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◇第三人称
結果的にカルネとセレナはその日を連携の擦り合わせに費やすことになった。その甲斐あって日が暮れてくる頃には、連携も完璧なものとなっている。
「セレナさん、そっち行きまし…いったよ!」
「わかったわ、任せて。」
カルネの動きはとても速く正確だが、セレナも負けていない。セレナのその動きは熟練の冒険者を思わせる。柔軟な筋肉を生かしたバネのある動きに、上手く魔法を組み合わせている。
カルネはセレナの動きを予測したようにフォローや声かけを行っている。戦闘に心得のある者が見たなら、カルネの動きの正確さに息を飲むだろう。だが二人の周囲に人影はなさそうである。
「次は――」
カルネが言い切るより早く、セレナの魔法が展開されていた。
彼の指示は、もはや合図に近い。互いの動きが読めているからこそ、言葉は最低限で足りる。最後の魔物が倒れると、周囲は不思議なほど静まり返った。
「……終わった、わね」
セレナが小さく息を吐く。
カルネも武器を下ろし、周囲を確認してから頷いた。
「うん。……思ったより、早かった」
二人は顔を見合わせ、どちらからともなく小さく笑った。それは偶然でも、運でもない。
今日一日をかけて積み重ねたものが、確かに形になっていた。日が傾き、ダンジョンの奥に長い影が伸びていく。
「今日はここまでにしましょうか」
「そうだね。……無理をする必要もない」
セレナの言葉に、カルネは少しだけ間を置いてから頷いた。二人並んで出口へ向かいながら、カルネはふと、思う。この人となら、もう少し先まで行けるかもしれない。




