【登場人物紹介】
ー登場人物紹介ー
【エリハル・オードラン】
放浪民族アーク出身の少年。異様な力持ちで、身体能力も高い。奴隷狩りに追われている所を、チェリンに助けられた。
学者が使うような難しい言葉を使うが、文字は読めない。両刃大剣を好んで使う。瞳はイウロ人の混血であることを示す緑色に、金色の粒が混ざっている。十五歳。
【チェリン・グエナエル】
リセルト人の少女。赤髪ととがった耳が特徴。快活で人懐こい性格だが、自身に敵対する相手には容赦しない。
短槍による攻撃と、故郷に伝わる術式を併用して戦う。事情があって南迷宮都市を目指しているが、かなりの世間知らず。十五歳。
【紫玖 祐】
青紫の髪を持つ、浮世離れした雰囲気の少女。たどたどしいイウロ語を話す。
外見に反して高い技術と戦闘能力を持ち、冒険者が行き過ぎた行動を取らないように監視する『専門指導員』を務めている。
独特の体術の他、攪乱や毒などの絡め手で相手を翻弄する。十七歳。
【ラティス・クリアウォーター】
北方系の特徴を有した、穏やかな物腰の少年。暑い日中の外出が嫌で昼寝に精を出しているが、相棒の祐に引っ張られて渋々仕事をしている。
巫医術と呼ばれる古の術式を得意としており、戦闘では味方を支援する事に専念する。その気になれば攻撃もできるとは本人の談。十八歳。
【リシュナ】
ラティスに付き従う漆黒の狼。知性が非常に高く、人間と綿密な連携をしながらの戦闘もこなす。どう見てもただの狼ではないのだが、ラティスは頑なに『狼だ』と言い張っている。年齢不詳のメス。
【ルーク・ハイヴリッジ】
ヴィレッジ商会を束ねる上級鍛冶師。帝国一の知識を有するチチェリット学院と技術提携を行う事によって、最新鋭の装備を開発している。
年下の女性を見ると手当たり次第にナンパを敢行する。ニンジン色の髪と若草色の瞳の持ち主。そのまま『ニンジン野郎』と呼ばれている。二十三歳。
【紫苑・アスタリス】
宿屋〈春の小鹿亭〉とそれに付随する施薬院に務めている女性。複数の言語を解し、治療技術も一流……なのだが、少し鈍くさい所がある。
ユウのいとこで、朔弥人とイウロ人のハーフ。あだ名の『紫苑ママ』で呼ばれると苦笑するが、否定はしない。二十二歳。
【イリス・デューラー】
西のチチェリット学院に所属している年若き学者。金髪金眼の持ち主で、女性にしては相当体格がいい。
『術式小銃剣』と呼ばれる特殊な武器を使いこなす。エリハルとチェリンの事を知っているようなそぶりを見せる。紫苑とルークのふたりとは幼なじみらしい。二十二歳。
ー用語説明ー
〈イウロ帝国〉
イウロ人によって築かれた西の大国。異民族の国土を属州として吸収してきたが、宗教的には寛容な政策を取ってきた。しかし教会の台頭によって異教徒弾圧が徐々に激化し、内戦を引き起こした過去を持つ。
〈夢幻迷宮〉
学院都市での呼称は『神々の箱庭』。帝国の四方に存在する。
古代の技術によって創られた〈門〉の先には、異教徒の神殿を中心に独自の生態系を発展させた特殊空間が広がっている。
異教徒の遺跡である事から教会によって破壊を命じられたが、侵入者を阻む罠や魔物の存在によって破壊が妨げられ、不気味で邪悪な遺跡として扱われてきた。
現在では真理を探究する学院都市によって、保護と研究が進められている。
〈ラフェンタ公国都市〉
南迷宮都市と呼ばれることも多い独立海洋都市。帝国の属国ではあるが、自治権を獲得している。海洋貿易の他、無尽蔵にも近い資源を有する迷宮の力で発展してきた。
商人と冒険者が活発に活動しており豊かな反面、娼館や酒場が多く、やや治安の悪い印象を持たれる事が多い。
チチェリット学院の人間を「お高く留まった頭でっかち集団」と呼んでいるが、まぁまぁ仲は良い。
〈チチェリット学院〉
チチェリットの自治権を獲得している学院。
学院の施設と街が融合している事から、街を含めた総称として学院都市と呼ばれる事が多い。
皇室から学徒保護政策の認可を受けており、異教徒や混血児でも学院に引き入れ保護する事ができる。
高地の澄んだ空気と湖岸の美しい景色から、観光客や保養客、芸術家も多い。ラフェンタ公国都市との対抗行事があると、本気で打ち倒そうとして来る。
〈星沁物質〉
世界の理を構築する物質の最小単位。
『想い』や『祈り』の力で物理法則を捻じ曲げる事が可能であり、かつては『魔術』や『神の恩恵』と呼ばれていた。十数年前、学院都市によって媒介を通し術式を構築する手段が編み出され、一気に技術革新が進んでいる。
〈星沁干渉力〉
その人が星沁物質にどれだけ干渉できるかを示した指標。生まれつきの才能だが、術式媒介の性能によって補う事が可能。
星沁干渉力が高いほど生まれつきの身体が弱くなる傾向があり、一般的に女性の方が男性よりも星沁干渉力は高い。
〈星沁保有量〉
術式によって物理法則を歪め星沁を使用する為には、術式媒介石に大量の星沁を蓄積しておくか、己の生命力を変換し、自然界の星沁を己の物として操作する為のつなぎとして使用する必要がある。
体が強靭なほど星沁保有量は高くなる為、星沁術師は己の身体を鍛え更なる向上を目指す事になる。
男性の方が星沁保有量そのものは多い為、身体を鍛えれば星沁干渉力の低さを補う事が可能。
〈イウロ人〉
金髪に若草色の瞳を持つ帝国の民。
がっしりとした骨格、屈強な身体に、ややたれ目がちの目元をしているのが特徴。女神アラディルを信仰している。
〈朔弥人〉
東の大国・朔弥皇国に暮らす人々の総称。
実際は複数の少数民族から成り立つ国家の為、皇国の中ではより厳密な区分があるという。
小柄で、イウロ人より黄色みを帯びた肌色をしている。
〈放浪民アーク〉
どこの国にも属さない放浪の民。オリーブ色の肌と黒髪が特徴。
小柄だが、総じて優れた容姿を持つことから人身売買の被害に遭いやすい。金属細工や芸術に強い。
〈リセルト人〉
各地で内戦を起こしている異教徒のひとつ。
赤髪で、鋭角的な顔の輪郭と耳を持つ。
昔から戦争に男女ともに参加する風習があり、男性は大剣を、女性は短槍の扱いを得意としている。
〈異形〉
魔物と呼ばれる生物のうち、ヒト型に近いものを指す蔑称。異教徒の事も異形と呼ぶことがある。
〈妖獣族〉
異形と呼ばれる生物の一種。毛皮を変えることによって獣の姿とヒトの姿、ふたつの姿を持つ獣人。
知能はほぼ人間と同等だが、人間とは比較にならないほどの星沁干渉力によって、奇跡に近い星沁干渉を引き起こすとされている。
その力の代償として、寿命はそう長くないと言われている。




