撃退
セイラ達が荒れ果てた城都で炊き出しをしている最中、シエラベールに操られた、フランジアの魔導士達による内乱がはじまった。セイラの護衛騎士である剣帝マリベルと魔族ながらアンブロシアの4魔性に成り上がったファンタムが打って出る。王都リドナを守りきれたのか?
リドナでの炊き出しは、なかなか上手く行かなかった。
母国フランジアを侵略した敵国の施しを手放しに喜ぶ物などいないのだ。
唯一の救いはセイラが国民的にはリーシェとして知られていて、宰相ラーズの妹として人気もあったのだ。
「リーシェさま、なぜ私達を裏切ったのですか?」
「ごめんね。私本当はアンブロシアの第二皇女だったんだ。小さい頃フランジアに拐われてきたの・・・」
それでも何とか炊き出しを受け取ってくれる人は多かった。
「セイラ様お辛い仕事をさせてすみません。セイラ様以外から炊き出しを受け取ってくれるフランジア国民はいませんので・・・」シェスターが済まなそうに言う。
治安に対しては、マリベルがリドナ全域に空間探知魔法を使用して目を光らせている。
マリベルはアンブロシア最年少で剣聖を超える剣帝の称号を受けた逸材である。
不穏な変化は見逃さないのだ。
ライフラインの確保には、現地の人間を雇い整備を進めてはいるが、なかなか協力が得られなかった。
それでも一定数の貧しい国民から最低限協力はえられていた。順調ではないが何とかリドナは復興の兆しが見え始めていた。
マリベルがふっと溜息をつくと、眉をひそめる。
「セイラ殿下、敵襲です。私が敵の足止めをしますので、住民の避難をお願いします。」
市街地では住民が戦闘に巻き込まれない様にする必要があるため不利になるのだ。
マリベルは、瞬間移動魔法を使って戦闘区域へ向かった。
「ファンタムは、マリベルの援護にまわって!」セイラが支持する。
後にこの判断に救われる事となる。
マリベルが敵である野良魔導士の正面に出現、得意の高速剣が一瞬にして数人の魔法師を切り飛ばす。
次の瞬間背後から3人の手練れ剣士がマリベルに迫る。
シエラベールの剣聖達である。
「ガッ キン キュイン」剣と剣が火花を散らす。
合間を縫って魔法師らの魔法攻撃がマリベルを襲う。
かなり危険な状況だが、マリベルは引かない。
瞬間移動・高速化魔法・思考高速化など身体強化を行い、敵の攻撃を回避し一人、また一人と倒していく。
状況はたった一人のマリベルが優勢であるが、突然巨大な雷がマリベルを襲う。
かなり広い範囲で有効な魔法であったため、流石のマリベルも避けきれず左半身に雷を受けてしまった。
「ちっ、やられたか・・・」痛みに顔を歪める。
今度は後方から強力な魔導士・・・魔女の魔法攻撃がくわえられたのだ。
剣聖3人・多くの魔法師に最高位の魔法人類が攻めてきたのでは流石のマリベルも手を焼いてしまうのである。
「よく一人で足止めしてくれましたね。これから私が援護しますから存分に闘って下さい。」追いついたファンタムがマリベルに強力な治癒魔法をかける。
マリベルの周囲には幾重にも結界が張られ十分な余裕が生まれた。
マリベルは瞬間移動で剣聖達の目の前に立ち切り伏せて行く。
まもなく3人の剣聖は、切り伏せられ散っていった。
ファンタムは、紫色の雷を操る魔女バロアに対して、精神魔法で応戦。
このまま破壊魔法同志をぶつけると都市の被害が大きくなる可能性があったのだ。
雷は結界に阻まれ、精神的攻撃に追い詰められたバロアは軍門に降った。
野良魔導士たちが散り散りに逃げていく中に混じってシエラベールの重装騎士団が隠れてるのが発見される。
マリベルは剣に絶対切断の魔法付与を行い、重装騎士に高速で接近!追従して来た騎士を一瞬で切り捨て、全滅に追い込んだのであった。
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