第六話 勇者、魔王城で門前払い!?
更新が一日遅れて申し訳ございません。
続きとなります。前回よりかは、ちょっと短めとなります。
第6話 勇者、魔王城で門前払い!?
勇者は、街で女性に教えられた道を通り、魔王城へと辿りついていた。しかし、魔王城へと辿り着くまでに一波乱起きていたのである。そのせいか、服はあちこち汚れ、息はかなり乱れていた。
ちなみに魔王城への道のりでは、魔物だけでなく、時折凶暴な獣が出ることもあり、それなりの装備やそれに対する対策をしてないと決して安全とは言えない道なのである。それと同時に、簡単な対策さえ施せば安全に通れるのであり、危険な道とは言えないのである。
しかし、勇者は、装備にしろ、対策にしろ何も施してはいなかった。むしろ丸腰と言っても過言ではないほどである。
では、魔物や獣達に襲われることで、このようになったと思われるだろう。しかし、全くと言っていいほど、勇者は、魔物にも獣にも襲われなかった。むしろ遭遇さえしなかったのである。
平和になってから3代と続いている勇者の家系、いくら平和とはいえ、勇者としての加護はおそらく失われていないのであろう。腐っても勇者である。
では、勇者がこのようになった原因はなんであろうか?それは、ひとえに彼の持つスキルによるものである。
勇者は、何も無い真っ直ぐの道で数度に渡り、落とし穴に嵌り、また右に曲がるべきとこでは、左に曲がり、左に曲がるべきとこでは、右に曲がるという奇跡的にも真逆の道を進むことで大幅な遠回りをした挙げ句、道に迷っては戻りを繰り替えてしていたのである。
つまり、彼の迷子スキルが発動したのである。
落とし穴に数度嵌るという副産物がついていたが、これはおそらく彼のスキルがパワーアップしたのであろう。ただの迷子スキルから、平坦な道においてもドジを踏む迷子スキルへと。
そんなこんなで、七転八倒の末、勇者は、魔王城の門の前へと辿りついていた。
「はぁー、はぁー。ようやく辿りついたな。ここが魔王城で合ってるよな?看板立ってたし。」
勇者は、そう呟くと、再度確認をする為、看板の方を見た。看板には、このように書かれていた。
『ようこそ!魔王城へ!
入口は、こちらを真っ直ぐ進んだ先にある門となります。門を潜った先にある部屋の入口付近に受付がありますので、そちらの方で受付をお済ませください -魔王-』
「やはり、間違ってなさそうだな。しかし、この受付っていうのは、なんだろうか?魔王が、出してるみたいだが・・・。よくわからんが、とりあえず、進んでみるか。」
勇者は、看板を見て、ここが魔王城だと確信すると、看板の内容にやや疑問持つもののそのまま門の方へと足を進めていった。そして、門を軽く押すと、キィーと音を鳴らしながらゆっくりと開き、その中へと入っていった。
勇者は、魔王城の中を道なりに進んでいくと、前方にゲートがあるのが見え、その横にガラス窓の付いた小さな小屋みたいなものがあるのが見えた。
「ん?なんだあれは?遊園地のゲートか?その横にあるのは、看板に書いてあった受付かな?とりあえず、受付に行って聞いてみようか。」
勇者は、律儀であった。魔王からお姫様を取り返しに来ているのだからそのまま強行突破すればよいものを、1度受付に確認しにいっている。変なところで勇者は、常識を発揮していた。
受付まで辿り着くと、中にいた『さんぼー』とひらがなで書かれたネームプレートを付けた男の人に勇者は、尋ねる。
「あのー、すみません。ここって、魔王城で合ってますよね?あの遊園地にありそうなゲートはなんですか?」
受付員は、答える。
「いらっしゃいませ。ええ、ここは、魔王城であってますよ。あのゲートは、お客さんの言う通りのものですよ。中に色々アトラクションが、ありますんで、こちらでチケットを買っていただいて、ゲートの前にチケット入れると通れる仕組みになってるんですよ。」
「えっ?・・・アトラクションですか?しかも中に入るのにチケットいるんですか?というか、チケットさえ買ったら誰でも入れるんですか?」
受付員から返ってきた思いがけない言葉にやや呆然としつつも確認の為、勇者は疑問を投げかけた。
「そうさ、アトラクションだよ。そりゃ、うちテーマパークやってるんだから当然だよ。そうだねー、わかりやすくいうと、あのユニベールステイディオを思い浮かべてくれたらいいかな。」
「えっ?あの大きなテーマパークのユニベですか?」
「そうそう。まっ、うちはあそこまででかくはないけどね。で、どうするんだい?中に入るかい?入場料は、10000Dだよ。」
「ええーっ、まさかテーマパークだったなんて・・・。入場料めっちゃ高ないですか。わかりました。ええーっと、財布は・・・。」
勇者は、驚愕の事実を聞き、驚きつつも、魔王から姫を取り戻すためにも、まずは入場料を払って入る必要があるので、財布を探す。しかし、一向に財布は見つからない。
「あれっ?おっかしいなー。なんで見つからないんだ。」
再び探し続けるもやはり財布は、見つからない。もう一回だけ、探してみようと思った時、勇者はあることに気づく。
(そう言えば、俺財布持ってきてないじゃん。しかも王様からも何も貰ってないし。ってかそもそも武器と防具すらまともなもの装備してないじゃないか。こんなのどうすりゃいいんだよぉ~)
勇者は、大切なことであり、自身のことについてもっと早く気付くべきことに今更ながら気づき、てんやわんやとなっていた。そして、勇者の頭の中で、何十回目となる『どうしよう』という言葉が巡ろうかとしている時、受付員から声をかけられる。
「お客さん!大丈夫ですか?どうやら見た感じ財布を忘れたみたいだね。中に入ってみたいようだけど、チケットを買ってもらわないと入れてあげられないからね。これも商売じゃけん。とりあえず、財布を取り戻ってそれからまたおいでよ。チケットは、まだ発行しちゃいないから大丈夫さ。」
「ほ、本当にすみません。ありがとうございます。ちゃんと財布持ってまた来ますので、よろしくお願いします。」
勇者は、受付員の人に謝ると急いで来た道を戻り、魔王城を出ていった。
受付員は、勇者の方へ手を振って見送るとポツリと呟いた。
「それにしても暇だねぇ~。まだ姫様はあっちのほうで遊んでるし、客は来ないし、今回の策でなんとかなるといいんだけどねぇ~」
魔王城を急いで飛び出した勇者は、来た道を戻り、王様の城へと向かっていく。その途中、思いっきり叫んでいた。
「あんのクソ王め。変なことばっかしかてねーで、取り戻すための準備費用ぐらいよこせよ!」




