友人の「格好いい」が理解できない
龍坂は、初めて思い通りに発動した魔法の感動を噛みしめるように復活した脚を腕で包みこむー体育座りのような格好でしばらくいると、後ろから女性の切り裂かれるような絶叫が響きわたった。
「セッ石幢様‼︎」
「石幢様⁉︎」
何!この世界に石幢が来ていると言うのか一体なぜ?
………「神の涙!!」…
あぁ俺があの魔法を使ったせいか…。いやそれよりも早く石幢と接触しなければ!それに今の声、俺の召喚した女の声だ。
親友の最大ピンチ!!
くっ間に合え、
「石幢!」
そう叫ぶと俺は声のした後ろに走ろうと…したら俺の召喚した頭のおかしい女が豪速球で現れ、俺の首に中世の騎士が持ってそうなランスを突きつけた。
「お前っ石幢に何をした!」
それを無視して怒鳴り声を上げる。
「………。死ね、」
「⁉︎、くっ《ファイヤーボール》」
ランスの先が首の薄皮を貫くのと同時に俺は左手を相手の顔面に向け、先程失敗した魔法を発動させた。すると俺の左手が怪しく光り…
グチャグチャ
ズッドーン
「ゴフッ」パタッ
……。
火球は奴の体内で錬成され弾け飛んだ
主に血と肉が…
「一瞬であったがこいつと俺は命のやり取りをしたんだ…結果は残酷だが当然であろう。」
人を初めて殺してしまったが罪悪感がなんだこうだ感じる気はしない。それになんだか前にも似たような事があった気が…いや気のせいだなあるわけない。
「…取り敢えず石幢を探すか、」
龍坂は開き直った。
「(しかし先程「石幢様!」と言っていた声はこいつだったな。一体なぜ、石幢はこいつと面識があったのか。)」
もしも友人とか親戚とかだったら石幢になんていえばいいんだ取り返しのつかない事をしてしまったぞ。
…いや、空を飛ぶ現代人が存在するとは思えないな。
「再召喚してみるか?」
半分冗談で手を少し離れた地面に向けた。
「ファイヤー
「龍坂よ〜さっきの女は俺の召喚兵だから気にしなくてもいいぞ。」
ウォウル⁉︎」
「石幢⁉︎何故ここにいるんだ」
俺の目の前に突如として現れた石幢はニタニタ顔で助言?してきた。
「何故ってそもそもお前がこの世界に俺らごとテレポートさせたんだろ?」
「まぁそう言う事になるが…てっ誤魔化されんぞ!召喚兵とはなんなのだ石幢!」
「別に誤魔化してねえしっ!」
「誤魔化そうとしただろ!」
勢いで胸ぐらを掴もうとしたがひらりとかわされてしまった。
「してねえって、はぁ…お前さっきまで体真っ二つだったのに元気だなぁ」
「見ていたのか!じゃあ俺が生きていたのはお前の…」
「俺は何もしてねえよっ」ピシッ
「痛ッ」
石幢はそう言うと何を思ったか、俺の額にデコピンしてきた。
「ええっと確か《ステータス》だったよなぁ…んっ?俺のと少し違うなー」
「石幢サラッと魔法使うな、」
親友がまるで使い慣れたように魔法が使っている所を見ると先ほどま回復魔法一つで感動しまくっていた自分にとても恥ずかしさを覚える。
「あぁ、でも俺が使えんのはこれだけみたいだから安心しろ、それよりお前もステータス使えんだろ?ちょっと俺みてみ」
石幢はさっきからやりたい放題でわけがわからないが、もしかしてこの世界のことをよく知っているのだろうか?
「《ステータス》」
そう唱えると、先程と少し違う感じのステータスが露わになる。
石幢 海李
HP 6000/6000 MP 9000 /9000
運 50 力 999 知 50 武 777 リア友 1
技能
剣技(Level 99) 全魔法耐性(小) 無属性適正
拳闘士(Level 50) 中位武具創造
称号
剣の魔王
装備
制服 魔剣ザタン カッター スマホ
似ている所もあるが、自分の無機質なものに比べ全体的にこっちは和風だ。
「確かに、少し違うなあ石幢、この魔剣ザダンてっなんだ?雑貨屋で買ったのか?」
「魔剣がッ雑貨屋に売ってるかよッお前絶対キンホルダーとかだと思っただろ!」
石幢が怒り出す。何か不味いことでも言ったのだろうか?
「そう言うが石幢よ、魔剣なんてどこに下げているのだ?剣と言うからにはそれなりのサイズだと思うが…
石幢に目をやっても特になにかを下げているようには見えない。物じゃないのか?では、まさか!
こんな時に下ネタかッ石幢‼︎」
「マジで殺すぞてめえ」