第四話 勇者旅立つ!?
第4話 勇者旅立つ!?
ピピピ、ピピピ
目覚ましの音が部屋の中に鳴り響く。
布団の中に入っている者は、その音をうっとおしそうに完全に覚醒しきれていない言わば寝ぼけた状態でその音の発生源を突き止め、音を鳴り止ますためにもぞもぞと手を伸ばす。
しかし、探れど探れどその音源は見つからない。鳴り止まない目覚ましを止めるため仕方なく、目を開けてみると目の前に目覚ましを持ったおっさんが立って、こちらを見ていた。
「むっ、目が覚めたか勇者よ。王様がお呼びだ。すぐに支度して城へ来い。」
おっさんが、そう俺に話しかけると、目の前の受け入れ難い真実(目覚ましを持ったおっさんが起こしに来るという事実)に俺は、気を手放していた。
所変わって、王様の城の前へと勇者は来ていた。今朝の出来事を目にして気を失っていたはずなのだが、王様の城に来いという命令はちゃっかり覚えていたのである。
「ここに来るのも久しぶりだなぁ…。この平和な時に王様は何の用なんだろう?」
勇者は、そう呟きながらも考えても仕方ないかと思い、足を城の入口へと進めていった。
「おはようございます。王様は、どこにいらっしゃいますか?」
勇者は、城の入口に立っている衛兵に挨拶をした後、王の居所を尋ねた。
「ん?あんたが、勇者ってやつか?王様なら今は、玉座の間にいるぜ。道は知ってるか?」
衛兵は、勇者が王様に呼ばれていた人だと気づき、王の居所を教え、丁寧にも玉座の間への道を知っているか聞いてくる。それに対し、勇者も返答する。
「玉座の間ですね?ありがとうございます。知ってますよ。1階から地階へと下りて、再び1階へ上がってを3回繰り返した後、1階の中央階段から2階へと登って、道なりに進めばいけるんですよね?防犯のタメらしいですけど、めんどくさいですよねー。」
「ああ、場所自体はあってるぜ。でもそんな何の為にやるのかわからないようなめんどくさいことしなくても、普通にに中央階段から上がって辿りつけるぞ。」
「マジっすか?あの工程ってやらなくていいんすか?」
「全く必要としないな。誰に吹き込まれたかは知らんが、騙されているぞお前。」
「教えられたのは、王様ですよ。あのおっさんめ、嘘つきやがって・・・。とりあえず、教えていただきありがとうございました。」
「王様か。完全にからかわれてるなお前。まっ、いいってことよ。」
衛兵から教えられた事実に驚愕し、王を恨むものの、真実を教えてくれたことに勇者は感謝した。同時に、おっさんめ、会ったときに文句を言ってやると恨みつつも、今朝から禄な目に合っていないなと苦笑した。そして、城の中へと進んでいく。
玉座の間にて・・・。
勇者が入ってきたのを確認すると王は、声を上げる。
「面をあげい、勇者よ!」
「ははっー!・・・って、お前は将軍かよ!」
「わしは、王様じゃが?」
王様は、こいつ何言ってんの?と言わんばかりの目で勇者を見る。
勇者は、思わず再びツッコんでいた。
「いや、あんたがやらせんだろうが!今度は、何の影響だ?」
「さすがは、勇者じゃ。見事なノリであった。ふむ、最近読んだ『天下統一平安期 ~がんばれ将軍~』という本の中で、将軍と呼ばれる人が使っておってのー、1度使ってみたいと思っていたところなんじゃ。」
そう、この王様、何を隠そうとにかく影響を受けやすい人物なのである。本を読めば、そこに出てくる登場人物の影響を受け、口調や性格が変わるのである。周りから見れば、すごくめんどくさいことこの上ないのである。
はぁー、とため息をつきつつも勇者は、王様に尋ねる。
「そうなんですねー。それは、おいておきまして、自分は何故呼ばれたのでしょうか?」
「うむ、そうじゃった。お主にちと頼みがあるのじゃ。」
少々めんどくさい性格を持っているとはいえ、そこは王様、頭を切り替えて勇者に用件を伝える。
「実はの、昨晩魔王にうちの姫がさらわれてしまってな、勇者であるお前に姫を助けに行って欲しいのじゃ。」
「えっ!?お姫様がさらわれたんですか!それを早く言ってくださいよ。」
「うむ、すまんのー。事が事なだけにな、一部の者しか知らせておらんのでな。なんせ、これが広まってしまっては、街に不安が広がってしまう。それだけは、阻止しなければならない。王とは、時として非情にならなければならないのじゃ。それがたとえ、姫であったとしてもな。それで頼めるか?」
「そうだったのですね。すみません。何も考えてませんでした。大丈夫ですよ。俺が魔王城へと乗り込んで助けてきますので、任せてください。」
「すまんが、頼んだぞ勇者よ。まずは、街に行き、情報を集めるといい。」
「はい。わかりました。では、街へ行ってみます。」
「うむ、まかせた。よろしく頼んだぞ。」
王様は、そう言うと、勇者に対し頭を下げた。勇者は、その王の姿を見ていたたまれない気持ちになって言った。
「王様、頭を上げてください。俺が取り戻して見せますので。」
「うむ、ありがとう。」
王様は、感謝の言葉を言うと、頭をあげた。それを見た勇者は、安心した気持ちになって、そのまま玉座の間を出ていった。そして、城を出たあたりでふと思い出して呟いた。
「あっ、玉座の間への行き方のことについて、文句言うの忘れた・・・。」
こうして、勇者は、囚われのお姫様を助けるために旅立ったのでした。
ざっくりとしたキャラ紹介のようなもの④
勇者:遥か昔、魔王を倒しこの地に平安をもたらしたとされる勇者の末裔。代々勇者は、引き継がれている。つまり、勇者とは、血筋なのである。ちなみに、遥か昔の勇者(ご先祖様)が、実際に魔王を倒したかどうかは不明である。
ここ数世代は、平和過ぎてもはやその肩書きだけが残っている、あまり価値の無い称号と化している。本人も勇者としての修行は、サボり気味。




