最終話 エピローグおじさん
【ダンジョン・スミス社の本社・関係先に家宅捜索!! 多々良社長も事情聴取へ!!】
ダンジョン配信でも見ようとノートPCを立ち上げると、そんなネットニュースの見出しが目に飛び込んできた。
記事に書いてある疑惑は、海羽から聞いた話とおおむね同じだった。
まず、一連のダズルヘイムに対してやったことはダンジョン・スミスの社長が首謀して、つながりのある探索者たちにやらせたということ。
その動機は、ダズルヘイムの広めた特殊ドロップを得る方法のせいで、自分たちの独占が崩れて大損&将来の利益逸失したため。味方にできるなら良し、できないならこれ以上情報を広められないようにする。
大輪、というのもダンジョン・スミスの社員らしい。元探索者で、高級で雇われたとか。
町中の任意の場所に転移門を自在に開けるようになることが目的だったらしい。つまり、モンスターの危機を煽ることで、武器の売上を上げるために転移門を使う。そのための手法を確立するために、テストを行っていた。
武器商人が戦争を煽るみたいなもんだな。あー、やだやだ。
んで、そうしてたら俺の問題が立ち上がったんで、このテクを転用したってわけだ。俺を凶悪なモンスターのいる転移門に誘い込んで、抹殺するという目的に。
ま、それは失敗したわけだが。
俺を苦戦させたいなら、エンシェントドラゴンでももってこいって話だな。
ともあれ、そいつらを捕まえたことで調査は進み、ギルドの尋問と、あとあの図司っていう人があれこれ業界内の黒い噂なんかを調べて、事件の全容を解明したらしい。
ダンジョン関連の大手企業の不祥事だってんで、あちこち大騒ぎだ。売店の店長もぼやいてたな。
警察の捜査も入ったし、無事に悪は滅びた。これにて一件落着。
俺の正体も隠して、今まで通りのんきにダンジョンにもいけるし、万事が丸く収まったってところだ。
「おにい、なんかダンジョンの売店が大安売りなんだって! チャンスだよ!」
とその時、妹が部屋に入ってきた。
なんか興奮しているが、それより。
「なんでそんな事知ってるんだ?」
「ネットニュースになってたし。萌花は割引情報はなんでも仕入れることにしてるの。推し活するにはお金がかかるんだよ、大変なのよ。だからおにいにも情報のおすそわけ」
「それはどうも。でも、一つ訂正するとダンジョンじゃなくてギルドの売店ね。そして大安売りじゃなくて、定価が下がったから焦って買う必要もない」
「細かいなあ。ダンジョン探索者なんて豪快な生き方してるくせに」
「はー、何もわかってないな、探索者こそ細かいところまで気をつけて見ることが生存戦略に繋がるんだよ」
「ふーん。まあいいや」
おい、人がダンジョン配信の心得を教えてやろうって思ってるのに、なんだその態度は。用がないなら部屋に帰れ。
と思ったが逆に妹は俺の隣まで踏み入ってきて、ノートPCの画面を見た。
「それよりさ、ずんびーずが最近ダンジョン配信にはまってるらしくて、話題に出るんだよね。萌花もついていきたいからおすすめの教えてよ」
「なんか動機が不純だなあ」
「配信見るのに純粋も不純もないでしょ、妹に投げ銭たかる人に言われたくないわ」
ぐっ、それを持ち出されるとぐうの音も出ない。
「はあ、しかたないな。王道のあやち、渋く堅実な探索のアイアンハート、シンプルに探索者としての実力のあるシャドウリオ、あたりがいいんじゃないかな」
「ふーん。へー。ビジュアル的にはシャドウリオかな~。ピンクの子かわいいし」
「ええ……でもこの子たち怖いよ」
「それおにいが変なコメントしたからじゃないの」
断じてそんなことはしていない。
普通に教えてあげただけだ。あ、提案にしといた方がよかったのか?
「ま、試しに見てみよっと。教えてくれてありがとねーおにい!」
さっと来てさっと帰っていったな、我が妹よ。
マイペースだなあ、俺と似ずに。
「さて、俺も今日はのんびり配信でも見るか」
面倒な騒動も無事解決したことだし、ダンジョンも今日は休みの日にしたし、久々にベッドでだらだらしながらレモンサワー飲んでダンジョン配信三昧だ。
『十五層でしばらく稼いで強くなってきたし、いよいよ! 十六層に挑戦するよっ。みんな、あやを応援してね❤』
“あやち気をつけてね”
“ついに深層!”
“深層の動画見ないでおいたから楽しみすぎるw”
【¥10000】
“ダズルヘイム:あやち――”
【終】
ここまで読んでいただきありがとうございます!!!
皆さんの応援が書く励みになりました!!!




