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双子の戦聖女物語り  作者: ばななーど
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再教育

今は亡き母メルティアであるが、アンブロシアの最奥の一室に生体維持装置につながれたメルティアの遺体とメルティアの脳と直接シンクロさせたAIによって、あたかもメルティアが生存しているかのような状況を作り出している。そんなメルティアのAIの目の前に5年ぶりにセイラは見える。メルティアのAIは今まで教育できなかった知識や魔法のコントロール、新たな魔法など目いっぱいの教育を施すのであった。

「さあ、次はメルティアお母様と面会よ!」ルーナはセイラを、城の最奥にある母メルティアの母胎と人工知能のが安置されている部屋に連れて行った。


 メルティアは眼を細め軽く微笑んでセイラを見つめている。


 「お母様!セイラが戻ってきたよ!」


 あの毅然とした物腰のルーナとは思えない幼い子供の様な反応をしめす。


 メルティアの前では、第一皇女ルーナも母親を前にした、幼い子供でしかないのだ。


 そしてメルティアのAIもまた、娘達を前にしてよりメルティアであろうと努力してしているのであった。


 メルティアの身体は培養機の中にあり、生存に必要な全ての魔導技術を駆使して、そこに存在していた。


 そして、メルティアの声にならない声は、培養機に触れる事によって、二人の頭の中に直接聴こえてくるのである。


 「セイラ?大きくなったね。守ってあげられなくてごめんね。でも信じてたよ!きっと私の所に帰ってきてくれるって・・・」


 メルティアは、満面の笑みを讃えて話しかける。ただ、その笑顔は少し寂しげに、儚げな影を落としていた。本当のメルティアは、もうこの世には居ないのだ。


 セイラが拐われたのは、生後半年・・・覚えている筈はないのだが、なぜか涙が溢れて止まらないのだ。 


 「セイラ?これからは一緒にいられなかった分、可愛がってあげるからね。だから、毎日会いにきてね。」メルティアは、またあの儚げな微笑みを見せるのであった。


 メルティアは、皇帝アンゼル、天才魔導師エステル侯爵令嬢を両親にもつサラブレッドで、胎児期に魔力負荷をかける事により突然変異を誘発して母胎内覚醒を誘発させて生まれて来た。


 生後、メルティアは数々の経験を経て三次覚醒の高みに至り、さらには神との聖戦を勝利する為に天使の力さえ取り込んだ、最強の魔女・・・戦聖女だった。


 そして、ルーナとセイラは、メルティアの卵子と二人の恋人の精子を交配した人工受精児なのだ。二人とも最強の遺伝子を受け継いだ戦聖女として生まれて来たのだ。


 とはいえ、セイラはフランジアに連れ去られた5年間の間、メルティアAIの教育を受けていないため、ルーナとはかなりの実力差がついていた。


 AIは、その差を埋めるようにセイラに新しい魔法を教えていく。


 「ティーチ!」メルティアが人材育成の時に使っていた教育魔法を発動させる。


 セイラは、生後半年までに植え込まれた魔法を応用しながら使ってきたのだが、色々と問題があったのだ。


 魔法操作が荒く、無駄な魔力を消費し、魔法効率が悪く応用の幅も狭かったのだ。


 これらの問題点を矯正し、メルティアが得意だった魔法を教え込んでいく。


 それは、聖属性や光属性の攻撃・防御・回復・状態・浄化魔法。空間・時間操作・高速化魔法など無属性魔法。創造魔法も使える様に指導されたが、きわめつけは、ルーナにも教えられていない固有魔法も伝授された。


 そして一ヶ月を経過して、フランジアへの旅立ちの日を迎えたのである。

閲覧ありがとうございました。

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