いつからマエンがマリ達と一緒に行動していると錯覚していた
ディアルは悪辣な笑みを浮かべて
「ーー死んだ、いやこの場合殺したと言うべきか?貴様の別働隊と思われる奴らの中にさも誘拐されましたと言わんばかりに縄で縛り付けられていたからな、マエンに別働隊の掃討、彼女たちの保護を目的として単独で動いてもらった。」
「ええ、なんだってー(棒読み)」
事情をあらかた知っていた石幢の演技じみた絶叫が虚しく響く。
「「………」」
「つまり死んだというのは私を追ってきた法国の者たちで妻と娘は生きているということですかっ!」
僅かばかり死んだ瞳に生気が宿り最後の希望にすがるかなように司教が魔王に詰め寄る。
「幾人かは情報収集のため適当に残していると思うが、貴様の家族らと極数名を除けば虫の息だな。」
「ああ〜俺も行きたかったな〜」
「因みにだが奴らはコイツと恐らくコイツの出した影よりも弱いぞまぁそのために人質を盾にでもする気だったのだろう。」
「なっ馬鹿な!いくら今代の法王様が屑だからといって献身な信徒を手にかけるなどッ」
信じられないとばかりに語尾が熱くなる。
「屑だから〜人質にしたんじゃね」
それをつまらなそうに見ていた石幢が100人に聞いて100人がまず初めに考えつくことを言った。
「⁉︎」
「「あっダメな奴だコイツ」」
「でもッ!私以外の司教様が止めるはずです。彼らとは信じる神は違えど人の幸せをーー」
「なるほど『赤』、『青』、『黄』、『緑』、貴様を入れて『黒』、5属性の一つ一つが神として崇められているのか」
「……えっ」
「そいつらは今マエンに縛りつけてられている。」
「………えっと1×5だからーー」
指折りに何かを計算する石幢、難易度の高い高校にスポーツ推薦とは言え受かっているのだから、かなり頭が良いはずだがその姿は足し算を覚えたばかりの小学生のように見える。
「ずっと疑問だったんだ偵察隊にしては目立ちすぎる貴様に似たカラフルな服装、明らかに異常だ。」
「お前っええ!それってコイツと同じ強さの奴があっちに四人いるってことじゃねえか!」
「そんな、他の司教様方が全員…しかも人質を取るなど」
司教は狂乱する石幢をがん無視して視線を落とす。
その瞳は、絶望と失望二つの感情がひしめきあっていた。
………ぁ
「あぁ!また逃したのか俺はゎゎゎァ!」
仮にここにいたのがヘラドではなくマエンならシリアスぽくなったかもしれないが、無慈悲かな神は司教に展開無視の魔王をよこしたようだ。
「大丈夫だ、コイツの特殊能力を考えれば…若干強いのはこっちの方、」
否、それ以前にディアルも空気を読むのは苦手だった
「そうか?」
「まぁ救済フラグは絶たれたが」
「あっそこは大丈夫、俺はハーレムより一途な愛が良い。」
「人二人救うのに何がハーレムに繋がるのやら…」
その後、司教は抵抗の意思がないこと、降伏することをディアルとヘラドに誓い二人は娘達の安全を約束
石幢の新たな性癖?に若干の戸惑いを見せるディアルは取り敢えず魔眼でマリとモリギーの居場所を探ることにした
〔ー遠距離会話魔法ー〕※姿見が現れるアレ
「ディアル、賊は捕らえた我は一度ダンジョンに戻る。」
「なら25層に転移してくれ、あそこは牢獄エリアが設けられている。ヘラドが作ったエリアだが管轄権はお前にあるだろう?」
「了解した。では後ほど」
「ああ、こっちはマリ達を拾ってから帰る。」
〔ーモリギー&マリー〕
「あの〜もう戻りませんか?」
長らく手入れがされてないのかひび割れた街道の下、モリギーの手の甲から噴き出る青い炎が灯りとなりうずくまる少女を照らす。
「ええーなんでですか」
両手いっぱいに色とりどりの花を抱え不満そうにマリは頬を膨らませる
「さっき通信でディアルさんから帰って来るように言われたんですよ。」
「パッ…ディアルさんなんてほっとけばいいんですよー」
「ほっとけと言われましてもねぇ〜こんな夜道しかも殆ど予備知識もないまま森の近くにいるのは危険ですよ、彼が置いていったことに不満をたてるのはわかりますが、私がつくなら遅れて来てもいいと許してくれたのです、ワガママはほどほどにしましょう」
若い頃、村の子供達の面倒をよく見ていた(設定)のモリギーは、突然向かう途中で足を止めわざとらしく何処にでも生えていそうな花を眺めて動こうとしない
マリを小さい子にありがちなちょっと怒られて拗ねていることだと思い優しく見守っていた。
「別に、ワガママってわけじゃあないんです…」
しかし、本音を漏らしたマリの声量は弱々しく年相応というには思春期の少女のような印象を受けた。
それに合わせるように月が闇に飲み込まれ灯火はモリギーの手に持つ青い炎のみとなる。
「(魔族化により思考が大幅に変化すると聞いたことがあるがだとすると彼女のそれはなんなのであろうか?)」
モリギーは幼い少女だと思っていたマリの変化に首を傾げる
「お父さんとお兄さんが死んでお母さんは生きているか本当のことは分からなくてあの時私も死ぬんだと思って…実際に死んで魔物の血肉の一部になったのにどうしてここにいるのかディアルさんは私に何をしてもらうのが一番嬉しいのか…美味しいご飯をみんなで食べてふかふかの布団、温かい背中の中で眠ってわけ分かんなくなっちゃったんです。」
「…初めは理想の王子様がちょっと遅れて私を救いに来てくれたと思ったんです…けどディアルさんはお父さんみたいで、ヘラドさんはちょっとぬけてるお兄ちゃんマエンさんはお花が大好きなおじいちゃん、モリギーさんや戦乙女さんもなんとなく本当の家族みたいで…」
「帰って欲しくないと、」
マリの肩がビクッと震えた。
「そっそんなのワガママどころか迷惑ですよね?」
「どうでしょう、私は充分ワガママの範囲内だと思いますが、」
「えっ?」
「そもそもディアルさんは助けた責任の取り方が不十分ですし、ヘラド様やマエン殿彼らも貴方と言う存在に対して無礼だと思いませんか?」
「そっそんな!会ったばかりなのにあれほどまで良くして貰ったんですよ!感謝はせれど悪意など抱きようがありませんッ」
「………うーむ、確かにそれも一理ありますがーーよしっ!」
モリギーは徐にアイテムボックスにアクセスし、装飾の殆どない棒きれを取り出した。
「私モリギー、こう見えても神の血を色濃く受け継ぐ伝説の種族『ハイエルフ』普段はふざけていますが、今宵は満月、愛を知らぬ美しき少女に神の代理として一つ授業を開いてあげましょう」
作者はディアルとヘラドが存在する限りシリアスを書けないだろう、
理由1、主人公が最強すぎる(ソロモン消失時は剣で対応も可)
2、ヘラドは不良?
3、ヘラドの暴走属性はデコピンで即解決
4、サ○エさん方式を採用するにあたって出来るだけ話を停滞させたくない。ガンガン進めたい
〔モリギー&マリ〕はちょっとだけ続きます。