バーサーカー戦乙女
「期待して、…ハア…ハア…損したか?」
石幢の召喚?に応じ、俺が殺したはずの戦乙女が魔法陣から出てきた。
しかし、改めて奴のステータスを見ると戦乙女と言う割には低かった。とてもウォータードラゴン相手に太刀打ち出来ると思えない。
「損したね!」
絶望から差した一筋の光が一瞬で途絶えてしまい落胆の声を荒げてしまい片手に溜めていた上級魔法用の魔力を霧散させてしまう。
「 おい石幢!魔剣ザダンとか言うのを抜けッコイツじゃ逃げる時間も稼げそうにない。」
「今の俺には…不可能だ。」
「 ⁉︎ 何を躊躇っている魔剣とは、本当にシモのことなのか?違うんだろ!」
「すまない、だが…くッ戦乙女よドラゴンの注意を引きつけよ」
「了解」
戦乙女は槍を持ちいドラゴンに突撃していったがやはり初手で長い尻尾に弾かれ近くの岩に激突した。ステータスの差どうりの結果になってしまっている。
あの女を召喚した、石幢はどこか疲れ切った様子で顔色が悪く足元がおぼつかない。
クソッどうやら召喚は失敗した様だ。石幢の様子を見る限りかなりのエネルギーを注いで何か強力な召喚兵を呼び出そうとしたようだが、出てきたのはあの女、
恐らく石幢の召喚魔法にはランダム制があるのだろう。
剣を取り戦うような体力を石幢は残していない、ここは俺一人で相手するしかない
「くろっいやブラックノート3ページ1行目氷の槍」
殆ど読んだことのないファンタジー小説の中で比較的安全で安定しているイメージの高い氷魔法を発動させた。
5つの氷の槍がドラゴンの翼に向けて一直線に放たれる。
ドラゴンの体長に比べたら人間と箸ぐらいの差があり意味のないどころかこちらに注意を呼び寄せてしまうこの魔法を使用したわけは、自分の魔法が通じるか試すため、魔法が使えるか試すためであるが
前者が上手くいった場合
龍坂はドラゴンの機動力を裂き身体強化系の魔法を使って石幢と共に逃げるつもりであった。
5つの槍はドラゴンの翼に向け突き刺さ、ることはなく直前で水に溶けた。
「⁉︎どう言うことだ」
「…奴は、水と氷2つの属性を持つ獣のようだ…同属性で敵にダメージを与えるには、ッ最低でも5はレベルが上である必要がある」
杖をつきふらふらの石幢が何やら苦虫を噛み潰したような声で吐く
「なら他の系統の魔法全て打ち込む!」
完全なる博打だが、こちらに注意が向いた以上やるしかあるまい。
「まて…レベルは低いが戦乙女は森属性に雷属性を持っている、上手く協力出来れば倒せるかもしれん。」
「良い案とは思えん、第一知力0.1の奴に背中など任せられるか貫かれるは!」
先程から迫り来るドラゴンをあの女は一定の距離を保ちながら交戦しているが上手く間合いを掴めないのか攻撃を完全には避けきれていない。恐らく知力が低いことが原因なのだろう。
攻撃力はまあまあ高く知力が低いこれではただのバーサーカーだ。
「なら、令◯を持って◯ずる。」
えっ⁉︎
石幢は左手に怪しく光るシミのようなものを翳し
「戦乙女よ龍坂裕翔に協力し、巨大なる敵を排除せよ!」
「了解した主よ」
「…ハア…これでいいのだろう?」
バーサーカーってクラスのことじゃないから!