二話「洞窟の賢者」
先程の赤い布を巻いた人たちは少し先にあった壁を開けて抜け出したようだ。明らかに私たちが来た道に出るように入り口が開いていた。
私たちはさらに奥へと進む。手に持っている黄金の剣が光を発して私たちの周りを照らす。
しばらくすると、行き止りにあたった。そこが一番の奥らしい。そして目の前で一人の男が私たちに背を向けて正座しているのが分かった。その男は一輪の花を見つめている。そしてその花こそ私たちの探していた例の花だった。
「来たかのう」
「貴様、何者だ?」
後ろにいた黒い布の一人が聞く。
「何者……ほぅ、そうですな。洞窟の賢者と名乗れば大体は検討つくでしょうな?だって目の前にある花の絵を差し上げたのも私ですから。さぁ、君たちに問おう」
私を含めそこにいた者は緊迫のあまり唾を飲んだ。
「命を落とす覚悟はあるか?君たちの命とこの花で救える命、どちらが大事かな?」
一瞬、静まる。しかし私は勇気を振り絞って答える。
「どちらもだ」
目の前にいる男は私たちの方に向き直る。かなり老けた爺さんのようだ。そして満足したような笑顔でこう言う。
「その覚悟を認めよう。だが、これからその覚悟が本当であるか確かめさせてもらう」
そう言い放つと、私たちの目でも見える白い風が彼を包むかのように吹き上がる。そしてその風が止んで出てきたモノは……。