100層中 50〜80層が俺の城
ちょと短い話です。
「なみゃごみ!」
…マスコットー風、2.5頭身のーー戦乙女ー
「…………」
「せいちょう召喚!うにゃっ⁉︎」
呆然としていると
俺の身の丈ほどの槍が戦乙女の手のひらに現れーー
「…待ちきれずに、落としただと…」
「うわぁ!可愛いィィ!」
肩越しを乗り越え飛び出すマリが小さく見える。
あぁどうなっているんだ、あのムカつく女の皮を被った悪魔があんなに小さく幼く弱々しく…
「ウプッ…マリ、帰るぞ。」
吐き気がする、早くここから離れなければ
「なんでですか〜こんなに可愛いのに、」
「やっやめろ!」
嫌がる戦乙女に頬ズリを繰り返すマリは、とろけた顔で拒否する。
「ぉぉーう」グルッ
胸に棘を突きつけられたような痛みを感じる。
「おっ俺を見るんじゃねぇよ」
ことの原因を生み出した石幢を睨むが困った顔をして突き離された。
「チッ(このロリコン)。ならモリギー」
「な、ん、で、す、か、ディアルさん」
縮こまるのをやめた、四つん這いで動くモリギーがビクッと震える。
「戦乙女を殺れ」
「イヤイヤイヤ無理っしょ!」
手どころか全身を震わせ抵抗の意思を示すモリギー。だがここではいそうですかと納得するのはダメだ、物凄くダメだ。…たとえ命を狙う敵がマスコット化したとしてもな、殺そうとする奴は殺さないと後悔する
「剣の創造」
チャキ
青白い光沢を放った一振りの剣を生み出し何も言わず
に握らせる
「これは?」
「世界に二つとない名剣マサムネ。前回は西洋の剣を作ってみたがどうだ、カッコいいだろう?お前の大好きな『刀』の魔道具だ。」
ごっくん
喉を伝う唾の音が聞こえる
「私の隠れた趣味を何故ご存知で?」
その問いに笑顔を浮かべ
「ステータス魔法だよ」
躊躇いながらも握る指の力を強め戦乙女を視界に捕らえたモリギーに「さあ殺せと」命じようと、
「このような幼子を倒すのになに躍起なっているのですか貴方」
「は?」
〔ーメッセージー〕
「1階層から49層のうち10階層まで整備が行き届いたので、一度こちらに来ていただけませんかね?」
通信の相手、マエンに言われるがまま戦乙女のことは取り敢えず保留にし、石幢らと共に指定された階層に飛ぶ。
シュオン
「ほう、」
着いた先は見渡す限りの黄金、金で彩られた城『金閣寺』より一回り大きい和風の建築物の中だった。
「畳も金かよ…」
決して清潔とは言い切れない身なりの石幢が周りを汚さないように注意を払いながら辺りを呆れ気味に見つめる。
そっと金色の板に手を触れ感触を確かめ驚く
「メッキではなさそうだな」
板はほんのり冷たく触れた先の熱を奪おうとする、これは金属のそれと同じだな。
しかし、全て金属だとすると素材の調達は、魔法でどうにかなるとして重量的に潰れてしまわないのか?
疑問に思っていると下階からマエンが上がってきた。
「よく来たな、ヘラドセラフ、ディアルとその眷属の少女よ。」
「ナイスタイミングだったぜマエン」
「一日でここまで仕上げるとはなかなか立派じゃないか。」
「フッこのくらい造作も無いことだ。それより、もうすぐ朝食の時間帯になる、軽くティータイムでも楽しもうではないか。」
「?。ティータイムって何ですか〜」
「君にはコーヒーは早すぎる、ホットココアは飲めるか?」
「うん?好きですけど、」
「では一杯私が奢ろう、フフッティータイムとはそう言うものだ。」
我らを誘導するように歩幅をゆっくり進め階段を下りていく。
「……。」
何も言わずそのあとをついていく。
マリは何か言いたそうだったが、初めて見る場所に萎縮してしまいマントの裏に隠れてしまった。
コンコンコン…
「着いたぞ。」
「綺麗、」「ヤッベェわレベルが違う」
何も言わずに城の外まで出てマエンが止まった先は円テーブルに備え付けの椅子、そして満開に咲き誇る大きな一本の大樹。
「…桜か、」
マエンのステータス公開は未定