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ワンライ投稿作品

「ついに追い詰めたぞ魔王!」

作者: yokosa

第112回フリーワンライ

お題:

何かが割れた

4つの星

ゆらり揺られて心と体

掴まれた心臓、離された心


フリーワンライ企画概要

http://privatter.net/p/271257

#深夜の真剣文字書き60分一本勝負

 大陸の西の果てに、『世界の最果て』と呼ばれる土地がある。太陽を飲み込む最果ての暗黒領土。そこに魔王の支配地があった。

 その日の沈む地で一筋の光明が差した。

 今代の魔王リヒダを勇者ライトが討ち果たしたのだ。

 その時、世界中の民は何かが割れる音を聞いた。硬いガラスが砕け散ったような音。人々はそれを魔王の心臓が砕けたものと信じた。

 人は怯えることのない明日を信じられるようになった。

 魔王が不在となっても、魔王軍未だ健在。それでも希望はあった。


 時を同じくして、四つの星が各地に落ちたという。不吉を意味する赤い色の星……


 *


 旅装を整えたトゥールを見て、村人が声をかけてきた。

「よう、ついに行くのか」

「ああ」

 頷いた。隠す必要はないし、ましてや恥じる必要も全くない。

 トゥール・レフトが勇者を目指していることは、この辺りの者なら誰でも知っていることだ。

 トゥールの装いは皮鎧と中古の長剣、そしてナップサックだけだった。だがこれで充分。重要なのは持ち物ではなく戦う意思だからだ。

「今更何も言うまい。最近この辺りの魔物が特に活発化している。調査隊の面々が交代で見回ってくれてるが、街への道中はくれぐれも気ぃつけな」

 ぶっきらぼうだが、暖かい激励の言葉。トゥールは思わず口元を緩めた。

「知ってるよ」

「ああ……お前そういや昔、魔物に襲われたところを調査隊に助けられたんだったな」

 そう。それが彼の起源だ。誰かを助けたい、誰かを救いたいという想い。


 トゥール・レフト。

 十五年前、赤い星が飛来した日に産まれた少年は、決意を新たに故郷を旅立った……


 *


 魔物の活発化は魔王復活の予兆――

 昨今、闇の勢力が不気味な胎動を繰り返しているのを、誰からともなくそう言い始めた。

 予感は的中した。

 トゥールは旅を続け、仲間を集め、各地の魔物を退治するうち、大事件に巻き込まれた。

 魔王軍残党の砦を襲撃した折、出会ってしまった。

 そいつは、魔王リヒダと名乗った。

 いや、正確には魔王リヒダの欠片。十五年前、四つに分かたれたリヒダの一部、その一つだという。

 トゥールと一行は苦戦の末、そのリヒダの一部を倒すことに成功した。

 炎の魔法を放った隙を突き、仲間に庇われて無傷だったトゥールは、魔王の心臓を剣で串刺しにした。

 リヒダの魔力が鳴動し、瞬間、星の如く輝く赤い光となってトゥールを包んだ。


 魔王は跡形もなく消えていた……


 *


 三体目の魔王の欠片――

 トゥールは勿論、仲間たちも最早戦い慣れたもので、開戦後から魔王を圧倒した。

 魔王リヒダは魔力の杖を振って衝撃破を放ち、間合いを取ろうとする。弓使いが察して、杖を弾き飛ばした。反射的に身を固める魔王を、戦士の槍が襲う。貫かれこそしなかったが、魔王の体勢が大きく崩れる。トゥールはその瞬間を見逃さず、斜めに斬り伏せた。

 流石は魔王と言うべきか。満身創痍になってもまだリヒダの息はあった。

「ついに追い詰めたぞ魔王」

 決して油断はしない。一部とはいえ本物の魔王なのだ。

 トゥールは警戒しながら近付き、剣を構えた。まっすぐ心臓を一突き――


「待て!」


 トドメに割って入る声があった。

 広間の大扉をくぐって、闖入者が入ってきた。全部で五人。

 先頭に立つのは十五年前、魔王リヒダを討伐した、勇者ライトその人だった。

「ようやく見付けたぞ」

 トゥールの仲間たちは、当然魔王のことだと思った。勇者ライトが魔王を追うのは当然である。

 だが、何故。

 何故トゥールを止めたのか。

「お前が。お前がそうなのか――各地の魔王を吸収していた者!」

 ライトが剣を抜き放った。切っ先を突き付けた相手は、リヒダにトドメを刺そうとする、トゥールだった。

 トゥールは戸惑った。当たり前だ。勇者に憧れ、勇者を目指し、今また魔王を打倒しようとしていたのに。勇者に糾弾されるなど。

 ぐらり。トゥールの体が揺れる。いや、体は揺れてなどいない。目が回る。体の感覚が消えていく。まるで、精神だけが体を離れて揺さぶられているような……


「十五年など、泡沫の夢に過ぎん」


 それはトゥールの口から漏れた言葉だった。しかし、トゥールの言葉ではなかった。

 血の気が引く。心臓を掴まれたような気分だった。体が離れていく。心が引き剥がされる。

「所詮は仮初めの肉体」

 そいつは――蘇った魔王リヒダは、トゥールに向けて告げた。それが彼の聞いた最後の言葉だった。

 魔王が滅ぼされたあの日、世界に散った星と同じように、禍々しい赤い光がトゥールを包む。

「これが最後だ」

 剣が魔王の欠片を貫いた。欠片が放つ光と、トゥールの体から漏れる光が一体化する。

 勇者ライトと一行は直ぐさま身構えた。

「正体を現したな!」



『「ついに追い詰めたぞ魔王!」』了

 もうちょっと文章なんとかならんかったのか感。あと魔王魔王ってもっと具体的に描写せーよ。

 書き慣れてなさが如実に表れてるな。最近全然ファンタジってなかったもんだから。

 名前も適当。

「勇者? 正しいからライトだろ。魔王は勇者の反対だからライトの逆でレフトな。そのままだとあれだから左をもじってリヒダで。主人公は魔王の現し身で、本物の左だからトゥルー・レフト」

 こんな具合。

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