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「兄上!」


 もう少しでお昼に近い時間。

 玄関ホールから大声で叫ぶのは


「やあカイ!お帰り。もしかしてオブランスへ到着して直ぐ来てくれたのかい?」


 次弟のカイディアンだった。

 見ると直ぐ後ろには義妹のシェリーまで居た。


「あんな手紙を送られたら心配で帰れないよ!兄上でも解決出来ない事ってなんだ?何が起きたんだ?」


 呼吸も忘れての言葉の連打だ。

 後ろでシェリーが カイ、落ち着いて! と、なだめている。

 ギルもあれから爆睡していたらしいから、そろそろ起こすか。


 三人を食堂で待つように伝えると俺は、エルの部屋へと向かった。



 エルの部屋の前で深呼吸をし、扉をノックする。


「どうぞ」


 とエルの声が聞こえたと同時に扉が開いた。


「エル、義弟たちとシェリーが到着して食堂で待たせているよ。」

「みんな元気そうかしら?」


 自分の事はさて置き、身内の心配をする。

 そんな彼女の事が好きでたまらない。

 今だに彼女への気持ちが減らない俺はおかしいのか?と、思った事もあったけど、


「そんな人と出会えた私は、本当に幸せ者だと思う」


 シェリーの父で、デル商会会長の言葉が心に刺さった。

 デル会長も亡き奥様を今でも想っている。


(まぁ義弟はその最愛の人との娘と結婚し、かなり扱かれているらしい・・)


「気分はどう?」

「ええ、とても良いわ」


 目元は泣いた跡が残っているが、顔色はとても良くなっている。

 原因がハッキリとし、俺もエルも心の中のモヤが無くなり気分がいい。


「服も急いで作らないとね」

「あまり着る物では無いから、数着で大丈夫よ」


エルをエスコートしながら食堂へと ゆっくり 向かった。




「兄上・・遅いな」


 テーブルの上に置かれた水を何杯も飲んでいるギルに、カイもシェリーも何故か不安になる。

 のに、何故か屋敷の人たちは口元が緩んでいる。


「ねぇカイ?・・なんか屋敷の人たちの機嫌がとても良いように感じるのは私だけかしら?」

「いや、俺も同感だ!シェリーは間違っていないぞ」


 主人である兄が来なければ、テーブルの上の物に手を出さない。

 ギルはこの家の住人だからお構い無しだが・・


「待たせてすまない。エルの準備に手間取っててね」


 義兄が義姉をエスコートして食堂へ入ってきた。

 義姉は少し痩せていたが、それよりも気になったのが


「エルお姉さま!何かあったのですか?」


 そう言って立ち上がり、義姉の側へと駆け寄ったのはシェリーだった。

 シェリーは義姉の変化に気付き、手を貸そうと寄ったのだ。


「ありがとうシェリー。貴女の元気な顔を見れてホッとしたわ。さぁ席に着いて?カイもギルも元気そうね。手紙が届かなかったから、要らぬ心配をしてしまったわよ?」


 姉上も気丈に振る舞っているが、元騎士の俺には誤魔化せない。


「兄上、姉上も何があったんだ?話を聞かなければ食事なんて喉を通らないよ」

「そうだ兄さま!どうして姉さまがそんなにも痩せているんだ!」


 ギルも心配を通り越して怒り口調だ。


「う〜ん、どこから話そうか。エル、結論から言うかい?」

「ええ、そうね。むしろ結論だけでも良いかも」


 二人が顔を合わせ頷き合う。

 そして・・


「結論を言えば、今年の冬には後継が産まれる!って事だ」



「「「・・・・。えっっっっ!!?」」」

エルもルーもあたまが硬かっただけの話でした。


「出来ない!」と思い込んでいた為に、他の人の言葉も受け入れる事が出来なかったんですね。

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