これは魔法なのか!?
しかし困った。
俺の周りは頭のイカれた厨二病共に囲まれて。
トイレはトイレで水道パイプやら何やら一式が見当たらない。
これはどうしたもんか。
「んー…….」
と首を捻っていると。
ピコーンと視界の隅っこに変なモノが浮かび上がった。
「何だこりゃ?」
よくみると、それにはアビリティって書いてある。
「アビリティ?」
って口に出したら、目の前に何だか文字がバサーっと広がった!
「うぉぉぉ!?」
これはあれか?
ゲームとかでよくあるメニュー画面てやつ?
おぉ、なんか空中にディスプレイが浮かんでる感じがSF映画みたいだ。
あの、円盤とエンジンが合体してる宇宙船のやつにそっくり!
で、その中をよく見ると……
『魔法』
って文字が目に付いた。
「まほう?」
と俺が言うと、またメニューが開く。
その中に……
『水道パイプ新設』
『タンク増設』
『魔電源コンセント新設(12V相当)』
と出ている。
その横には、それぞれ『1』と数字が表示されている。
何だ、このメニューは?
ていうか、何でこんなモノが目の中に出てくるんだ?
コスプレ軍団がイカれてるんじゃなくて、俺がイカれてるんじゃないのか?
訳が分からないまま、俺はメニューのトップに表示されている文字に目をやった。
『水道パイプ新設』
これって、パイプが……
いや、水道そのものを作ることが出来るっていうのか?
まさかな。
まさか……
俺は取り敢えず、口に出して言ってみた。
「す、水道、パイプ……新設……」
そう口にした途端、便器の周りが眩く光り、パーッと明るくなったかと思うと……
「……嘘だろ!?」
目の前の便器の横に。
ピカピカに輝くパイプが出現していた……
その先に付けられている蛇口を捻るとそこから何と……
「み、水が出た!?」
ジャバー! と勢いよく水が出てきたではないか!
これにはコスプレ軍団も驚き、
「な、何と水が!」
「魔法が使えるのか!?」
「何もなかったのだぞ!」
などとわめき散らしている。
だが、一番驚いているのは、何を隠そうこの俺だ。
「い、一体、どうなってんの?」
俺……
ただの水道屋なんだけど?