花見月4日目
いや、もっと簡単に言えば366日目ってことなんだけど。1年経った、けどどうにもこうにもあちらに帰れる気配もなさそうだし、それならいっそこのことこの地に馴染んでしまえばいいと思った。
だから、数えるのはもうやめた。花見月の3日に俺はこのリスティアに来たとだけ覚えておけばいい。
それをバースさんについぽろりと話したら、言葉に詰まってバースさんは泣いた。最初のような男泣きではない、不意にこぼれてしまったという感じた。(いや、これむさいおっさんがやったって意味ねぇ!きれいなおねーさんがしてこその技だろっ、と振り返ってこれに書きながら思った)
しかしそのときはそんなこと考えもせずバースさんが思わず泣いてしまったのに慌てた俺はなんだかんだと言葉を並べ立ててついつい言ってしまったわけだ。(と自己考察してみる)
旅に出る。
うーん、今考えてもこれこそ異世界トリップのテンプレってやつじゃないのだろうか。それに至るまでの過程がまぁ少々アレだが、魔王を倒すために呼ばれた勇者は必ず従者を引き連れて旅路にでるじゃないか。俺には魔王を倒すためでも国に平和を取り戻すためでもないが旅に出てみるのもいいじゃないかと、今思うわけだ。(実際バースさんの目の前で言ったときに思わず口に出ただけでここまで考えてないが)
と、いうわけで俺は明日から資金稼ぎをしようと思う。バースさんに常識面でも生活面でも金銭面でもお世話になりっぱなしだったということに今更ながらに気付いてしまった俺は愕然とした。バースさんはまだまだガキだからだ、と笑っていたが。
そりゃそうだ、あちらとこちらでは全然違う。17歳なんて高校生だし、多くはいまだ親の庇護下にある。けど、こちらの17歳は立派な働き手だし、気付けば親となっていることもざらじゃない。
てか、だらだら書き過ぎてしまった。もう遅いし寝よう。明日は、街のギルドに行ってみよう。
おぉ、これこそテンプレぽくなってきた。