1話目
「八重ぅ?お前は補習なー」
「何でですか先生?」
「昨日の宿題まだ出してないからだ。当たり前だろう?帰りまでにだすように。では朝のHRを終わる」
また補習だよ。
わかってたさ、それくらい。
「やぁやえ君。また課題を出さなかったのかね?」
「嫌味か?丸々。」
「そのあだ名やだって言ったじゃん!私には丸赤 朋夏(まるあか ともか)っていう名前があってだねぇ...」
あーめんどい。こうやってからんでくるのが俺だけならどれだけ嬉しいことか。
そう、彼女は誰にでもこうだ。
悲しい現実だな。
そう思い八重が朋夏の話を無視して窓から空を見上げる。
あぁ。今日も晴天なり。心地よい風。春って感じだなぁ。俺の春はいつくるのやら。
「ねぇやえ君聞いてる?」
目が覚めたらそこは体育館。
しかし誰もいないし、カーテンが閉まっていて外も見えない。
わかるのは、僕、八重が椅子に固定されているのと、目の前になぜかリンゴがおいてあることだけだ。
なぜだろうか。
どうしてここにいるかわからない...
すると
「あんたは選ばれたんだよ。」
「ひっ!リンゴが喋った!」
「失礼だね?よく見なよ」
言われた通りリンゴをよく見ると横に小さな女性があぐらをかいて座っていた。
髪も長く、いわば女神といったところか。
「えーと...誰ですか?小人なんて初めて見ました...」
「へぇ...あんたは私を小人と思うか...」
よっこらせ
といいながら、小人は立ち上がる。
立っても身長はリンゴと同じ。
しかし、美形だ。
「私の名前はない。まぁ俗に言う小悪魔ってところだ。」
「は、はぁ...」
「なんだ?驚かんのか?」
「今頃驚けと言われましても...」
「まぁそうだわな。さて、あんたには権利がある。」
「権利...ですか?」
「そうだ。どんな願いも一つだけ叶えることが出来る権利だ。」