魔法とは
この世界には魔法という概念が存在する。
ここで、父様の部屋から借りてきた『魔法の基礎』という本を読んでみよう。
この文献に、魔法とは『目に見えない流れのこと』と記載がある。その目に見えない流れとは、すなわちエネルギーの事であり、魔法を使用する者のイメージの大きさと魔力の流れる量によってその量と質を変えていると。恐ろしく適当な文章だ。
要約するに魔法出力=イメージの有効面積×単一時間辺りの魔力流量と言うことになる。
つまり、強い魔法を使うためにはイメージを絞り、そこに大量の魔力を放出すればいいとのこと。
面白いのはこの数式が魔法は流体であることを示している点にある。
魔法は他の水や空気に近い性質を持っているというのだ。
これがどういうことかお分かりになるだろうか。
例えば、水は高い位置から放出すれば、低い位置から放出した時に比べ大きなエネルギーを発生させる。それが魔法にも当てはまるかもしれない。こういう事だ。
高いところから小さな穴に向けて大量の魔法を注ぎ込むとその差分がエネルギーとして取り出すことができる。頭に魔力の貯蔵タンクがあり、手から魔法を出した場合、手を地面に近い点へと近づけて放出した方がエネルギーは高くなるということだ。微々たる量だが。
では、イメージの大きさとは何か。
この文献ではイメージのことを魔法の有効面積だと言っているのではないだろうか。人を吹き飛ばしたいなら人の重心の集まる足元付近を重点的にイメージするなどの記載からそれは明らかだ。。
ではこれを、マイクロサイズの穴に対して行ったらどうなるだろうか。
実は魔法というのは攻撃に使うものも回復に使うものもおなじ魔法であり、流れている魔力の質が異なるだけで根底は同じものだという。
人間の体の中を抜けて出てくるわけだから、その間で管内の摩擦係数の影響により流量が減っている可能性がある。また、経路内で発生するはがれと呼ばれる現象は、使用者の体を著しく蝕むだろう(実際に日本で起きた巨大発電施設でのパイプの破損原因はこれだと言われている)だが、そういう記載が一切なかった。
おい、どうなっているんだ魔法は。これじゃ目隠しをして車を運転しているようなものじゃないか!
人はまだ、魔法はいいものとは気がついていたが、どういった側面を持っているのか知らない。
そんな危険なものを平気で怪我人に使っているのを考えると虫酸が走った。
どんな副作用があるのか。どんな健康被害があるのか。それはまだ、だれも知らない。いつか貯まり貯まったつけを払わされることは間違いないだろう。
それは、明日かもしれない。