平和への貢献と、愛の結実
ヴェリタス領の問題解決は、公爵様を、帝国にとって欠かせない存在にした。宰相の座も、遠くない未来、彼に受け継がれるだろう。
私は、公爵夫人として、内政だけでなく、社会貢献にも力を入れ始めた。特に、戦場で負傷した元兵士たちのための支援施設設立に尽力した。
私の顔の傷は、元兵士たちにとって、希望の光となった。
「公爵夫人。あなたの傷は、私たちの誇りです」
「あなたのように、傷があっても、愛され、必要とされる。私たちにも、生きる希望が見えました」
彼らの言葉を聞くたびに、私の心は温かくなった。あの醜い傷が、誰かの希望になるなんて、想像もしていなかった。
公爵様は、そんな私の活動を、全力で支援してくれた。
「ルイジアナ。あなたの優しさは、剣の強さよりも、ずっと強力だ。あなたは、この帝国に、平和の光をもたらしている」
ある日の午後、執務室で彼がそう言ってくれたとき、私は、一つの重大な事実を彼に告げることを決意した。
「公爵様。あなたにお伝えしたいことがあります」
「どうしました、ルイジアナ。そんなに真剣な顔をして」
私は、彼の手を握り、彼の翡翠の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「私たちの子を授かりました」
私の言葉に、公爵様は、一瞬、全てを忘れたかのように、動きを止めた。そして、次の瞬間、彼は、私を抱きしめ、喜びの声を上げた。
「本当ですか! ルイジアナ! 私の、私たちの子が!」
彼は、私の腹部に優しく触れ、その小さな命を感じようとした。その顔は、涙と、満面の笑みに溢れていた。
「ああ、ルイジアナ……ありがとう。あなたは、私に、愛だけでなく、未来まで与えてくれた」
彼の喜びは、私にとって、何よりも幸せなものだった。武術の才能がないと嘲笑され、孤独だった彼が、私との愛によって、新しい命を授かる。それは、彼の過去の傷を、完全に癒すものだった。
公爵様は、私が妊娠している間、私を大切に大切にした。常に私の体調を気にかけ、危険な場所には決して近づかせなかった。
「あなたと、私たちの子の安全が、私の最優先事項だ」
彼は、私を抱きしめながら、毎日そう言ってくれた。
そして、数ヶ月後。私たちは、男の子を授かった。
彼の髪の色と同じ、亜麻色の髪を持つ、美しい赤ん坊だった。
公爵様は、生まれたばかりのわが子を抱き上げ、その小さな手に、優しくキスをした。
「ルイジアナ。この子の名前は、あなたにつけてほしい」
「では……ラーンと名付けましょう。ラーン。力と知恵、そして、平和を意味する、古代語です」
「ラーン……いい名前だ。あなたと私の、愛の結実だ」
公爵様は、私と、ラーンを抱きしめ、静かに涙を流した。その涙は、彼が今まで抱えてきた、全ての孤独と悲しみを洗い流すものだった。
私たちの愛は、この帝国に、新しい光をもたらした。傷だらけの女傑と、不器用な公爵様。二人の愛が、一つの命となり、私たちの世界は、さらに輝きを増した。




