大口開けて君を待つ。
僕の特徴は、なんてったってこの大口。どんなものでも飲み込んじゃう!
いつもは静かで暗い場所。僕はだあれ?
やあ!久しぶり!元気してた?
キミとまた働けてうれしいよ!
今日もボクは大口を開けてキミの手助けをするね!
どこへでも付いていくよ!
うんうん、良い調子!
頑張れ、頑張れ!
おっと、ボクの出番だね。
がぼがぼ、きっついけど頑張るね。
しかし何だね、手伝えなくて申し訳ない。
何せ俺は動けないから。
手足が付いているのだとしたら、きっと手伝ってあげるのに。
すまぬのう、すまぬのう。
降り積もり、一面に沈殿した塵共を始末し、我の中へ放るが良い。
その澱を一つも逃さず此の身に受け止めよう
何時まででも我は此処で汝に侍る。
是のみが我に出来る事だから。
む、待たれい。
おえぇぇぇぇ……
あぁスッキリ!で、何の話だったっけ?
でもまあ、こんななるまで溜めてちゃダメだよ?
もっとボクを上手に使ってよ!
いや、出番が欲しいだけと言われれば……あはは、その通りかも。
だってボクはそういう存在だから。
うぐ、今回のはすごいな。
俺の中の汚れも一発だ。
家中隅々となると流石に量が違う。
あっという間に黒く、黒くなってしまう。
我は唯、希う。
頻繁に行われるべきこの儀式の、頻度向上を。
而して是は我の喜び。
我が存在理由は斯様にして達成される物だから。
然今可変時
我意識変風
塵芥既満溢
水底遙深有
む……
おえぇぇぇぇ……
あぁ、スッキリ!
何度も言うけど、こんなに汚れが溜まるまでほっといちゃダメだよ?
掃除はもっと頻繁にしなくちゃ!
その為にボクを買ったんでしょ?
え、途中でキャラが変わるのが怖い?
そりゃあしょうがないじゃない。
雑巾を絞ったらボクの中の水は汚れてっちゃう。
汚れた水はボクの人格に影響しちゃうんだから。
ほらほら、掃除が終わったなら仕舞っちゃって。
いつものように、掃除道具はボクの中にね。
シンクの下がボクの居場所。
ボクはまたキミに使われる日を待っているよ。
という訳で、分かりましたでしょうか。
正解は『バケツ』でございます。
バケツ自体は汚れないのに、中の水ばかりが汚れていく。しかしその汚れも出して、入れ替えれば元通り。なんて不思議な奴だと思い、書きました(笑)