三話「唐揚げの肉は鳥だっけ?」
私たちの目の前に現れたのは大きな鳥だった。銀色に輝いていて私たちをまるで映しているように輝いていた。
「我が名はアルセイド。この伝説の花を守ることが目的でこの身が滅ぶまでその目的に従う者だ」
「いや、鳥じゃん」とアルファ。
「鳥ですね」と桃姫さん。
「お前ら、煽るな」と私。
「唐揚げにしたらうまいよな?」
「唐揚げの肉って鳥でしたっけ?」
私の指摘を無視して彼らは話を進める。そもそも唐揚げという料理がこの世界にあるのかと疑問まで思うほどだ。
「唐揚げってうまいのか?」
いや、目の前にいる鳥さんも乗ってきたんですけどー。
「あぁ、うまいぜ?ポンという音がしたらぶちゅりってなってさ。トマトのような味と共に肉の歯ごたえが最高なんだよなぁ」
どうやら、アルファの説明だとこの世界の唐揚げは私の世界では知らない……いや、知らないほうがよかったと思える唐揚げのようだ。トマトのような味はおそらく血だろう。生々しい何かだ、絶対。
「ほう、なら食べてみたいねぇ?」
「あの、アブラナイさん。共食いになりますよ?」
「いや、そっちではない……それらを食べているお前たちをだ。そして俺の名はアルセイドだ」
アルファの言葉に腹を立てたようで羽を振り払った際に起こした物凄い風がアルファを襲う。アルファは少し先へと飛ばされた。この鳥は今までのモンスターより強い。前の島で戦ったあの魔王に匹敵するぐらいだろうか。もしくはそれ以上か。ともはあれ、こいつを倒さなければ花は取れない。花が取れなければ誰も救えない。私は黄金の剣をまた握り直した。