嘘か真か
気づくと雲の上を歩いていた。
何が起きたか、なんで歩いてるのか分からないが、ここが雲の上だということだけはハッキリと分かる。
「…………?」
何かに呼ばれた気がした。
僕は無意識にそっちの方向に向かっていく。
しばらく進むと看板のようなものが見えてきた。
アナタハトラックニヒカレテシボウシマシタ。
オナジジカンニモウヒトリショウジョガシボウシタタメ、ドチラガテンゴクニススムカキメヨウトオモイマス。
ルール1 この先に同じ容姿、同じ声の門番が扉の前に居ます。
ルール2 貴方はどちらか一方に1つだけ質問をすることが出来ます。
ルール3 天国の門番は何事も正直に、地獄の門番は何事も嘘を話します。
ルール4 貴方が天国に行くと少女は地獄へ、貴方が地獄へ行くと少女は天国へ行きます。
ルール5 貴方が天国の方を分かったとしても必ず天国に行かなければならないということではありません。
看板にはこのような事が書いてあった。
この先に視線を移すと、確かにここからでも分かるくらいに同じ容姿をした堅苦しそうな男性が大きな扉の前に立っていた。
……要するに答えが分かるのだったら少女を助けるか自分を優先するのか決めて良いってことだろ?
「嫌なゲームだな……」
だが一つ決まっていることがある。
──別に会ったこともない少女を助ける義理もないってことだ。
あとはどちらが天国かを当てれば良いだけである。
……まず、こっちは天国ですか?と聞いたこととしよう。
その時は天国の方は、はい。地獄の方は……はい。と答える。
だとその逆のこっちは地獄ですか?も同じだろう。
じゃあ、自分は男ですか?と聞いたこととしよう。
天国の方ははい。と答える。地獄の方はいいえ。と答える。
これだ。
あとは、はい。と答えればその男の立っている方の扉に、いいえ。と答えればその反対の扉に向かえば良いだけだ。
僕は思いの外簡単だった……と思いながら男の方へ向かった。
「「質問は?」」
「自分は男ですか?」
「男だ」
僕は思わず笑みを浮かべてしまう。
「くっくっく。名も知らない少女よ。永遠にもがき苦しめばいい!」
僕はそのまま笑いながら問いかけた方の扉をくぐった。
「──へっ?」
最初は何が起こったのか分からなかった。
どうやら僕は雲の上から下へ下へと落ちているみたいだ。
ここでも自由落下の法則が通じているのか、どんどん落下の速度が上がっている気がする。
ああ──
僕はちょっとした現実逃避をしながら思う。
──どうやら答えを間違えてしまったらしい。
さてこれを書くのに一時間かかった自分は遅筆ですよね……
書く速度を上げるために何日かに一回はしてみようかと思います。
新酒呑童子の野望の方は少しずつ書き進めてるのでもう少々お待ちください……すみません!