第10話、旅立ちと王都ヘ
第10話です。
ここから勇者冒険編になります。
あれから2年後…アルスーン・レッドフィールドは10歳に成った。
ソニア婆ちゃんの自宅での占いによる出来事は…ライゼル村と近隣の村や都市中の噂と成ってしまった。
俺の身体から出た光は次第に治まった。
俺の声の反響もしばらく続いたが…身体から出た光が治まるのに合わせて普通の声になった。
とりあえずは一安心かと思われたが…ライゼル村の人達からしばらく怖がられてしまった。
仕方ないとはいえ少し寂しい…その後はラルク伯父さんやソニア婆ちゃんの働きかけでライゼル村の人達とは多少和解出来た。
レーナ姉さんは…何時も通りだった。
逆にレーナ姉さんの元気いっぱいなところに救われた。
マリア母さんはむしろ喜んで祝福してくれた。
たくさんのご馳走を食べさせてくれた…やっぱりマリア母さんの手料理は美味しい。
ソニア婆ちゃんは…
「あんたがまさか…勇者に成るなんてね?…いやー長生きはするものだね」
「私も鼻が高いよ」
「恐らく…王都キングダムウォールに行ったら、王様に会う事になるだろうけど…」
「その王様の宰相をしているエルフ族の女性に会ったら…頼るといいよ?」
「私の魔法の師匠だからね」
「ソニア婆ちゃんの魔法の先生?」
「困ったら…きっと助けてくれるはずだよ」
と言っていたので…喜んでくれていたと思う。
孫同然の弟子が勇者に成ったら…そりゃ驚くか。
まあ…俺自身が一番驚いているけどね。
王都キングダムウォールの王様の宰相がソニア婆ちゃんの魔法の師匠なんだ…エルフ族の人みたいだけど。
ラルク伯父さんはと言うと…
「まさかアルス…お前が勇者に成るなんてな?」
「だが…アルス?勇者に成った以上は…もし魔王軍が攻めて来たらこの世界の命を守る為に戦わなければならない…分かるな?」
「うん…」
「今から2年後の…お前が10歳に成ったら…王都キングダムウォールに行きなさい」
「え?…」
「騎士団の演習場に行くんだ…そこにルークという男とジルというエルフ族の女が居るから…そこで実戦式の訓練をして鍛えて貰え?」
「ルークさんとジルさん…」
「それまでは俺がとことん鍛え上げてやる!」
それからは地獄の様な訓練や修行が続いた。
腕立て伏せ200回、屈伸100回、腹筋300回、フルマラソンをエルフ族の里から王都キングダムウォールまでの長距離走(約10㎞)を毎日。
それが終わったら…剣の素振りを200回、盾の使い方、体術演習、魔法演習、剣の実技演習、防御や回避や魔法の詠唱練習に高速詠唱のやり方まで。
それとソニア婆ちゃんの魔法演習もやった。
攻撃魔法や中級魔法や上級魔法の練習も…一応上級魔法の更に上の超級魔法もやった。
俺も死ぬ気で食らい付いて行った。
お陰様で今では…魔法も剣術も手足同然に使いこなせる様になった。
だって…ソニア婆ちゃんもラルク伯父さんも手加減も容赦無いんだもん。
王都キングダムウォールの騎士団の演習場に居る…ルークさんとジルさんか。
どんな人だろう…ラルク伯父さんが薦める人ならきっと大丈夫だよな。
多分2人共騎士団の人なんだろうな。
ライ父さんは…なんか更に無関心になった感じだった。
俺が勇者になった日からも…ほとんど会わなくなった。
ラルク伯父さんからも放って置けと言われた。
恐らく畑仕事に没頭しているんだろう。
元々あまり話す人では無さそうな感じだった。
俺も10歳までのラルク伯父さんの修行と鍛練に、ソニア婆ちゃんの魔法や王都キングダムウォールでの振る舞いや常識やルール等…エレイナからの魔法と無詠唱のやり方の修行と鍛練で忙しかったので…ラルク伯父さんの言った通りにするしかなかった。
一方でエルフ族の里の人達からは…
エレイナが俺の婚約者としても…王都キングダムウォールへ付いて行く事に成った。
例の勇者騒動の事は分かってくれているみたいだった。
お義父さんのユリウスさんは…めちゃくちゃ喜んで祝福してくれた。
激励会と称して、宴的な物を開いてくれた。
エレイナも俺が勇者としてのラルク伯父さんとソニア婆ちゃんの修行に加わって…無詠唱での魔法の撃ち方を教えてくれた。
その分…相変わらずの気が強いので…ほとんどスパルタ指導だったが。
エレイナも…もし俺が魔王軍と戦う日が来たら。
勇者パーティーとして旅に同行すると言ってくれた。
何とも心強い…エレイナからも…
「婚約者なんだから当たり前でしょう?」
「別にあんたの為じゃないんだからね?」
と言ってツンデレだったが…可愛いので、しばらく見ていた。
2年後にツンデレ化したみたいだ。
王都キングダムウォールでのお世話係として、エレイナにはエアリスという侍女が…俺には一応連絡係としてのクーデルさんという執事の様な人が付いて来るみたいだ。
自分の事は自分で出来る様にとソニア婆ちゃんやラルク伯父さんからも教え込まれているが…慣れない土地での生活を心配したマリア母さんの言い分を組んでの事だった。
~王都キングダムウォールヘの出発の日~
王都キングダムウォールに向かう為にソニア婆ちゃんやラルク伯父さんが馬車を手配してくれた。
向こうで暮らすのに必要な荷物はすでに馬車の荷台に付けてある。
ソニア婆ちゃんやラルク伯父さんやライゼル村のみんなが見送りに来てくれた。
「忘れ物は無いかい?アルス」
「うん…大丈夫だよソニア婆ちゃん」
「向こうでもしっかりやるんだよ?」
「うん」
「アルス…俺は付いて行けないが…修行と鍛練を欠かすなよ?」
「分かっているよラルク伯父さん」
「元気でまた帰って来てねアルス君」
「うんレーナ姉さんも元気で!」
ソニア婆ちゃんからは…激励を貰い、ラルク伯父さんからは…厳しさの思いやりを貰い、レーナ姉さんからは…元気を貰った。
みんなには本当に感謝しているよ。
ライ父さんは…見送りには来なかったか。
予測はしてたけど…畑仕事でもしているのかな?
エルフ族の里の皆さんからは…
「アルス君…エレイナを頼んだぞ?…エレイナもしっかり彼をサポートするんだぞ?」
「分かりましたユリウスさん」
「分かっているわよお父様」
「エアリスとクーデルも頼んだぞ?」
「はい」
「御意に」
エルフ族の里の人達が見送りに駆け付けてくれた。
エルフ族の族長のユリウスさんに…その側近のエルフ族の皆さん。
特にユリウスさんからは…激励を貰った。
感謝しています皆さん。
最後にマリア母さんからは…
「アルス…立派に成ったわね…」
「身体や体調には気を付けて…しっかり食べて、しっかり休むのよ?」
「元気に帰って来たら…またあなたの好きなお料理をたくさん作ってあげるわね!」
「うん…ありがとうマリア母さん」
「アルス…」
「ん?…」
優しく抱き締める。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そして…ライゼル村のみんなとエルフ族のみんなに見送られながら、俺とエレイナと侍女のエアリスと執事のクーデルの4人を乗せた馬車は…王都キングダムウォールへと出発した。




