Drive!
予定を前倒しして投稿します。
拙作「佐賀フロンティア」から独立した話ですので、ご存知でなくともお楽しみいただけるかと。
お楽しみいただければ幸いです。
Dddd1
1996年、佐世保。
樋口一曹はいつも通り研究室へ出勤した。
「おはようございます、博士」
「ああ、おはよう」
ここだけみればごく普通の研究室の朝の会話。
だが、彼の上司はいわゆるマッド。マッドサイエンチストなのである。
彼が研究室に来てから、数日に一回は迷惑をかけたさきに謝罪にいくのが仕事だ。
一曹自身は佐賀出身の高卒文系の二十歳。研究のことなどさっぱりわからないが、常識はずれの小柳博士のお守りとして皆から重宝されている。
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研究所には3人のメンバーがいる。
まず、お守りされる側のの博士。
お守りする側の私ともう一人、東條三曹。
彼は18歳で最年少。
既婚の姉は防大卒だそうだ。
基本的に博士の実験の準備手伝いやできる場合は被検体、後片付けと謝罪ツアーだ。
これを二人で分担して行う。
そこまでハードな仕事は被検体の仕事くらいだ。
お守り二人は独身寮生活。佐世保市内で買い物に便利。
「そういや今度、猫を預かることになったんですよ」
「お前....暖かいスープのんで、それから警察に行こうか」
「いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。なんでそこで犯罪って決めつけるんですか」
「なんだ、違うのか」
「違いますよ。姉の航海の都合で、俺が引き取ることになったんですよ」
彼らの親はいない。育児放棄だったのだという。
育てたのは祖父母とも。
彼らが亡くなった後、姉は一般大学には行かず学費不要の防大へ入り、弟は就職先として海自を選んだ。
お祖父さんが元海自だったらしい。
「お前が飼い主か。笑ってやろうか?」
「笑わないでください」
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博士と二人でいる夕日のさす研究所。
博士はカレーを食べながら切り出す。
「新しい実験の被検体をどちらかに頼みたい」
「難度は?」
「ルナティック級」
「..なら私が」
驚いた顔をする博士。
「彼に押し付けるものだと思っていたよ」
「アイツ、猫を姉から押し付けられたんですよ」
「それは愉快だな」
「ええ。とても愉快です」
「実験の準備がある。明日の正午、起動させる」
「これ、被ってみて」
翌日、渡されたのはヘッドギア。ケーブルの先っぽは部屋の奥にあるアウトレットに突き刺さっている。向こうの部屋は予備室。がらんどうのはずだがなぜかナニモノカの気配がする。
「これは?」
「最新のヘッドマウントディスプレイ。に似た新製品。脳の働きを調べることができる」
いったい博士の専門分野って何だろう。
青いフルフェイスヘルメットみたいな形。
「ナー○ギア?」
「そんな感じです」
「デスゲームは勘弁ですよ?」
「安心を。死にはしない」
「ブリーフィングは?」
「これからだ」
ヘッドギアを被る。
室内には博士と一曹のみ。
だけれども、どこからか笑い声がする?
「博士、この声は?」
「....起動」
彼が一曹の問いに答えることはなかった。
最後に彼がみたのはニヤリと嘲う博士の顔だった。
(説明しろおおおおおお!)
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(ここはどこだ?あの博士、見かけたら燃やしてやる)
手に冷たい鉄の感触。目隠しをされているみたいだ。
手足の感触..両隣はむさ苦しいおっさんみたいだ。消毒したいな。
背中にあたるのは木か。薄い、1cm厚も無いようだ。
馬の鼻息?馬具の音か。金属のすれる音、これは馬具の音ではない、武具だ。剣の類いか。
車内にいるのは..わからない。7人はいるだろうか。
ここで逃げてもあとが続かん。
どこかにつきゃ、なにかわかるさ。
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