三話「移動中の食事は危険な味です」
私たちは森の奥へ走って行く。先ほど助けた彼女は私たちに遅れを取らないように木の枝を飛び越えながら、周りからの敵を警戒しているようだ。そして森を抜けたところに町が現れた。
「よっと、なんとか抜け出さたわね」
木から飛び降りて私の近くに降りてきたくのいちの彼女が言う。そんな彼女を他の三人は武器を取るなりにして警戒している。
「あらら、せっかく助けたのにそこまで警戒されるとは」
「貴様、俺らをここに連れて道案内して実際に連れてきましたとかいう気だろ?」
アルファの言葉を聞きながら、「昔のお前じゃあるまいし」とつぶやく。
「しないわよ」
「いや、さっきの奴らと待ち合わせしてここで処分という手か?煙幕はそのためか」
アルファの言葉を聞きながら、もう一度「昔のお前じゃあるまいし」とつぶやく。
「そうね。言葉じゃダメなら行動で示せってことね」
そう言いながら、先ほどのくのいちも持っていた金色の紙の上を両手で持つ。
「おい、何をする気だ?おい、まさか……」
アルファの言葉を無視して彼女はその紙を破った。すると息苦しそうにその場で地面に伏せるかと思ったら口から大量の血が出てきた。
「おいおい、まさか金色の神追放書を破る禁忌を犯すとは。さすがにそこまでやる奴を信用しないわけが……」
「あー、気持ち悪かった。口からケチャップ大量に吐いちゃったわ。せっかく走りながら食事したのに」
「血じゃねーのかよ。というか何食ったんだよ」
「ウィンナーの皮を包んだケチャップです」
「ウィンナーにかけろよ!!」
彼女とアルファのボケとツッコミがぶつかり合う。
「そんなわけで私はランバース。その神の世界で発行している指名手配書である金色の神追放書に載っている仮面の男に雇われてるくのいちよ。ちなみにくのいちは正体をばらすこと自体が自殺行為よ。これで信じてもらえるかしら?」
「証拠が欲しいが、いいだろ。俺はアルファだ。んでもって彼が……」
「吉田健三さん……ですよね?」
彼女は私にそう聞いてきた。その目に嘘はつけなさそうだった。しかし答えていいのか悩ましいところでもあった。