その名は、ドラゴン
「マジで殺すぞてめえ」
石幢は口ではそう言っているが、
「石幢よ、唯一のリア友である俺を殺せばぼっちだぞ、いいのか?うん〜」
すると石幢は、振り上げた拳をプルプルと震わせながらどこか行き場がないかーー空を切った。
そうリア友である俺を殺せる訳ない。しかし俺以外友と言える人間が居ないとは、…友人として心配だな
「うぜー。だが今それどころじゃねえ…おいこりゃー後3、4時間ぐらいで日が沈むぞお前は、どうする気だ?」
石幢が上を見てそう言ったので釣られて俺も見てみると確かに太陽が西に傾き始めている。
何か行動を起こさないとまずいな。せめて安心して休める所を探さなければ、
「こんな草原で夜を過ごすのは危険だ近くに集落か何かないか探すぞ石幢」
「あうん?まぁそうする事になるんだが龍坂お前の魔法で日本に帰ることはできないのか?」
来たんだし戻ることも出来ないのか?
当然の疑問だ。
言われてみれば試したことなかったな
「石幢じゃあ試してみるからそこにある俺のバッグを取ってくれ」
「なんでだ?」
「恐らくだがこの魔法を発動するにはそのバッグの中にある黒歴史ノートが必要だ。」
「ノートが触媒とか魔道具的なやつになってるってことか?」
「確証はないがな」
いまいち納得のいってない様子だったが石幢はバッグを軽く投げてきた。
「よっと、…よしではいくぞ!」
「いきなり過ぎるだろ!」
「神の涙」
初めて発動した時の様に辺りが眩い光に包まれ…る事はなく地面にファイヤボォールの時のような魔法陣が現れた。
色や大きさが違うが何となく召喚魔法だろうと俺には理解出来た。
厨二病(自称)の第六感である
「何か来るぞ!ちなみに帰還魔法作戦は失敗だ!」
「自信満々に言うんじゃねえ!しかもこのレベルの召喚兵は使役できねえし戦うしかねえぞ。」
「ギャオォォォー!」
ウォータードラゴン(中位種) Level400
HP 50000/500000 NP 10000/100000
能力
火属性適正 火属性完全耐性 風属性適正
水属性ブレス 『水』創造
魔法陣から出てきたのは水色の鱗を纏った20メートルを優にに超える龍だった。
中世のドラゴンの外見に近く威風堂々たる龍の姿を感じさせる。
辺りをゆっくりと見渡し龍は、不意に天を見上げ眼を細めた。すると、瞳の周りが僅かにプラズマらしき火花を散らし、天空に向け物凄いエネルギー力のビームが発射された。
ビームは勢いよく雲を突き破りながら尚も上昇し、…恐らく宇宙まで飛んだ。
ブワっと嫌な汗が出た。
これは人間が相手していい相手じゃない。魔法を目眩しに連射して逃げれる…気がしないな、何というかこのドラゴンから放たれるオーラの様なものが格の違いを感じさせる。確かこういう時は、
手元にあった黒歴史ノートを開いた。
ページ32
ドラゴン・上級悪魔などの今の状況では勝てない巨大な強敵に出会った場合
1.目潰しからの逃げる
2.転移魔法の発動
3.主人公補正の力を信じて戦う
「… 1や2は出来るかどうか怪しいし、ここは3を試してみるしかないか、」
序盤に見合わない強敵、自分がどの魔法が使えてどの魔法が使えないか不明というゲームならプロゲーマーも裸足で逃げ出す状況だが、
「ステータス」
『全属性適正』
これは、全ての魔法又はスキルが使える…と近いのが黒歴史ノートにあった。
望みは薄いが生き残るにはこいつが鍵だ!
だが生憎俺は、謎の魔法の呪文などをペラペラ詠唱出来るような痛い奴ではない、それに突然のように追加された黒歴史ノートの魔法の名が記入された欄の魔法も全く知らない。後チラッとしか見ていないが黒歴史ノートの内容が全体的に少し変わっていて、唯一とも言える黒歴史ノート内の魔法?も不用意に試したくない。
そもそも何が出来るようになって何が使えるのかが分からない。友人である石幢から散々厨二病と言われてきたのに試す知識すらないとは、本当に悔やまれる。
適当に本の魔法を挙げてみるのがやはり一番現実的なのではあるが、効果が分からない以上自爆すらもあり得る(例 目の前のドラゴンとか)ノートの魔法を迂闊に使うことが出来ない。
だからせめて、オークと名乗る少女が放った上級魔法を一か八か使えないだろうかと試してみようとした時ーー
「我が血と魂を捧げる」
⁉︎ 何だこの頭に響く声いや詠唱は!
「魔を打ち砕く剣聖よ」
「このすかした声はまさか石幢か!」
勢いよく振り返る。すると、そこには!!
「…剣の魔王の前に顕現せよ。戦乙女」
戦乙女 Level12
HP1500/1500 NP100/100
運2 力450 知0.5 武500 リア友0
技能
狂化 剣技 風属性適正
称号
雑魚キャラに片足突っ込んだ女
「期待して損したか?」
「損したね‼︎」
龍坂裕翔の新情報
魔法は50%の確率で召喚魔法になる