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短めです
「あまり収穫はなかったな」
やはりHPが半分以下のときにSTの回復速度上昇とかが無難なのだろうか。HPを条件にするのは、いざというときに自傷で無理矢理条件を達成できるという点で優秀なのだろう。
自傷……いっそ自傷したらそのままST回復というのはどうだ? これなら個性も出るし、他にも活かせそうだ。
「メニューからスキル作成……自分でHPを減らしたときにST回復、で効果確認……。効果が低いな」
しばらく考えてSTを消費してHPを回復する魔法があるからだと思い至った。
「なら制限を追加だ。さっきのに加えて、アクティブスキルでのHP回復が不可、で確認。ST回復量は減らしたHPの……2倍!?」
なるほど、自由にHPが回復できないというのはかなりの縛りらしい。
だが、ダメージを受けない前提ならSTが実質的に通常の三倍まで増えて回復量も早い。連戦が不得意なのはあまり改善できていないが、何もないよりかはマシ。
十分強力なものができたのではないのだろうか。
「よし。これで決定だ。スキル名は自傷治癒だ」
これからはこの自傷治癒を基盤にキャラを作っていこう。
残りスキルの枠は一つ。取っておいてもいいが、レベル10になるまでそこまで時間がかかるわけではないしな。今もう一つ作ってしまおう。
「名前は身代わりにしておこう」
方針が決まっているからもう一つのスキルを作るのにはそこまで時間はかからなかった。
なんでもできるとはいえ、バランスを取るために少なくない仕様があるらしく、それらに反さないようにできたのが身代わりというスキルだ。
最大HPの半分を自傷によって削ったときに最大STの半分を消費するか選ぶことができ、消費した場合はダメージが最大HPの半分を超えるか、120秒経つまでダメージを肩代わりしてくれるシールドを作るというスキルで、シールドが壊れても余ったダメージが本体に来ることはない優れものだ。
また、制作過程で、一つの代償をトリガーに複数のスキルを発動させることはできないが、他の代償と組み合わせれば機能させられるということを発見した。
例えば身代わりのスキルに「一定ダメージ分自傷したとき」の条件をつけなかった場合は、今よりも弱いスキルができるといった具合だ。
かなり時間をかけてしまったがこれで全てのスキル枠が埋まった。フィールド探索も楽になることだろう。
「さあ、出陣だ」
と気合を入れたはいいが、STが枯渇するまでは新しいスキルはお預けだ。
それまでは見敵必殺……とまではいかないが、ある程度距離が近い敵にはスパークを撃って倒しながら進んでいく。
そしてついにSTがなくなった。初期装備のナイフで腕を斬りつける。痛い、が思っていた程ではないし、声が出る程でもない。一度では足りないため何回か斬りつけSTを満タンにする。
そういえばこの先HPやSTが増えたら、このままの貧弱なSTRでは苦労するな。別の方法も考えなくては。
「いい調子だ。このままキャンプを目指そう」
キャンプというのは、街ほど大きくはないがログアウトができる他、物資を補給できる場所である。草原を超えて森に入る手前にあるそうだ。
途中にボスがいるわけでもないらしくパーティーを組んだ人は十数組、物理アタッカーならソロで到達してる実力者も何人かいるらしい。
「ついたな」
途中からは作業感が出てきてしまっていたが、キャンプに到達することができた。
なかなかの時間プレイしていたし、ポーション類を買ったら一度ログアウトしよう。