二人
次の日の夕方。二人の高校生が僕の病室にやってきた。学校帰りに来てくれたようで二人とも制服を着ていた。
「こんにちは!体調はどう?」
明るくハキハキとした声で片方の女子が話しかけてきた。
「おい、そんな風に話しかけたら優希が困るだろうが」
もう片方の男子が呆れたように女子に話しかける。
女子はあぁ、そうじゃん!と言うと女子は僕の顔をまっすぐ見つめて自己紹介を始めた。
「えーっと私は篠原 梨花です!優希君と同じクラスで小さい頃から仲良かったんだよー。幼なじみって感じかな!」
篠原 梨花と言う女子は短い髪を揺らして表情豊かに自己紹介をしてくれた。誰にも好かれそうな雰囲気をまとっている。
「俺の名前は相田 玲。今は隣のクラスだ。去年は同じクラスで優希とはそのとき仲良くなったんだ」
耳にかかるくらいの整った髪に、黒縁の眼鏡、いかにも頭が良さそうといった感じだった。
「篠原さんと相田くんでいいかな…?改めてよろしくね」
僕はできるだけ笑った。二人のことを覚えていないことがとても、もどかしく思えた。僕に記憶があれば今頃この二人と楽しく話せていたのに。そんなことを考えていると相田くんは突然笑い出した。
「相田くん、だって?玲って呼んでくれよ優希に名字で呼ばれるのは慣れそうもないからよ」
すると、篠原さんも連鎖したように付け加えた。
「そうそう!私も梨花にして欲しいな!」
「わかったよ玲、梨花」
僕は二人に向かってそう言うと二人は満足そうに笑った。