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第31話 シャルロット(2)

 アンジェリクのほうに原因を作ればいい。


 シャルロットは早速、底辺貴族の令嬢たちを使って罪を捏造した。


 シャルロット同様、ふだんからエメリーヌやフェリシーたちに見下されて悔しい思いをしている令嬢たちは、喜んでシャルロットの言う通りにした。

 エメリーヌたちの靴に釘を入れ、フェリシーのドレスにインクをこぼした。

 ほかにもありとあらゆる嫌がらせを楽しんだ。

 責任は全部シャルロットが負うと言い、お礼にシャルロットから高価な品物ももらえるのだから嬉しかったに違いない。


 けれど、それらの罪をアンジェリクに押し付けると聞くと、彼女たちの表情は硬くなった。


「そんなことをしたら、アンジェリクはどうなるの?」

「心配しなくても、平気よ。アンジェリクはじきにエルネスト様との婚約も解消するし、もしかすると遠い所へ行かされるかもしれないから」

「アンジェリクを陥れるために、私たちを利用したの?」


 ひどい、と言う令嬢たちを、シャルロットは冷ややかに見下ろした。


「じゃあ、あなた、自分がやったってエメリーヌに言える?」

「シャルロット、なんてことを……!」

「言えないでしょ。今さら、遅いのよ。やってしまったことは、なかったことにはできないんだから」


 実際に手を下したのはシャルロット以外の令嬢たちだ。シャルロットが見ていたと証言してもいいし、念のため証拠もそろえてある。

 インクや釘は自分たちで用意させた。シャルロットはそれを売った人間を調べて、必要な時には売ったと証言するようにと言い含め、金を握らせておいたのだ。


「何か聞かれたら、アンジェリクがやったって言うのよ。あなたたちがやったってバレたら、親や兄弟が困るんだからね」


 一方では、エメリーヌたちに近づいて、エルネストの時と同じように、アンジェリクはエメリーヌやフェリシーを見下していると吹き込んだ。

 人の悪口や噂話に乗ってこないアンジェリクに、やましさやうしろめたさを感じていたエメリーヌたちは、簡単にシャルロットの言葉を信じた。


 仕上げにシャルロットは、エルネストと自分が婚約する予定だと彼女たちに言った。

 王家とつながりを持つのは自分だ。乗り換えるなら今だと暗にほのめかした。


「エメリーヌ、あなたはいつも私の悪口を言ってたわよね。エルネストに言いつけなくちゃ」

「い、言ってないわ」

「そう? でも、アンジェリク・・・・・・からそう聞いたわよ。……意味はわかるわよね?」


 シャルロットが笑うと、エメリーヌたちも笑った。


「わかったわ。シャルロット」

「そういうことにしたいのね」


 アンジェリクに敬意を払いながらも、どこか目の上のタンコブのように思っていたエメリーヌたちは、おそらくシャルロットのほうが御しやすいと思ったのだろう。

 簡単にシャルロットに寝返った。


 かくして準備は整い、シャルロットは一気にアンジェリクを追い込んだ。

 それは思いのほかうまくいき、ヒステリーを起こしたエルネストの剣幕も手伝って、アンジェリクは遠いブールの貧乏伯爵に嫁がされた。

 辺境の、とんでもなく貧乏な伯爵だと聞いた。

 シャルロットは生まれて初めて胸のすく思いを味わった。


 アンジェリク……。

 貧乏がどんなにつらくてみじめなものか、一生かけて思い知るがいいわ。


 

たくさんの小説の中からこのお話をお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自身の置かれた状況を自力で改善できないものがそれを出来るものを罠に嵌めた、つもりが向こうは自力で状況を改善しましたよ、となるわけか 次は直接的な手出しかな
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