第11話、山賊退治と馬車の旅
第11話です。
こんにちはアルスーン・レッドフィールドです。
ソニア婆ちゃんの占いがきっかけで勇者の力に覚醒したので…王都キングダムウォールへと馬車に乗ってちょっとした旅をしています。
「えーと…王都キングダムウォールへは、馬車だといつ頃着くんですか?」
「この道のりを真っ直ぐに行きますと…中間都市アルディアがありますので、そこで宿泊して…その後橋を渡って…間所を通過します」
「その際に手続きがありますので…多少のお時間がかかります」
「そこから…また道のりを真っ直ぐに進みますと、王都キングダムウォールに到着する予定となっています」
「2日もあれば到着するかと」
俺の質問に対して、はっきりとした口調で答える執事のクーデルさん
見た目は若い青年の様だが…エルフ族の族長のユリウスさんのお薦めするだけはあって、とても頼りになる。
2日か...本来であればそれくらいかかるんだな。
2年前もラルク伯父さんの修行と鍛練の際にこの道を王都キングダムウォールまでを長距離走フルマラソンやらされたんだっけ?
あの時は…それを往復1回を1日でやらされたんだよな。
しかもあの橋や間所を渡らないと行けない…流れが早い巨大な川を泳いで渡らされたんだ。
途中で魔物にも襲われたり、川の途中で巨大な魚らしき魔物に襲われたり。
あの時は文字通りの地獄の修行と鍛練だった…2度とやりたくないなうん。
「ちょっとした旅行や観光が出来そうね」
「エレイナはどこか行きなさいところがあるのかい?」
「べ、別に…ただあんたとなんて…思っていないだからね」
「…(エレイナ様、頑張って下さい)…」
「クーデルさん…この辺りでの観光名所やお食事が出来るところはありますか?」
「…そうですね…やっぱり中間都市アルディアでの魚料理でしょうか?」
「美味しいんですか?」
「ええ…もちろんです」
「エレイナ!後から僕と一緒に食べに行かないか?」
「…(アルス様、ナイスです)…」
「…し、仕方ないわね…い、行ってあげてもいいわよ?」
「…(こ、これって?アルスとの…で、デートよね?)…」
「他に観光名所とかありますか?」
「はい…中央広場の噴水は出店も多いですし、東の広場にある真実の木の葉に願い事を書くと叶うとされています」
「クーデルさんありがとうございます」
「いえ…ご武運をお祈りします…」
「エレイナ!一緒に行こうね?」
「…わ、わかったわよ!行ってあげてもいいわよ!」
相変わらずのツンデレだけど…可愛いのでしばらく見ていよう。
エレイナも嫌そうな感じでは無さそうだし…魚料理とか大丈夫だよな?
まあ…クーデルさんからは何も言われないし大丈夫かな。
彼女の喜ぶ姿を見ると癒されてこっちも元気を貰うからね。
俺も彼女の期待に応えたい。
さて俺も失礼が無い様にしないとな。
俺達はしばらく景色を見ながら団らんをして馬車の旅を楽しんだ。
「…(このまま何も無ければいいが)…」
「…(念のためにソニア婆ちゃん直伝の感知魔法レーダを使用しよう)…」
俺は以前のソニア婆ちゃんとの魔法の修行と鍛練で教えて貰った感知魔法のレーダを使用した。
本来なら詠唱が必要な魔法だが…エレイナとの魔法の修行と鍛練で無詠唱で発動が可能になっている。
この魔法は、自分を中心に広範囲の索敵や周囲の状況をいち早く確認する事が出来る。
「…(道沿いには…ん?誰か襲われている!?)…」
「…(あれは馬車かな?…周囲には近衛兵らしき人が居るから…それなりの身分の人かな?)…」
「…(一方で相手はと…武器を持っているな?…盗賊か山賊辺りかな?)…」
「クーデルさん!エレイナ!…この先で馬車が山賊か盗賊に襲われています!」
「分かりました…馬車の速度を上げて下さい!…この先で馬車が襲われています!」
「はっ!」
俺達の乗っている馬車の速度が上がる。
でもこのままだと…間に合わないかもしれないな。
近衛兵らしき人の数も減っているみたいだし。
ここは…
「クーデルさん…このままだと間に合わないかもしれないので…僕が先に行きますね?」
「ではこれを…ラルクさんからアルス様にと…」
「ラルク伯父さんから…」
ラルク伯父さんから…俺宛てにとクーデルさんから手渡されたのは、冒険者用の剣だった。
間違い無い本物の剣だ。
しかもラーズソードっていう中級冒険者用の剣だ。
ラルク伯父さん…高かっただろうに、恩に着ます。
クーデルさん…こういう状況を想定していたのか?…だとしたら凄い執事だな。
「とにかく今は…この先の馬車の救出が先だ!」
「エレイナ!…ちょっと行ってくるね?」
「待ってアルス…念のために付与魔法をかけて置くわね!」
エレイナが無詠唱で強化魔法の身体強化魔法のアータ(攻撃力強化)と身体硬貨魔法のアーマ(防御力強化)、身体軽装魔法のスピー(素早さ強化)をかけてくれた。
「ありがとうエレイナ!」
「こ、これくらい普通よ!…は、早く行ったら?」
「アルス様…」
「うん分かってる、クーデルさんとエアリスさんはエレイナを守ってて!」
「はい」
「もちろんです」
「わ、私の事はいいから...」
「戻って来たらデート行こうね?エレイナ!」
「な!?何言ってるのよー!!」
俺は馬車から飛び降り、エレイナがかけてくれた身体強化魔法を上手く使って…現場に向かう。
「へヘへ…観念しな!」
「くそ!」
「お嬢様は…だ…誰にも触れさせん!」
「そこまでだ!」
「ああん?」
そこへ…
駆け付けた俺が山賊達の前に現れる。
山賊か...ライゼル村やエルフ族の里に行く事くらいしかやって来なかったが、人間相手の戦闘は初めてだな。
ラルク伯父さんやエルフ族の人達とは演習や修行で何度か戦って来たけど。
魔物と違って…いくら相手が悪人でも手加減をしなければいけない。
だから…
「誰だ?てめぇは…」
「僕の名前はアルス!…通りすがりの者だ!」
「ここは、子供の遊び場じゃねぇんだ!」
「ガキはママにでも甘えてりゃいいんだ!」
「おりゃ!」
「あれ?…何処だ?」
「……」
「速い!」
「何者だ!…てめぇ…」
「悪人に名乗る必要はありません!」
「ぐわ!」
「ぐお!?」
速攻で…山賊達を気絶させた。
こんな感じだろうか…麻痺魔法のパラーズを使って置こう。
俺は山賊達が動けない様に麻痺魔法のパラーズをかけて置く。
さて...近衛兵の人達は?
「……」
「あなたは?」
「喋らないで!」
傷は…深いな…間に合うか?
獣人族の近衛兵?…何故こんなところに…
俺は近くの近衛兵の人達一人一人に上級回復魔法のフルケアーを無詠唱でかけて回った。
この人は…もう…
助かった近衛兵は数人程度…残りは傷の深さと出血の多さで助からなかった。
「皆さん…お勤め…お疲れ様です」
「安らかに眠って下さい」
「あなた達の魂が神々の下に無事帰らぬ事を願って…昇天魔法…エンジェソング」
俺は山賊達に殺された…近衛兵の人達に昇天魔法のエンジェソングを使用した。
この魔法は…命を落とした人を神様の下に無事に返す為の魔法で、昇天魔法とも呼ばれている。
せめて…安らかに眠って下さい…
そう心で言いながら…祈りを捧げる。
「ありがとう…ございます…それより…お嬢様を…」
「動けないで下さい…傷は治りましたが…疲労や痛みはそのままですから…」
「はい…」
俺は近衛兵の生存者に気分爽快魔法のリラクゼールを使用してから…馬車の中を確認する。
「ご無事ですか?」
「ひ!…誰!?」
「獣人の女の子?」
「失礼しました…私はアルス…アルスーン・レッドフィールドと申します」
「来ないで!」
無理もないか…こういう時は…
「猫のお友だちはいらないかな?」
「?」
以前編み物や刺繍で作って置いた…子猫のぬいぐるみを見せた。
「この子にはまだお友だちが居ないんだ」
「良かったら君がこの子のお友だちになってくれないかな?」
「…か…」
「…可愛い…」
「その子のお友だちになってくれるかい?」
「うん…いいよ」
「その…助けてくれてありがとう…」
「うん」
頭を優しく撫でてあげる。
「エヘヘ…」
か、可愛い…獣人の女の子…多分、俺より年下くらいかな。
ケモ耳のロリ…じゃない!
しかもモフモフだ…手触りがいいな…
しばらく撫で撫でしてた。
「僕の名前はアルス…君の名前は?」
「レイナ…」
「よろしくね?レイナちゃん」
「うん…アルスお兄ちゃん」
「ッ!?」
「?」
ま、まさかの…お、お兄ちゃん呼ばわり…
お、落ち着け俺…いかんいかん…
危うく別の何かに目覚めてしまうところだった。
「エヘヘ…」
「お兄ちゃん」
「……」
レイナが俺に抱き付いて来る。
まさか…こんなに好かれるとは…しかもモフモフのケモ耳のロリ…妹…じゃない。
とにかく...落ち着いてくれて良かった。
念のために、上級回復魔法のフルケアーと上級状態異常回復魔法のフルリフレと気分爽快魔法のリラクゼールをかけて置こう。
この日俺には…妹が出来た。




