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 時間はかかったが、ゴリラは一回で突破することができた。

 森を抜けると二つ目の街が見えてくる。別れたばかりだが、カイ達と会ってしまうかもしれないな。


 なんの問題も無く街に入る。悪行をした者はここで咎められるそうだ。

 そんなことをする気はないので放置でいいとして、そろそろ武器を購入しようと思う。

 杖があると魔法の効果に補正が入るそうだ。一番安い武器を買っても仕方が無いので、そこそこ使えるものを買うつもりである。


「いらっしゃい」


 店に入るとゴツい店主に迎えられる。


「杖をいくつか見せてほしい」

「杖ならあっちだ。適当に見ていってくれ」


 店の奥の方に杖のコーナーはあった。性能を順に見ていくと、光と土に対応した杖があった。……が、手持ちの金じゃ足りないな。


「すまないが、手持ちが足りなかった。また来る」

「あいよ」


 狩りをしても良いが、いい機会だ。冒険者ギルドに行ってみよう。


「初めてここを使うのだが……」


 受付に声をかけると別の窓口を案内される。


「初めて――」

「聞こえていましたよ。そうでなくても、この窓口に来るのはほとんど初めて冒険者ギルドにいらっしゃった方ですが。はい。この魔道具に手を置いてください」

「わかった」


 言われた通りに手を置くと、カードが出てきた。


「そちらが冒険者である証、ギルドカード。それを手にとったあなたはれっきとした冒険者です。依頼を受けたいときは、あちらにある板かた紙を剥がして一番の窓口に持っていけば対応してもらえます。自分のランクの一つ上から一つ下までのものしか受けられないのでご注意ください」

「わかった」

「細かい注意事項はギルドカードにも書いてありますのでそちらをご確認いただければと思います。それからこちら二番の窓口では、冒険者になったばかりの方向けの訓練が受けられます。気が向いたら受けてみてください」


 訓練を受けるものはほとんどいない、と。


「気が向いたら受けさせてもらう」

「はい。では良い冒険者ライフを」


 訓練……は受けないでいいか。依頼を見に依頼板に向かう。


「俺のランクはEだから下はF、上はDか。Dでいいだろう」


 適当な討伐依頼を剥がして一番の窓口に向かい、手続きをする。といってもギルドカードを魔道具にかざすだけだったが。


「これで依頼を受けられました。お気をつけて」

「ああ」


 街を出て、依頼の魔物であるトレントがいる風の草原に向かう。なんでトレントが草原にいるんだ?

 接敵もなく、しばらく歩くと顔のように表面が裂けた大きめの木が見えた。やはり出現場所を間違えていないだろうか。

 近づいていくと風魔法を放ってきた。反射的に避けたが、危なかった。やはりカイの予知のようなスキルが欲しくなるな。

 その後は油断せずに魔法を避けながら、スパークを打ち込み続ける。

 そしてついにトレントが力尽きた。


「お、初めて素材がドロップした」


 魔物を倒すと、金に加えてたまにドロップアイテム、さらに稀に素材を落とす。

 ドロップアイテムはそのままでも効果を発揮することがある他、錬金術師等なら別のアイテムを作ることができる。素材はそのままでは使えず、鍛冶師などが武器にすることができるといった具合だ。

 今回はトレントの木材だった。武器屋に持っていけば杖を作ってくれるかもしれない。

 何はともあれ、依頼されたトレントのドロップアイテムは二つ。サクサク倒していこう。


「やっと集まったな」


 最初の素材に運を吸われたのか、ドロップアイテムはなかなかドロップしてくれなかった。

 冒険者ギルドにもどって依頼終了の手続きをする。報酬の金をもらい、武器屋へ。


「金の用意ができた」

「おお、あんちゃんか」

「金策の途中でこれが落ちたんだが、これで作れるか?」

「おお、トレントの木材か。いいぜ。加工もしやすいから値段も安めだ」

「補正は光と土で頼む」

「ああ、頼まれた。すぐにできるから待っててくれ」


 数分待っていると店主は杖を持って出てきた。


「注文通り、補正は光と土だ」

「ありがとう」


 武器屋を出て時間を見るとそこそこいい時間になっていた。この時間だとフィールドには出れないな。街をぶらつこう。

 一つ目の雑貨屋で早速見つけものをした。

 毎秒最大HPの2%を減らし、50秒で効果が切れる。つまり食べさせることさえできれば、HP回復の手段がない敵は即死というわけだ。


「これが自傷に入るなら画期的だな」


 さすがにこれは試したい。やはり、少しフィールドに出ることにするか。

 走って街から出る。スパークを使いスタミナを減らしてから毒餌を食べる。不味いのに加えて、若干の不快感が続くな。

 だがSTは回復している! ということは……よし。身代わりも無事発動した。これは買い占めるしかあるまい。

 街に戻って毒餌を買えるだけ買うとNPCに変な顔をされた。買う人は珍しいのだろうか。

 さて、杖を若干安く入手できたとはいえ、毒餌を買ったぶんですっからかんになってしまった。冒険者ギルドのランク上げも兼ねてしばらく依頼を受けて過ごそう。やることも決まったので宿でログアウトだ。

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