六話「赤に染まる里」
私たちは森の中を駆け抜けてついにユリさんのいる里に帰ってきた。しかし見下ろす格好でも分かる。赤一色に里が染まっている。その中に黒い布の人たちが縛られており、真ん中にランバースさんとユリさんとユキさんの三人がそれぞれ両端に大きな刀を持った赤い者に挟まれながら木の柱に縛られながらぐったりしているようだ。
「本当に生きていたか。彼女たちは」
「あぁ、カナヅチさん。これで目的も救う者も一致したな。てめーら、前を見ろ。そして……赤を黒く染めろ!!かかれー!!」
アルファの声で私たちは全速力で走って下に降りる。もちろん、桃姫さんは羽で飛んで降りたが。
赤と黒がぶつかり合う。周りに鳴り響くのは金属音と人の叫び声。目に映るのは飛び交う血と仲間や敵の倒れ込む姿。それでも私は前を進む。あの木の柱を目指して。
「行かせねーよ」
「邪魔だ!!」
その掛け合いが何度行われただろうか。私の黄金の剣はクサイという武器に何度もぶつかってる。
「やっと追いついた。吉田、これを彼女たちに……ここは任せろ」
「アルファ?」
「先を行け。それを求めているやつがお前の走る先にいる。振り返るな、前を向いて走れ!!もう二度と仲間を手放すな!!」
ちっ、アルファのくせに、そう思いながら前を見て走る。そしてついに彼女たちの柱に着こうとするのだった。