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Dictator

たった三人の騎兵突撃ってのはリアリティに欠けましたね。今更ながら。

「よくやった」


そういうとフレイは騎士団のメンバーに書状を三つ持ってこさせた。

なんだ?


「とくに功績のあった三人にこれを。大事にしろよ」

「ありがとう。おかげでまだ生きていられる」


ラインハルトは感謝を口にして説明に入る。


「それは名誉貴族の証だ。子爵、男爵位に相当する。帝国の全域で有効だ。明日、遠征軍本部で全員の表彰がある。三人が代表で出席しろ」



どうやら奴隷から一気に貴族となるなしい。

騎士団の砦を含め、一帯(大洋から大山脈、凍土のあたり。ここ異端の地は範囲外)を支配するのが帝国。

その下に王国やら公国、貴族領がある。

そして今回の遠征軍、【第五回南部解放運動】の総指揮をとるのが帝国の頭、皇帝。ちなみにハゲだとか。

いつぞやの貴族は大山脈の麓のヴィーゼル王国の貴族。

東部では三番目に大きい王国で、帝国全土から見たら七番目。

土地は痩せて、税が高い。

暗君と言えばヴィーゼル国の国王のことだとも。

ちなみにこれらの話はユーカから聞いた。

話しているとき、何故か遠い目をしたり、悲しそうな表情になっていた気がするがよくわからん。


今回叙勲されるのは三人で、隊のメンバー全員には給金がなされる。

そしてその金で奴隷をやめて自由民にもなれる。

..それはちと嫌だな。

せっかく育てたのにはした金で出ていくなんて。

技術の流出も嫌だな。

敵は弱い方がいいじゃないか。

退役したヤツはしっかり見張らないといけない。



翌日、大天幕のなかで叙勲は行われた。


「東方騎士団第三戦闘団隊長、ユーカ。貴君の今回の戦闘における働きをもって名誉男爵に任ずる」


「副隊長、ルクレール。貴君を今回の戦闘における働きをもって名誉貴族に任ずる。さらに、敵将の討伐の功績をもって名誉子爵へ昇格とする」


「団員、ロイルーザ。貴君を今回の戦闘の功績をもって名誉男爵に任ずる」


内部はお香が炊かれてとっても気味が悪い。

薄暗いし色彩が赤黒いし。

ハゲがテカってるし。

周りの偉いやつはアブラギッシュだし。


ハゲを直視するとまぶしいので顔を下に下げ、ハゲが見えないように腰を低くする。


「」


ユーカがなにかお礼の言葉を述べているが、その時の私の関心は一点に注がれていた。


(あの武器は薙刀だよな?)


壁のラックの派手な槍や剣のなかでただ一つ、地味な一振り。

馬の上で振り回すにはちょうどいい長さ。

ほしいな。


「」

「」


すでに上の会話の内容は頭に入っていない。


「 !」

「 !」


足を蹴飛ばされてようやく気づく。

あ、ごようですか?


「ルクレール名誉子爵、いったい私の武器のどれを見ていたのだ?」

「申し訳ありません、陛下。恐れながら申し上げますと、かの美しい薙刀に見とれておりました」


皇帝はハゲ頭をテカらせながらフハハと笑った。


「ははは、正直だな。よかろう。男爵と子爵は下級でしかも、名誉貴族だ。扱いはそこまで良いものにはならぬだろう。それに元奴隷だ。だが褒美を与えてはいけないというわけでもない。好きなものを一つずつ持っていけ」


おお、なんというハゲだ。

ハゲなのに優しくて理解もある!

海自の新田さんはハゲで守銭奴で強欲で変態だったというのに..


あの人は苦手、というか嫌い。

研究室に配属になる前に半月いた部署の教育担当。

棚に名前を書いてとっておいた羊羮を全部食べられた。

同じく名前を書いてとっておいたカステラをすべて食われた。

同僚のエロ本を没収していた。ちなみにコミックL⭕だ。

先輩たちは彼に金を借りたらおつりの三円まで請求されたという。

融通がきかない、めんどくさい上司だが、あれはあれで上司にもきっちりと話をするらしいので無能ではないそうだ。

だけれども、先任伍長の古河さんがあまりにも優秀だったので見直す機会が一度もなかった。


ユーカはバルディッシュを手に取った。

鎧の上からダメージを与えるステキ武器。

ハルバードと同じようなものか。


ロイは槍をつかんだ。

そういや名前をロイルーザというのか。初めて知った。

槍は槍でも短槍。

長短二槍、どこぞの槍の英雄かよと。

猪には気を付けないとな。


私は薙刀を。

大型ナイフはリーチがないから騎馬戦はキツイ。


「うむ。これからも帝国のために働いてくれよ」


皇帝陛下はそうおっしゃって退出を促しなされた。



「あなた、槍をもらってから態度一変したわね」

「現金っすね」

「うるさい。あとこれは薙刀。剣と槍のアイノコというかなんというかといった武器だ」


でも薙刀って女性の武道ってイメージ。

ま、使えりゃ何でもいいがな。


「このあとは天幕に戻って進軍用意。目的地は敵の城で、そこを守る敵の主力は燃えたわ」

「城壁一番乗りはいただくっすよ」

「ちがう。そうじゃない」

「そうよ。後方攪乱を行うわ。そのための我々の訓練よ」

「また邪法っすか?」


天幕のなかに入り、地図を広げる彼女。

いつみても美人だ。嫁にしたいがどうなんだろう。

バーチャルに恋をするのが新しい悲恋のスタイルかな?

果たしてこの実験はいったいどう推移しているのか。

文明シュミレーション?某ラノベじゃあるまいに。

あれはVR技術の研究用だったっけ。

あの博士けっこう好き。


..見ているんだろう?小柳博士。

指示がないなら自分で動くよ。

このあたりの話が終われば、佐賀フロの惨劇、“広げた風呂敷の反対に手が届かない問題”の危険性が高まります。

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