第7話、連携攻撃と婚約者
第7話です。
俺の名前はアルスーン・レッドフィールド、現在エルフ族の族長の娘さんのエレイナさんと一緒にグリーンミノタウロスという魔物と戦っています。
「ブオォォォ!」
「私が攻撃魔法を仕掛けるから…アルスは隙を見てグリーンミノタウロスに攻撃をして!」
「……」
「聞いてるの?」
「はい!聞いています!」
何故かエレイナさんが中心になって戦闘をしているな。
何て言うか…指揮官というか…リーダーというか…。
的確な指示に…戦闘慣れしている様な気がするな。
「ほら来るわよ?」
「ブオォォォ!」
「え?おわ!」
「ボサッとしないの!」
「風魔法…ウィンドアロー!」
「今よアルス!」
「はい!…やあぁぁ!」
「次…風魔法…ウィンドカッター!」
「グォォォ!」
初級風魔法ってほとんど全種類使えるのかこの娘。
しかも無詠唱って…ハイスペック過ぎる。
エレイナさんって多分今の俺より強いと思う。
なんか…俺の助けがいらない様な気がするな。
「ブオォォォ!」
俺も足手まといや役立たずにはなってられないな。
何度か斬り付けてはいるものの…グリーンミノタウロスは、一向に退く気配も弱っている気配も無いな。
さすがは中級クラスの魔物といったところか。
手が無い訳ではない…こういう時の為に色々な準備をして来たんだ。
荷物から色々な物を取り出す。
「アルス!…何を出しているのよ?」
「いいから…エレイナは、グリーンミノタウロスの気を引き付けて」
「わ、分かったわよ!」
「風魔法…ウィンドショット!」
風魔法の牽制攻撃をエレイナが放っている隙に…グリーンミノタウロスに向かって…
俺の居た世界では動物とかには効果があるらしいけど…この異世界の魔物にも効くのかな。
「ええーい…当たって砕けろだ!…食らえ!!」
俺はまず、グリーンミノタウロスの顔や鼻や目に向かって、香辛料や調味料とハーブを大量に混ぜた物を投げ付けた。
「ブオォォォ!?」
「え?何を投げたの?」
どうやら効いているみたいだな。
粉末にした大量の唐辛子と目や鼻や口に入るとヤバいヤツ系のハーブや香辛料や調味料を大量に混ぜた物だ。
俺の元居た世界では獣避けに唐辛子の液体を霧吹きにしてかける物を使っていたので、似たような物をこちらの異世界で再現してみたんだけど。
かなり強力だったみたいだな。
グリーンミノタウロスが苦しんでいる。
それを更に俺はありったけ投げ付けた。
何か有った時の為にと…前もって大量に作って置いたのだ。
ちなみに人間に対して使ったら…さすがにヤバそうなので、やむを得ない場合以外は使わないで置こう。
「ブオォォォ!?」
グリーンミノタウロスが苦しんで…のたうち回っている。
相当苦しいみたいだな…唐辛子ほぼ100%煙玉。
そこに俺とエレイナの風魔法を上手くグリーンミノタウロスの周囲に展開させて、唐辛子の煙が充満する様にした。
我ながら…何とも恐ろしい武器だな。
このまま時間を上手く稼いで…
「ブオォォォ!」
グリーンミノタウロスが怒って突進して来た。
あれだけの唐辛子ほぼ100%の煙玉を受けても怯まないとは。
まあ、ほとんど嫌がらせみたいな武器だったが。
今度は、臭いがキツイヤツや…目に入ったらヤバそうなのが有るから…別の魔物相手で試してみよう。
「ちょっとアルス!…なんか更に怒っているみたいなんだけど?」
「ブオォォォ!」
「うーん…とりあえず攻撃を集中して…怯ませよう!」
「分かったわ...風魔法…ウィンドアロー!…ウィンドショット!」
「やあぁぁ!!」
エレイナの風魔法の連続攻撃と俺の断風剣の連続斬り付け攻撃をグリーンミノタウロスに集中して攻撃を与える。
剣に纏わせた断風剣を相手に向けて斬撃として飛ばす技。
「ブオォォォ!」
「食らえ、断風飛翔剣!!」
グリーンミノタウロスにまともに当たった。
断風飛翔剣は、剣に纏わせた断風剣を相手に斬撃として飛ばす技で…遠距離系の剣技である。
だが放ってしまうと…纏わせた断風剣も解除されてしまう。
隙も大きいので、ここぞという時しか使えない技だ。
ちなみにこの技…俺の師匠のラルク伯父さんが本気で放つと…巨大な岩や大木も一撃で木っ端微塵になる程の威力がある。
しかも放っても、断風剣も解除されないのだ。
俺はまだまだこの技や断風剣に使い慣れていないのもあるので、一度放つと無くなってしまい…もう一度断風剣をかけ直さなければいけない。
「やったか?」
「さすがにグリーンミノタウロスでもあれだけの攻撃を受けたら立ってられないでしょうね?」
「ブオォォォ!」
「くそ!…まだか…」
「エレイナ!」
「きゃあ」
グリーンミノタウロスはまだ倒れていなかった。
たく…どれだけタフなんだよ。
突然の事でエレイナさんや俺の対応が遅れた為…この位置では回避が間に合わない。
俺がエレイナの前に立って、彼女の盾としてグリーンミノタウロスの前に出る。
かっこ付けたい訳じゃない…ただ一人の女の子を守りたいだけだ。
さすがにこれはピンチかな。
しかしそこへ…
「アルス!よく耐えたな…」
ラルク伯父さんやライゼル村の人達にエルフ族の人達が駆け付けた。
何とか間に合ったか…さすがにギリギリだったみたいだけどね。
「グリーンミノタウロスです!…皆さんは下がって下さい!」
「いや…ここは俺だけでいい!」
「え?」
「断風剣!」
エルフ族の人達が弓や剣でグリーンミノタウロスに攻撃をしようとして…ライゼル村の人達やラルク伯父さんに下がる様に言う。
しかし…ラルク伯父さんは持って来た剣を抜刀させて、断風剣を剣に纏わせて…グリーンミノタウロスに突撃を仕掛けて一撃で斬り伏せる。
やっぱり強いな…ラルク伯父さんは。
さすがは、俺の師匠で最強の騎士団長なだけはあるな。
「これで…エレイナさんも無事に逃げられ…」
「ん?…アルス?」
「アルスどうした?」
「あ…れ?…」
気が抜けたのか、初の戦闘で疲れたのか…俺はその場に倒れてしまった。
まあ、エレイナさんもラルク伯父さんやエルフ族の人達が居るから大丈夫だろうな。
銀髪のエルフ族の女の子、エレイナさんか…
「…………」
「…あ…れ?」
「ここは?」
「目が覚めたかアルス?」
「ラルク…伯父さん…?」
「アルス君!」
「レーナ姉さん…」
レーナ姉さんが俺に抱き付いて来る。
ここは俺の家の部屋の寝室だ。
どうやらラルク伯父さんやライゼル村の人達が、俺をここに運んで来てくれたみたいだな。
村のみんなには後からお礼に行こう。
筋肉痛と打撲や擦り傷が痛む…初めての戦闘だったし、仕方ないな。
レーナ姉さんに抱き付かれると傷が痛むけど…心配させる訳にはいかないからな。
「レーナ姉さん?」
「コラコラレーナ…アルスは疲れている、それよりマリアやみんなをここに連れて来てくれ?」
「はーい、分かったよパパ」
「またねアルス君!」
レーナ姉さんが俺の寝室の部屋から、マリア母さんやみんなを呼ぶ為に出て行く。
俺はそれを見送る。
するとラルク伯父さんが俺に向き直って。
「アルス!」
「は、はい!」
「勝手に森に行ったな?」
「はい」
「どれだけの人を心配させたか…分かるな?」
「すみません」
ゴチンと頭をげんこつで叩かれた。
が…すぐに頭を撫でられた。
「エレイナさんというエルフ族の女の子から全て聞いたよ」
「エレイナさんを助ける為に森にはいったんだな?」
「はい…でも軽率な行動だったと反省しています!」
「分かっているならいい…」
「それに俺やライゼル村の男達やエルフ族の皆さんに居場所を知らせる為に、赤色魔法と伝達魔法をすぐに使ったのは…正しい判断だ」
「ちゃんと俺やエルフ族の皆さんにも届いていたぞ?」
「はい」
「それにお前は俺の弟子だ!…生半端な鍛え方をしていない」
「とはいえ…魔法や剣術や戦法もまだまだ未熟だ!…これからより厳しく鍛え直してやる!」
「はい!」
エレイナさん、ライゼル村の人達やエルフ族の人達とラルク伯父さんに事情を説明してくれたみたいだな。
相変わらずげんこつは痛いし、厳しいけど…良かったところも見てくれているし。
ラルク伯父さんはやっぱり凄いな。
ダメ出しの方が多い気がするけど…あまり気にしないで置こう。
「それで…エレイナさんは?」
「それなんだが…」
「アルス…お前は…」
そこへエレイナさんとエルフ族の人達やエルフの偉そうな感じの人が入って来た。
「アルス!…無事だったみたいね?」
「エレイナさん?…これは一体?」
「実はな…アルス…」
「君がアルス君かね?」
「はいそうですが…ええーと?」
「失礼した…私はユリウスと申す、エレイナの父親だ!」
エレイナさんのお父さん?…まさかのお父さん登場。
そういえば…エレイナさんってエルフ族の族長の娘さんだっけ?
…っていう事は…エルフ族の族長さんっていう事か。
ユリウスさんか…素人の俺でも分かる…このエルフ族の族長さんも強いな…鍛え抜かれた身体に洗練されて研ぎ澄まされた魔力。
ラルク伯父さんにも負けないくらい強いと思う。
まあ…自分の娘の命の恩人に挨拶をするのは…普通の事か?
でもわざわざ…ライゼル村の、しかも俺の家の部屋に来るなんて。
でも何だろう…ラルク伯父さんがさっきから挙動不審だし、発言もおかしい様な気がするな…どうしたんだろう。
「アルス…落ち着いて聞いてくれ」
「アルス君…エルフ族の掟に従って…君を私の娘の伴侶とする!」
「え?ええー!?」
「よろしくねアルス!」
伴侶…という事は…俺がエレイナさんと結婚するという事か。
まさかの展開に…驚くというか…驚愕というか…
この俺、アルスーン・レッドフィールドに…この日婚約者が出来ました。




