魔王覚醒
ナニモノかがこの小屋に迫って来る気配を感じ石幢は一人小屋を出ていた。
マジいな
…剣が震える、俺に使えと敵を斬れと血をよこせと叫んでやがる。
眠い、気分悪りぃ、コイツを出すんじゃなかった、龍坂に代わるルルコロ、コロス殺セ殺セ殺セ殺セ敵、敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵殺ス殺セ殺ス殺シタ?殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵敵…
「機嫌が悪りぃな」
心の中にまでコイツの感情が侵食してきやがった。封印してんのにこれじゃあ収まりそうにねぇ
ザゼルガー! 濁った色をした化け物が雄叫びをあげながらこちらに来る。気配の主はやはり人ではなかったか。
クッ頭に響く、機嫌が悪りぃっていってんだろ少し黙れよじゃねえとコロ、す、ぞ、ナソバ殺セ。殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ…
「うるせえ」
剣を思っ切り振りかぶり地面に叩きつける。
ドドドドドッドン
グガッギャ⁉︎
地を裂く一撃の余波が奴に当たって吹き飛んだ。
「マジかよ、こりゃーゲームより強くなってんぞ。」
ちょっとイラっときて地面に叩きつけただけでこの威力である。スキルを上乗せなんかしたら星を砕けるんじゃないか。
キーイ
「『下位火球』」
今の音で目を覚ましたのか若干機嫌の悪そうな面をした龍坂が左手に火球を浮遊させながら出てきた。
そういやこいつ中途半端な時間に起こされるとブキぎれるんだよな〜
「…午後23時58分、どうやら異世界転移一日目は終わっていなかったようだな。」
おうおう、キレてんな〜こいつまあ俺も寝起きのいい方ではないからアイツにはムカついたんだけどよ。
殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ…
チッまた暴れ出しやがった。しかもさっきよりもうるせえ
「石幢。」
「あっなんだ!」
こっちは頭ん中こんがらがってんだよ!ああ!殺してえぇ!
「アイツ殺してもいいか?」
コロッ!してもいいのか…
「アレは人間ではないのだろう?」
確かに人間ではないな
「人でないなら問題ないよな。」
そうだな、じゃあ
「じゃあ」
「「殺すか。」」
ナニモノダッギザマラ!
「名乗りれだと、チッ」
「「たかがゴブリンごときが『魔王』の安眠、妨害した罪思い知れ」」
「石幢、先手は譲ろう。」
「そうか。」
いい機会だ暴走するコイツの性能試してやろう。
石幢は肩にかけた剣を天に投げ
「待たせたな〜欲望を満たせ『魔剣 ザダン』‼︎」
死で満たそうソナタの欲望さあ、殺セ!
墜ちてきたのは禍々しく刀身は夜の闇より更に黒く全体を漆黒の炎に包んだ正しく魔と呼ぶに相応しい剣。それを石幢はなんの迷いも無く掴んだ。
「グッグオオオ!」
その手は剣の闇に呑まれるように侵食され石幢が苦痛に顔を歪める
しかし石幢は激痛に蝕まれながらも次の言葉を紡ぐ
「『魔王覚醒』」