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序幕

他では携帯小説を書いているので、こういう書き方は初めてです...

慣れてなくて「下手!」と思ったらごめんなさいm(_ _)m



「アリス、これがこれからアリスが学ぶ『魔法』だよ」



 プラチナブロンドの髪を風にたなびかせて、お兄様が私に見るものを虜にする美しい微笑みを向ける。


 お兄様が指差す先には私が今まで見たことないほど強い光が溢れていて、その光から私は何故か強い力と『恐怖』を感じた。


 しかし、先程説明したように、私は今までにこの光を見たことがないはずなのだ。


 お兄様が嘘をついているとは思えないし、お父様とお母様に至ってはもし、私に、魔法に関することで無意識で恐怖を覚えるほどのことがあったならこのような状況は作らないだろう。


 私の両親はとても優しい方だから、そのようなことがあったならば私には魔法をこのように親のいない場面で魔法をみせないと断言できる。


 きっとお兄様にもその場面なら言ってあるだろうし、お兄様もそれを守るだろう。


 では何故、私は恐怖を覚えたのかしら...と実はずっと考えているのだけど、どうしても頭のどこかで突っ掛かっていて思い出せない。



「ねぇ、お兄様。この魔法はどんなものですの?」



 私がそう問いかければお兄様は私と同じアメジスト色の大きな瞳を驚いたように瞬かせて、そして、また優しげに微笑んだ。


 お兄様の反応の理由が全く分からない私は、目を不安げに揺らしながら輝き続けている光と対峙した。


 その光に確かに恐怖を覚えているのに、光のもとである『魔方陣』というものを見ると懐かしい気持ちになる。


 よく...いいえ。毎日といっていいほど私はこれを何処かで見ていたはずだ。


 頭が覚えていなくとも、体が震えてその光を拒否しようとも、私の魂は確かにこれを知っている。




「アリス、それは...僕の作った魔方陣だよ。僕と契約した『イザベラ』の召喚魔方陣なんだ。」




 お兄様の言葉と同時に魔方陣から水があふれでてきて、人間ではない『ナニカ』が飛び出して私たちの前に姿を現す。


 

《「出でよ、我の契約精霊...」》



 頭の中、奥深くでお兄様のような、だけどお兄様より数段低い声が流れて、先程からの違和感がパズルのようにカチカチと真実にはめこまれていく。


 カチカチカチカチとはめこまれていくピースに私の頭は熱く、熱くなって、意識が朦朧になり目の前の景色が歪む。




「アリス、紹介するよ。僕の契約精霊である水の大精霊『イザベラ』だ」




《「水の大精霊『イザベラ』!」》





 カチリ、と。


 先程まで感じていた違和感が全て綺麗にあてはまった。


 

「嘘...でしょう?」



 恐る恐る、召喚の際に起こった水に映る私の姿をみる。


 



 ゆるいウェーブのかかったピンクブロンドの髪に、お兄様とお揃いのお母様譲りの美しいアメジストの瞳。

 

 大きな瞳、高く小さな鼻、ぷるんとした愛らしい唇に、ほんのりと薔薇色に染まった頬の、人形のように整った顔立ち。


 


 極め付きには、特徴的な、髪についた大きな赤色のリボン。





「そんな......、え...?」


「アリス?」





 混乱して頭がぐちゃぐちゃの私を心配したのかお兄様がそっと私を除きこんでくる。


 その麗しい顔が映った瞬間、私は現実を...非常に受け入れたくない現実を理解した。





 私の名は、アリス・ヘルキャット。



 お兄様こと、フィリップ・ヘルキャットの妹で、このアラバスター王国の伯爵家、ヘルキャット家の長女。



 そして信じたくないことに、私はどうやら転生者で、とある乙女ゲームの世界の一員になっているようなのだ。






 それこそが日本屈指の乙女ゲーム『DESTINY LOVE』。


 王道の乙女ゲームを宣伝しておきながら、実際にプレイすると「確かに攻略対象は王道の『設定』だが、シナリオがたまにダークだ」という評価を出されたものだ。



 そして私はそのシナリオの主要キャラにどうやらなってしまったらしい。


   







「...最悪だぁあ」


「アリス!? 誰か!アリスが気を失ってしまった!」



 そう。


 私、アリス・ヘルキャットはいわくつきの乙女ゲームの『悪役令嬢』になってしまったのだった。

次回更新は明日か明後日です

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