1ページ目
ここではないどこかの世界…
それは剣と魔法が使われる世界、そして…様々な種族がいる世界だった。
この世界には、世界を作り直そうとする者たちがいた。
◇第三者
冒険ギルドの受付にフードをかぶっていて顔が見えない小柄な男がいる。
「おい!何してんだお前!」
身長二メートルはあるだろうか?
いかにも荒くれ者という風貌の大男が叫ぶように言った。
フードを被った小柄な男は長めにため息を付くと、答える。
「は?僕が何をしようがあなたには関係ないでしょう?」
声も幼く、まるで子供のようだった。
しかし…その声には依然として自信と覇気に包まれている。
「ここは子供のくるとこじゃねえってんだ!」
そう言い、大男はフードの男を殴った。
だが、大男の握った拳は空を切る、フードの男が避けたからだ。
「はぁ、これ僕が倒さないといけない感じですかね?」
フードの男は面倒そうに言うと、フードの奥の目を光らせた。
周りの野次馬たちは誰も助けようとはしなかったが、騒ぎを聞きつけ、やってきた受付嬢は大男を止めようとしたが、間に合いそうもなく、フードの男は死ぬと…誰もがそう思った。
しかし、その時フードの男が反撃をした…!
フードの男の拳は誰にも見えず、大男が勝手に倒れたように見えた。
野次馬たちは驚き、固まったが…フードの男はそれを面倒そうに見やる。
「早く登録したいんですが?」
そして野次馬たちはフードの男の言葉でハッとすると、大人しく仕事に戻っていく…
「ごめんなさい、子供は登録できないのよ‥」
受付嬢には子供に見えたため、こう言ったが、男は成人している立派な大人なのだ。
「は?僕はちゃんと成人した大人ですよ?登録できない筈はないでしょう?」
彼は受付嬢の前に置かれている台をバンっという音を鳴らしながら叩いた。
「え?嘘でしょ?その小ささで?その可愛い声で?じゃあ何歳なの?」
「僕は24歳ですよ?何歳だと思ってたんですか?」
「嘘、12歳ぐらいかと思ってた…私と1歳しか違わないなんて…」
「早く登録してくれませんか?」
「わ、わかったわ
それではこの紙に年齢、名前、職業、戦闘スタイル、パーティの有無を書いてくれるかしら?
文字が書けないなら、口頭で言えば私が代筆するわよ」
「面倒なので代筆を頼みます
年齢は24歳で、名前はカルネ、職業は…職業って何言えばいいんですか?」
「大まかに決まってるだけだけれど…魔法を使うなら魔法使い、剣を使うなら剣士よ
あと、剣と魔法を両方使う人は魔剣士と言うわ」
「じゃあ、妖精に力を貸してもらって魔法を使うのはなんでしょうか?」
「妖精使いね。妖精使いと書くということかしら?」
「いや、剣とかも使うんですけど、それは?」
「妖精剣士とか、かしら?私もよくわからないのよね‥」
「じゃあ、それを書いといてください…
戦闘スタイルは、基本、剣と拳を使いますね
使わないといけないときには妖精魔法を使います、パーティはいません」
「わかったわ、ランクの説明は必要かしら?」
「それでは一応頼みます」
「ランクはC、B、А、S、SS、SSSと、順番に上がっていくわ
ちなみに、SSSが最高ランクよ
Dは依頼の失敗が続いてしまった人…
EやFは、悪いことをして落とされた人よ、他に説明は必要?」
「ランクはどうやって上げますか?」
「依頼をやっていけば、ギルドが判定して順番に上がっていくわね
たまに大きい獲物を倒した場合、例外的に2つランクが上げられることもあるのだけれど…
もう質問は無いかしら?」
「大丈夫です」
「それで、今日は依頼を受けてみる予定かしら?」
「はい、せっかくなので依頼を受けることにします」
「初心者さん向けの依頼として、薬草採取を依頼しているわ
当ギルドははじめにこれを受けることを推奨しているから、これを受けてくれると嬉しいわ」
「ではその依頼を受けてみることにしますね」
「…あのっ!
これは私個人からの注意なんですけど‥
薬草の生えている森で最近、ロストウルフが出るという噂があるんです
ロストウルフはBランクなので一匹でも初心者のカルネさんでは負けてしまうと思います
群れになるとAランクにもなることがあって…
なので、本当に気をつけてくださいね?」
「…はい、わかりました」