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休息
「こんにちは!」
「お邪魔します」
退院した次の日、梨花と玲が家に遊びに来た。
「いらっしゃい、ゆっくりしてってね、おばさん後で優希の部屋にお菓子持っていくわね」
「ありがとうございまーす!」
「優希退院おめでとう、体調はどうだ?」
「ありがとう、もうだいぶ良くなったよ」
二人は僕が退院したのを聞いて駆けつけてくれたようだ。今もそうだけど、記憶のない僕の友達がこの二人で良かったと思う。親切だし記憶のない僕を事故の前の僕とほとんど変わらずに接してくれている。この二人は僕の記憶のない、という恐怖を和らげてくれる。だから声には出さないけど僕は二人に本当に感謝している。
「梨花、玲、あのさ…」
「ん?どうしたの?」
「頼みがあるんだ」
「どうした改まって」
「僕きちんと記憶を取り戻したい。早く元に戻りたい、だから…」