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【旧】ファントムフリー《phantom.free》  作者: tekuto
【Ⅰ 《Fragment / 救世の絆》】
6/20

無駄な戦闘

「攻撃準備するです!!」


 咄嗟にアキラが叫ぶ。

 すると、何処か別の場所に着いていた。

 それが転移だと気付いたが、ブリキのような転移ではなく、酔いなど一切なかったので、俺は逆に呆気に取られていた。


「うわっ」

「ホムラさん!!」


 目の前に現れたコボルトが槍で襲って来たので、俺は尻餅をついた。


━ ━ ━ ━

 コボルト。

 ドーベル犬のような顔をした人型のモンスター。軽装備で防御力は低いが、動きが少し早い。

━ ━ ━ ━


 アキラは杖を網のように使って、コボルトの足を掬い上げる。

 そしてコボルトが後ろに倒れる直前に、真上から杖を振り下ろし、コボルトの腹部を殴ると四散した。


「大丈夫ですか?」

「ああ」


 アキラは俺に手を伸ばしたが、流石に恥ずかしい所を見せてしまったので、俺は自力で起き上がる。


「これ。どういう事だ……。軽く30体を超えるだろ」


 鞘から太刀を抜きながら、周囲を見渡せば、モンスターの数が異常過ぎていた。


 遠くにはボス部屋の門ような両扉が見えるので、その近くにモンスターが沢山湧くのは理解出来る。

 でもこの数は、今から始める初心者にしてみれば、厳し過ぎていた。


「ホムラさん。あの両扉がボス部屋です。なので、死なないで欲しいです」

「いや、死ぬって!!」


 アキラはボス部屋を指差しながら、俺を睨みつけるが、アキラの無謀な策に、俺は逆にツッコミを入れた。

 アキラは顔色見せずに、杖を横に垂直持ちしながら、平然とモンスターの方へと歩いて行く。


「私は魔法使いです。なので、今回はサポートに周るので頑張るですよ」

「おい。俺の話を聞けよ」


 それでもアキラはモンスターに近付いて行く。

 何も恐れず、攻撃をしない彼女を見て、俺は自分自身に嫌気が差して、アキラを追いかけた。


「ああ、わかったよ。やってやろうじゃねーか」




   ◇ ◇ ◇




「まずは、コイツから」


 俺は走りながら、ゴブリンの集団を巻き込んで突進した。


━ ━ ━ ━

 ゴブリン。

 小鬼のモンスター。身長は低く、人間の子供くらい。主に棍棒を持っている。

━ ━ ━ ━


 怯ませたゴブリンから順に太刀で2、3回、他のゴブリンは回避しつつ同じように斬りつけると四散した。

 四散したゴブリンに気付いて、近くにいたコボルトが2体も近寄って来た。


(2体は、流石に……)


 すると、そのコボルト達の頭上目掛けて雷が落とされた。

 コボルトは麻痺状態になり、動けなくなる。

 それを俺は太刀で斬って、2体同時に四散させた。


(アキラだ。あとで礼を言わないと……)


 その場から離れ、俺は両扉を目指す。


「それにしても、何だよ。こいつらは」


 また四散に気付いて、他のモンスターが俺に近寄って来るのが見える。

 出来る限り回避しようにも、次から次へとこちらに気付き、モンスターは近寄って来る。

 これでは、いつまでも経っても狙われる一方だ。


 そんな時だった。


「ホムラさん。freeの技は全然使えるので、それで一掃するですよ」


 何とも遠くから聞こえた声の主。

 アキラは既にあの両扉で待機していた。


「それを先に言えぇぇ」


 遠くに見えるアキラにツッコミし、俺は後ろを振り向いて、太刀を構える。

 その数。ゴブリンとコボルト、新たに現れたリザードマンを入れて、ざっと20体。


━ ━ ━ ━

 リザードマン。

 大トカゲの人型モンスター。主に剣を持っており、コボルトよりも足が早い。

━ ━ ━ ━


(使えるなら、俺の魔王剣技で……)


「〝魔王剣技 ホムラ神楽カグラ〟」


 俺はモンスターよりも先に前に踏み込み、素早く回転斬りをした。

 すると遅れて焔神楽の炎弾が放たれ、周囲にいたモンスターは全て絶滅し、弾けるように四散した。

 周りを見渡せば、どうやら今の技で標的から外れたようだ。


(やっと、終わったな……)


 俺は一息吐いて、両扉へと歩き出す。

 すると、俺の戦闘を観戦していたアキラと一瞬目が合ったが、一方的に逸らされた。


(何だ……?)


 少し気になったが、俺が両扉に着くと、アキラは静かに両扉を開いた。


「行くですよ」


 何故か素顔を見せずにアキラはそう言った。

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