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NIGHT NEON(ナイトネオン)  作者: THE黒
3/14

EPISODE:2[白の××]

〇月〇日午前5時23分。天気は晴。空の所々に暗雲が散りばめられていた。


その瞬く間に起きた出来事は今後思い出してしまうほどに私の脳裏に刻み込まれたであろう。


たとえ自分が刺した者が生きた人間でなくとも、見た人間にとって異形と呼ばれる「幽霊」と呼ばれる

存在であっても、相手の腹に刺さった名刀「羅雪らせつ」から伝わる触感は人間と相変わらない

ものであった。


「エヴァーダーク…いや元シックスシリーズ・「テツワンブラック」の所持者クオン…。指令の指令により貴様を即刻処分とする。」

「…成程、アンドウさんが言ってたシックスシリーズの一人ってわけか。」


目標ターゲットはどうやらまだ会話できる状態らしいが、余裕というわけではないらしい。

右腕部分の霊体は完全に断ち切られ、見る限り霊力も乱れている。


「で、その処分ってのは何だ…仕事終わったばっかなんだが?」

「残念ながら、テツワンブラック…お前の存在意義は先程パーフェクト・ゴックアークを打倒した時から既に失ったのだ。」

「どういう事だ…?」


「ふっ、どうやらその様子では気づいていなかったようだな。自分が戦っていた「相手」の正体を…貴様らが我々から離れていったあの時から始まった20年間の「偽りの英雄譚ヒロイズム・プラン」は…我々「陰陽庁おんみょうちょう」の計画の序章に過ぎない。」



「………ああ成程、大体分かったよ。お前の御託はさておき…要は俺は今ここで、その刀によって


 この世界から消え失せると―――」


目標を刀で刺している態勢の中、私は後ろから鋭い殺気を感じた。しかし後ろを振り向けずにいた自分の真後ろから光る物体―――もとい先程切断されたはずの目標(クオン)の右腕が自分に目がけて襲おうとしていた。しかし…


「…これがお前の一撃こぶしか?」


と私は言い捨てると同時に、自分の脚部に仕込んたクナイを射出してそれによって宙に浮いていた腕を弾いた。どうやらこの瞬間を待っていたと言わんばかりの「賭け」の一撃だったのか目標さえも少し悔しむ表情であった。


「…」


弾かれた腕は跡形もなく消滅した。残念ながら自分がこの状態でいられる時間は少ない、相手の方も風前の灯火である。時間をかけるつもりなど更々ないが。


「これ以上のおしゃべりは無用だ。黒の英雄、今からお前の罪を」


「ああっとその前に一つ言い残したいことがある…。というよりもある疑問だな…」


どうやらこの期に及んでまだ何かを言いたいらしいが、まぁいい。 今更どんな一言が出てこようと…


陰陽庁(テメェら)は一体何の為に動いてる? あのジジィは…何のために「霊体おれたち」を集めた?」


そう目標(クオン)が問いかけた時ゴミ収集所を中心とした空は暗雲に覆われ、十分前の戦いの最後のように静まり返る。風の音も、ゴミ山からゴミが落ちる音さえもなくただただ静寂であった。そしてその静寂の中で響いた私の答えはただ一つだった。


「お前と一緒だ、テツワンブラック。純粋な『平和』の為だ―――。誰もが手を取り合い、団結し同等の関係を築ける完璧な世界平和、ただ一つだ!!」


そう答えると、時が戻ったかのように周りの雑音が再び聞こえるようになった。ただ…

目標の表情は私の答えに対して貶すかのような嘲笑のように伺えた。


「ふぅん…あっそ。まっ俺ぁテレビのインタビューでんな事言ったことは無いし、そんなつもりさらさら起きていなかったが、俺たちの共通点は互いに馬鹿だってことだけ     

                                 スパッ

                                     だ…。」


半透明ともいえる目標の体を両断したその斬撃は先程までアストロンベイを守り抜いたヒーローに対して余りにも冷酷で、余りにも非情でそして余りにも『寂しい』ものであった…我が手で切り抜いたその感触何物にも代えがたき虚しさを感じた。斬られた目標は徐々に光る塵となって



「いくら「罪」を重ねようとも、私の刀の軌道は変わらん。





 ―――さらばだ、過去の試験体ヒーロー…」






ガチャン…


「ん?…」


気のせいなのであろうか…先程からヨモツマチへの入口付近にある小さなゴミ山に気配がする…と注意して観察していると、その裏側にあった鉄屑やゴミの山が崩れた。目にした私は「羅雪」で居合の姿勢で構える。


「…何者だッ?!」


斬ッッッ!!!


遠距離から放たれた刀身よりも長い斬撃による衝撃波はゴミ山を断った。だがそのゴミ山の裏にも反応がない為警戒しながら近づこうとした。すると本部からの無線が届く。


『ソルジャー01、【アシュラホワイト】。こちら【本部】…管制室より目標の霊力消失を確認。直ちに黒の憑依装弾(ヨロイボム)を回収し撤退せよ。』


どうやら()()()()がきてしまったようだ、白い鎧から形態を整えていた筈の私の霊力が漏れ出していた。

これ以上は行動できない、命令通り撤退するとしよう…。


「…了解、撤退します。」


私は切断された「小さなゴミの山」を数秒見つめた後、その場から跳び去った。


~~~


同時刻。アストロンベイ「ゴミ収集所」直下の下水道…「アシュラホワイト」と呼ばれる白い鎧武者によって切断された「ゴミの山」の下にはゴミによって埋もれた下水管があり、そこからは小さな嗚咽が聞こえる。下水道の中に蠢く数体のネズミの群れ、鼻が曲がるほどの異臭を放つ汚水…普通の人間であれば長く居たくない場所で…上から滴る水の音と同時に先程の嗚咽の主である「黒の英雄」・エヴァーダークの実の弟にして最高のファンであったネオンは涙が流すことはできなかったが…自分の「ヒーロー」である「兄」の死にただただ苦しく、


「うっ、ううっ…」


悲しみによる心の軋む音が増す一方であった―――。


Episode2:[白の凶刃]END

次回、Episode3:[遺したもの]へ続く。

[用語解説]

偽りの英雄譚

20年間続いた英雄「エヴァーダーク」と「暗黒連合」との戦い。最初に出現した悪の組織「ゴックアーク団」から始まり、超人帝国「SYC(サイコ)」、機械化戦闘獣族「ビースタ」、宇宙軍事国家「ユニヴァリオン」等…様々な悪の組織がアストロンベイでエヴァーダークと戦うが、悪の組織との戦いでエヴァーダークが負けたことは1度もなく全ての悪の組織によって構成された「暗黒連合」の最終兵器に「エヴァ―ダーク」が勝利して「黒の英雄」の無敗伝説は幕を閉じたかのように思えたが…


[今回のピックアップヒーロー図鑑]

【No.2】「白の凶刃」アシュラホワイト

[身長]:185cm [体重]:120kg パンチ力(並びにキック力):測定不能

「黒の英雄」エヴァ―ダークを打倒した謎のヒーロー。エヴァ―ダークとは異なり

純白のボディカラーであり、冥刀「羅雪」やクナイを使用して戦う!!

強いぞ、すごいぞ、アシュラホワイト!!


[作者にて]

どうも、お久しぶりでございます。作者のTHE黒です。いやぁ投稿遅れてしまってすいません(涙)。

まぁちょっとこの四月に社会人になり忙しくなってしまい今後も投稿が遅れるかもしれませんが、どうか

ご了承くださいませ。えー物語としてはこの2話から本編が本格的にスタートいたします。巨大都市を守り切った黒の英雄・「エヴァ―ダーク」が謎の白い鎧武者「アシュラホワイト」によって打倒され、主人公であるネオンがどうなってゆくのか?そして今後のアストロンベイはどうなってゆくのか?どうかごゆっくりお楽しみください…それでは第3話の[作者にて]でお会いましょう。また、「戦力GUY」のアカウント名でもTwitterもやっておりますのでそちらにもコメント、ご感想をお待ちしております。それでは…

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