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作者: タン吉

卓上のデジタル時計に表示された室内の気温は29度を越えている。

寝苦しい夜にビールから焼酎のサワー割りと飲み進めて、すっかり出来上がった私は、動画でお気に入りの曲『ウィスキーがお好きでしょ』のピアノソロをあれこれ聞き比べていた。

『天城越え』が代表曲の歌手石川さゆりの持ち歌である。

名曲であると私は勝手に思っている。

それを名も知らないピアニストがアップした、それぞれアレンジしたピアノソロがまた良い。

酔うと何故か無性にしみじみと聞きたくなるときがある。

時刻は23時を過ぎているというのに、開け放した窓の外からは鳴き止まない蝉の声が網戸越しに進入してくる。

朝、散歩に出かける際、階段の踊り場に蝉が一匹仰向けに転がっていた。

夏の見慣れた光景ではある。

私がすぐそばに足を降ろしても、そいつは微動だにしなかったので、てっきり亡骸だと思っていた。

夕食で妻が、階段のところで仰向けに引っ繰り返っていた蝉を足の先で起こしてやったら、飛び上がって壁にぶつかりながら逃げて行ったと、面白そうに話した。

たぶんあの蝉だろう。

あいつはまだ死んではいなかったのか。

これから夜中いっとき静かになるが、明け方からまたうるさく鳴き出す。

夏はまだ始まったばかりだ。

私はまた明日から仕事だ。

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