九話「洞窟の中に潜む物たち」
私たちは洞窟の中に入る。やはり周りは見えそうにないかと思ったら、自分の持っていた黄金の剣が光出し周りを照らす。
「不幸な剣でも役に立つな」
「アルファ、案外そうでもなさそうだぜ?」
私たちの周りには魔物がたくさん集まっていた。
「魔物の相手はもう……」
「慣れてるよなぁ、アルファ!!」
「おうよ!!」
「あのぅ、御二方。私もいるんですけどぅ?」
「行くぞ!!」
「炊飯ジャー!!」
「聞いてませんね。もういいです。ふーんだ」
私たちは自分の持ってる能力や武器で魔物を退治していく。どうやら、ここの魔物たちもかつて戦ってた島とあまり変わらないようだ。少し変わっているとすれば集団行動が目立つところか。それにしてもこの島に出てからシステムメッセージやら何やらが出ないと寂しい。やはり、花咲さんがいないとダメなのか。
『すみません、寝てました。敵出てます。おやすみなさい』
どうやら、違ったようだ。目の前に現れた文字はちゃんと前のままだ。というよりかは寝るな。
『私は機械なので普段は起きてますよ。あなたが起きてるので寝ます。以上』
いや、何だよ、それ。結婚した夫婦が片方はまともに働いていてもう片方がぐうたらするための理由か何かか。というか戦いながら突っ込ませるな。
『なら、突っ込むなよ』
そのまま受け身から能動的に言わせて返してやるよ。突っ込ませるな。
『やかましいと嫌われますぜ、女に。ぷぷ』
お前ほどじゃねーわ。あーもう、しゃらくせー。魔物どもよ、どんとこい。
そんなやり取りをしながら私は二人とともに魔物を討伐していく。その数は徐々に減っていく。気が付けばもう魔物たちはいなかった。ただその先にいるのは無数の人たちだった。その服は黒のように汚れを隠す色ではなく、赤い血の色だけを隠すかのようなその色の布を体に巻き付けている人がたくさんいた。奴らは私たちに気付いた。
「お前たち、何者だ?」
「ただの通りすがりの者です」
「あのぅ、ランバースさんやユキさんの知り合いです」
私の返答に上書きでもするかのようにアルファは答える。
「そうか、敵の大将の元にいる相手か。ここを見たからには消えてもらう」
どうやら、ボケなアルファのせいで敵に自ら正体を明かして自殺行為にでも出てしまったようだ。かなりの敵が私たちにクサイをチラつかせる。私達もまた武器などを構えるのだった。
次回より二章に突入します。