2話目
「何でも...一つだけ...」
「ああ、そうだ。」
真っ先に浮かんだのは朋夏のことだった
ずっと好きだった彼女が彼女になる
手をつないで、一緒に笑って、泣いて...
だけど僕はさらに上の考えを思いついた。
「僕の願いが...すべて叶う世界にできる...?」
「あー。できる。すごいな、そんなこと言ったのはお前が初めてだ笑」
八重は何か変な取っ掛かりを感じた
今までの話から考えたら明らかにおかしい
が、それが何なのかこの時はまだわからなかった
「じゃあお前の願いは「全ての願いが叶う世界になる」でいいか?」
「お願いします」
迷いなく首を縦にふった
「わかった。しかしだ。お前の願いは強力すぎるものだ。悪魔側としても都合が悪くなる。だから、いろいろと制限はつけさせてもらう。」
「制限...?」
「まぁ簡単に3つ。
まず最初に、自分以外の生きているものを直接操ったり、召喚することはできない。
次に生物の生死を直接的に操る、つまり生き返らせたり殺すことはできない。
最後に人間界しかこの願いは使えない。
覚えたか?」
「要するに人間界の自分と無機物しか操れないと。」
「え、あ、あぁそうだ。よくわかったな...」
こいつ今完全に俺をバカにしてたな
「あと、お前に試練がある。」
「さらにかよ!」
「強力といったろう?それほどお前の願いはすごい力なんだ。」
確かに、お金は本物を出せるし、俺だけなら時空や空間を自由に移動できるんだ...無機物だけとはいえすごいのかも...けど朋香は彼女にならない...いや、プレゼントとかで頑張ろう。
「じゃ、選択肢は2つ。一つは人間の魂を私に受け渡す。」
「それじゃ生きられないんじゃ?」
「お前が生きれるよう願えばいいじゃないか。」
確かに...
「もう一つが地獄を見る...いや、体験する、か?」
「はぁ...」
「人間が苦と感じるすべてをお前に同時にふりかけるんだ。」
いまいちよくわかってないのを察したのか、悪魔はさらにつづけた。
「激痛、とか、熱いとか寒いとか、そんな感じだ。」
なるほど、なら一番気になるのは...
「体験時間...」
「1時k...いや、人間界では1日か。ちなみに、耐えきれないやつのための自滅スイッチも用意するようにしてある。」
「...」
「どうだ?決まったか?」
人の魂は譲りたくない...しかし24時間苦痛に耐え切ることは難しいだろう...僕は必ず音をあげてスイッチを...
「どうした、早く決めろ。二つに一つ。お前の願いを叶えるにはどちらかを選ぶしかないんだからよ。」
「...決めた。僕は..................」
「.....わかった。まぁお前がお前のままでいれることを祈ってやるよ。」
「それと...小さいサタンで“コサト”って呼んでいい?」
「...好きにしな。では、グッドラック。」
そういってコサトは消え去り、イスから僕は開放された