第一幕
更新結局一日遅れました。すみませんm(_ _)m
公立受験終われば毎日連載になります!
目を覚ますと『見慣れていた』私の部屋のファンシーなピンク色の天井が目に入ってきた。
なんて目に優しくない色なのかしらと思うが、少し前までの『アリス』はこれをとても気に入っていたのだ。
しかし生まれてからの5年間、気に入っていたはずのこの天井はたった今、この瞬間、違和感を覚えるものになってしまった。
なぜなら、『アリス・ヘルキャット』は転生者だからである。
私の記憶のトリガーとなったのは多分、お兄様の魔法だ。
転生したと既に確信しているのは、この5年間の人生の可笑しな点が転生したと考えれば辻褄が全て合うからである。
幼い頃からといってもまだ5年しか生きていないが、私は他の子と比べて『とても』大人びていた。
例えば、他の同年代の子がお茶会などを行い外で会話を楽しんだりする中私は家庭教師と勉強をしていることだ。
お茶会に参加しなくなったのは確か3歳の秋の頃の話であった。
当時3歳の私は実に可愛いげのない子供で、お父様とお母様に最初に頼んだことが家庭教師をつけてほしい、ということだった。
「おないどしのおともだちと、はなしゅよりも、ずーっと、ずーっと、おべんきょーのほーが、たのしいの!」
と宣言して必ず出席しなければならないお茶会以外は出なくなった娘にお父様とお母様はどんな思いをしたのか今となっては分からないが、きっと頭を抱えたくなっていたのであろう。
貴族が、しかも子供がお茶会より勉強を優先するなんて前代未聞であったのだから。
ちなみに、現在5歳の私は高校卒業レベルまでの内容を修了しており、そのせいで『アリス・ヘルキャット』はとても優秀な少女と社交界では有名らしい。
しかし、そんな異常なことも、転生したと考えれば全てが繋がる。
前世での私は、いわゆる天才という部類に入る高校生だった。
確か留学から帰ってきたときがちょうど正月シーズンで、餅が懐かしくなって食べたら喉に詰まらせてしまったところまでは覚えているから恐らくそれで死んだのだろう。
どうやら転生した際に記憶が曖昧になってしまったようだから確証は持てない話だが転生したということは間違いないと言えた。
そして、生まれ変わったこの世界は私のつまらなかった前世の中で唯一の癒しであった乙女ゲームの世界なのだ。
だからといって今までアリスが置かれていた環境が変わる訳もなく、そして私も転生していることに気づいたからといってアリスの記憶がなくなるわけでもなかった。
つまり、前世の記憶が増えただけ。
いつも寝ているベッドからゆっくりと身を起こすと少し頭が痛むものの、やはり体に異常は見られなかった。
きっと部屋の扉の外には私の侍従が控えているのだろうとは思ったが、今、私には、彼を呼ぶよりも遥かに、とても重要な...『アリス・ヘルキャット』にとって命に関わる重要なことをする必要があった。
ごめんなさいね、と心の中で侍従に謝ると私はこっそりと音をたてないようにしてベッドを抜け出し机を開けて、必要なものを取り出す。
羽ペンとダイアリー。
私は頭痛と戦いながら頭を整理し、5歳児とは思えない美しい字で『思い出した記憶』を書き出していく。
この世界...つまり『DISTINY LOVE~運命の君と恋を~』、通称『ディスラブ』での思い出せる限りの『アリス・ヘルキャット』のことを。
というわけで、次回からアリスちゃんの死亡フラグ回避の始まりです!