっきから無神経なことばっかり言って! あなたに一体何が分かるの! 私のこと何も知らないくせにべらべらえらそうに!」

「あなたと川谷さんの間にあった思い出なんかは私は一つとして存じ上げませんが、あなたが何をしたかは分かっていると先程お伝えしたじゃないですか。ねえ茅場さん、本当に理解できていないんですか? ストーカー行為は立派な犯罪ですよ。あなたが女性であるからって許されはしません。男が女をストーカーしようと、女が男をストーカーしようと、男が男を、女が女をストーカーしようと罪状には関係ない。どれも等しく犯罪です。加害に至る好意に美しさはありませんよ」

「私の好きを他人のあなたが否定しないで!」

 川谷の切れ長の瞳が大きく見開かれた。

 彼女の今の言葉は告白と同義だ。

「否定はしてませんよ。ただあなたがしたのは犯罪行為だと言っているだけです」

「証拠もないくせに勝手なことを言わないで!」

「証拠ですか? そうですねえ、では、あなたのスマホをお貸しいただけますか?」

「……なんであなたに私のスマホを見せなきゃならないの」

「篠原という名前のアカウントはあなたですよね? それとももう消してしまいましたか? 消したところでやろうと思えば特定もできますが、面倒なので今確認させてください」

「……嫌」

 小さな声で拒否されるとミソラはとても嬉しそうに笑った。

「浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき」

 突然そらんじられたそれが誠には短歌であることしか分からなかったが、茅場にはその一文だけで意図が伝わったようで驚愕の眼差しをミソラに向ける。

「忍んでも忍ばせきれないどうしようもない恋心を歌った情緒あふれる一句ですね。百人一首の中にある文字と自分の名前を重ねて想いをさりげなく伝えるなんて、文学部の鏡です。素晴らしいセンスだと思いますよ」

「最低!」

 真っ赤に染まった頬のうえを涙がぼろぼろとこぼれていった。

「それは肯定ということでよろしいのでしょうか」

 涙を流す茅場を見てもミソラは一向に気にとめない。

「最低、信じられない、なんでこんなことができるの、なんでそんなにデリカシーがないの、人の気持ちをなんだと思ってるの」

 幼さのあるなじりの言葉を聞いて、仕方ないとでも言いたげにミソラは軽く息をつく。

「好きってそんな簡単にあばいていい感情じゃないでしょう? 誰だって誰にも触れられたくないほどに大切な気持ちがあるってことがどうして薬師寺さんには分からないの? 川谷さんは私の神様なの。川谷さんだけが私を見つけてくれたの。いてもいなくても誰も気にとめてもらえなかった私のことを見つけてくれたの。声をかけてくれたの。川谷さんがいたから私は大学に居場所ができた。だから、だから私は、私は、だって、だって……大学を卒業したら川谷さんとはもう会えない。わざわざ私と会ってくれるわけない。だって私なんていっぱいいる友達の中の一人でしかない。川谷さんの友達に順番をつけるなら私は下の方なんだって分かってる。休日に遊びに行ったこともない。大学で会えば話をする程度の友人。でも今まではそれだけでも充分だった。川谷さんの視界の端っこだけだとしても自分が彼女の目にうつってるだけでよかった。なのにそれすらあと少しの時間で失われてしまうと思ったら、身体が勝手に動いてた。大学から出て行く彼女の後をつけて、同じ電車に乗って、同じ駅で降りて、帰り道を歩く背中をずっと見つめてた。駄目だって分かっててもどうしようもなかった。一秒でも長く彼女を見ていたかった。タビちゃんを見つけた時、チャンスだって思った。川谷さんと今よりも仲良くなるチャンスだって思った。でも、私があそこにいた上手な理由を思いつけなくて、話しかけられなかった。そうしている内にあなたたちがやってきた」

 涙が流れた筋が残る頬をそのままに彼女は話し続けた。

「喫茶店で川谷さんがストーカーの話をした時。ぞっとした。ばれちゃいけないって思った。どうしようってそればかりをずっと考えていた。真中さんのことが怖かった。いつか私の家にいるタビちゃんを見つけちゃうんじゃないかって思うと怖くて仕方なかった。川谷さんに嫌われたら私はきっと死ぬより苦しい。怖かった。だって好きだから、本当に好きだから。タビちゃんが見つからなくて憔悴していく川谷さんを見ているのは罪悪感で胸がつぶれそうだった。でも、言い出せなかった。だってタビちゃんが見つからなければ毎日川谷さんと一緒にいられる。川谷さんのいっぱいいる友達じゃなくて私と一緒にいてくれる。嬉しかった。幸せだった。こんなに長時間一緒にいられたことなんてなかったもの。永遠に続けばいいとすら思った。けれどこれ以上長引かせるのは難しいってことは分かってた。だからちゃんとタビちゃんを返した。……理性が勝つならストーカー行為はしないって薬師寺さんは言ったよね。でも感情が自分でコントロールできるような恋なんて私は知らない。恋ってそういうものでしょう?」

「あなたの気持ちを私に聞かれても困りますよお」

 ばっさりとミソラは茅場の言葉を切って捨てた。

 彼女が話している途中、ミソラはふよふよと前を横切っていった蝶々を目で追っていた。知っていることを説明されているのは退屈だったのだろう。

「私は相談にのれるほど恋に詳しくはないのですが、あなたはあなた自身の感情に酩酊しているだけだと思います。それに、好きだからといって何もかもが許されるわけではありません。好きは免罪符になりやしないんですよ」

「そんなこと言ってない! 許してなんてみっともないこと私は言ってない!」

「そうとしか聞こえない言葉ばかり吐いておきながら面白いことを言いますね」

 微笑みをたずさえているのに、ミソラの言葉には一片の優しさもない。

「あなた、いつもそうなんじゃないですか。自分がどうしたいかは口にしないくせに雰囲気で人に察してもらいたがる。それ、とってもずるいですよ。先に相手に口にしてもらえば自分では責任をとらなくてすみますからね。受動的でいるのはとっても楽ですよね。でも、声をあげない人間は本当なら誰にも見てもらえないんですよ。楽をする代わりにあなたは自分で自分を一人にした。いてもいなくても気づかれないんじゃなくて、自己主張をしないから気づいてもらえないだけです。自業自得ですよ」

「ひどい」

「よく泣く人ですねえ。泣いたってあなたは加害者です。被害者にはなれませんよ」

 あまりの慈悲のなさに茅場の涙も止まったようだ。人でなしとでも言いたげな目をしている。

「薬師寺さん、あなたおかしいよ」

「そうですか? はたから見ればおかしいのはあなたの方だと思いますけど」

 誠には茅場の気持ちも少し分かる。一切の感情を排除し人を判断するミソラの姿は、感情を優先する人からすれば違う生き物のようにすら見える。

「おかしくないおかしくない私はおかしくない! 私の気持ちが分からないあなたの方がおかしい!」

 彼女は多分、もうどうしようもないのだろう。

 隠しておきたかった何もかもがあばかれてしまったショックで、自分の発言に正当性がなくとも必死に自分を肯定しなければ立っていることもできないのだ。

「茅場さん」

 頭から冷水をかけるようにミソラは突き放す。

「あなた今、川谷さんの顔は見えていますか?」

「あ……」

 難しい表情で川谷はずっと彼女の独白を聞いていた。それは怒りをおさえているようにも、不快感を覚えているようにも、悲しみをたずさえているようにも見える。

「ごめんなさい、ごめんなさい違うの違う。好きで、私、本当に、川谷さんのことが好きで、だから、違うの、わたし」

 眼鏡が落ちそうなくらい茅場は何度も首を横に振った。

「好きになってもらえたのは嬉しい」

 涼やかで冷静な声で彼女は言った。

 背筋を凛と伸ばした川谷の立ち姿は、彼女の心をうつしとったようだった。

「さっきも言ったようにタビのことはもういい。保護してもらえたおかげで事故にあわずにすんだのかもしれないし、黙っていたことには目をつむる」

 一筋の救いが垂らされたように茅場の目に光が戻る。けれど、次の言葉を聞いた瞬間に彼女の希望は絶たれた。

「けれど知ってしまった以上、あなたとこれからも友人でい続けることはできない」

 膝の力が抜けたのか茅場はぺたんと地面に座り込んだ。

「タビを隠していたからじゃない。ストーカー行為をしたからじゃない。茅場さんが私を少しも信じてくれていなかったから、私はもうあなたと友人でいるのは難しいと思った」

 意味を問うように茅場は静かに言葉を投げかけている川谷を見つめる。

「こんなことが起きる前に気持ちを伝えてくれていたのなら私は返事をちゃんと考えたよ」

 ゆっくりと諭すように彼女は丁寧に話した。

「それが真剣な気持ちであるのなら、同性だからといって冗談みたいに扱ったりしない。馬鹿にしたり、引いたりもしない。勇気を出して伝えてくれたのなら、私はきちんと考えてあなたと向き合うはずだった」

 だった。という過去形があり得たかもしれない未来が失われたことを示していた。

「私のことがあなたには一体どんな風に見えていたの? 人の気持ちを馬鹿にするような人間だと思ってた? それって私を信じていなかったってことだよ。ねえ茅場さん、本当の私は神様なんかじゃない。友達に順番をつけてもいない。あなたと私は対等だったんだよ。友人だった。卒業した後だって私はきっとわざわざ会ったよ。……茅場さんが頭の中で勝手に私を判断しなければきっと私たちはこれからも友達ではいられた。それを全部あなたは否定した。自分の頭の中の私を信じて、現実の私を信じてくれなかった。フィルターを通した私じゃない誰かを見ていた。私はそれが一番悲しい。あなたは私を見ていたわけじゃないってことだから」

 茅場にとっての川谷は偶像だったのだろう。

 信仰対象とは友人になれない。だから、そういうことなのだ。

「ごめんなさい。現実の私は寛容な人間ではないから、今までのように接することはできません」

 美しい一礼をし、川谷が離別を告げる。

 細く細く甲高い絶望の嘆きが茅場から聞こえた。


 置き去りにするわけにもいかないので茅場をタクシーに乗せて帰した後、お礼を言う川谷と別れ誠たちはミソラの家に帰宅した。

「ミソラさん、どうしてあんなに茅場さんを煽ったの」

 自分が口を出したところで悪手にしかならないため黙っていたが、今日のミソラは陰険なやり口だった。

「すごいです」

「……何が?」

 ぽつりとこぼされた一言は、普段のふわふわと綿毛のように浮遊する地に足のついていない調子ではなく、どこか熱にうかされて浮き立つようだった。

「すごいすごいすごいすごいです。人って本当に非合理でめちゃくちゃ。ちょっと考えれば分かることすらままならなくなるだなんて本当に面白い」

 まるで宝物を発見した子どものような興奮具合だった。

「やっぱり人を徹底的に壊せるのは愛なんですよね。他人を愛しているか自分を愛しているかの違いはあっても、過ぎた愛だけが人の倫理観をぐちゃぐちゃにできる」

 ダンスをするようにくるくるとミソラはリビングを歩き回る。

「理性を溶かす愛って本当にすごいですねえ」

 この人は本当に趣味が悪い。

 ミソラが人の相談にのるのは、悩みをかかえた人間ほど感情的になりやすいからだ。

 基本的にはぐらかされるので直接彼女から聞いたわけではないが、隠す気もないので態度で分かる。そして、事件に首をつっこむのも同様の理由なのだろう。

「男性の執着は陰湿でしたけど女性は苛烈でしたね。勉強になります」

「人によると思うけどね」

 最初は面食らったが度々喜ぶ姿を見てきたので慣れたものだ。

「大人しい人ほど感情をため込んでいたりするんですよねえ。ああ、素晴らしかった」

 心底趣味が悪いとは思うが、ミソラは相談者の前では今のような姿は見せない。

 知ればよく思わない人もいるだろうが、ばれなければどうということはない。

 表向きの結果としては無償で問題を解決して終わっているのだ。感謝されこそすれ文句を言われる筋合いはない。

 今回の件についてはもっと穏便な方法を取れなかったのかとも思うが、自分でできないくせによりよい解決をミソラに望むのは道理が通らないだろう。

「私もいつか自分が破滅することも厭わないほどの恋に落ちてみたいものです」

 けれど、自業自得であっても彼女の嘆きが耳に残っていた。

「川谷さんも茅場さんもできるだけ傷つかずに解決する方法ってなかったのかな」

「彼女が彼女である限り、ないですね」

「それは茅場さんのこと?」

「ええ、彼女がしたことを全て隠したままタビちゃんが見つかってよかったねで終わらせることもできました。しかしその場合ストーカーの件はうやむやになったまま川谷さんは漠然とした恐怖をいだき続けることになっていたでしょう。それでは解決したとは言えない」

 自分がミソラに解決を頼まなければ、歪な関係だったのだとしても彼女たちは友達のままでいられたのだろうか。

「破綻した関係を引き延ばしたところでどうせいつか壊れていましたよ」

 考えが顔に出ていたのか脳裏に浮かんだもしもは即座にミソラに否定される。

「結局のところ茅場さんにとって一番大切なのは自分自身でした。彼女の恋は偶像に向けられていた。彼女が愛していたのは自分だった。一方通行な執着というものは自分のための愛です」

「……そうかもしれないね」

 難しいな、と思う。

 人を幸せにできる優しい愛だけがあればいいのに、感情はままならない。

「猫探しとストーカー問題。どちらも根本から解決するのであれば、例えこれから先一生彼女たちの関係が断絶するのだとしても、彼女たち自身のために全てを開示する必要がありました。本音と建前はあってしかるべきものですけど、知らないままではいられないことだってあるでしょう」

 口に出す必要のない本音は存在する。誰かのための嘘だって必要なものだ。だが、秘めたままでは成り立たない関係だってある。

「まあ、川谷さんは稀にみる公正で寛大な人ですから先のことは分かりませんけどね」

 にやりと笑ってミソラは言う。

「彼女がこれから本当に変わることができて、改めて謝罪と本心を伝えられるようになったのなら今よりはましな関係になれる可能性はあると思いますよ」

 ミソラの予想は当たる。

 変われるかどうかなんて誠には分からないけれど、対等だと言った川谷の言葉が彼女にきちんと届いていたらいいなと思った。

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