囚われ
建国祭前日、ルーナがエルネス王子とデートに出かけた後、残ったセイラに魔の手が迫る。二人の王女はその能力が故に、その力を利用しようとする者は後を絶たないのだ。捕らわれたセイラの運命は?
アリオン・マインクラウは、蜘蛛の使い魔を使ってセイラを見張っていた。
ルーナが出払った後に、女子寮に残ったセイラを攫おうという作戦だ。
一方、カーリィ・マインクラウはルーナ不在の連絡を受けて午前中に同じ女子寮に居るセイラを訪ねる。女子寮は建国祭前日でもあり学生達の大半は外出していた。
セイラも午後からは前夜祭の準備に借り出されているが午前中は空いていたのだ。
「はじめまして、カーリィです。午後の準備用の小物を持って来ました。」
ドアを開けて前夜祭に使う魔法具を入れたカートを渡すタイミングで、カーリィはスッとさりげなくセイラの手に触れる。
「あっ・・・」
手には強い催眠効果をもつ毒針が仕込んであり、セイラはただ眠るしかなかった。
運び出す前に例の古代魔封具が腕に嵌められてしまう。マインクラウの計画は粛々と進んで行くのだった。
セイラはマインクラウ邸に運び込まれ監禁されてしまった。
「あれ?ここは何処?」
光の入らない暗い部屋に後ろ手で縛られ簡素なベッドに横たわっていた。
取り敢えず転移魔法で抜け出そうとするが、魔法構成が拡散してしまう。
「あれ?魔法が使えないや・・・」手を縛っているロープを切ろうとするがやはり魔法は発動しない。
まもなくすると、アリオンが部屋に入ってくる。
「ようこそマインクラウ邸へ、ご機嫌如何ですか?」
「最悪です。」
「あなたは、魔法が使えません。もう私の言うことを聞いていただくしかないのですよ。」
「貴方はだれ?」
「貴女の未来の夫になる男です。」
「何言ってるの?私には許嫁がいるのよ。貴方なんかお呼びじゃ無いわ。」
「良いのですか?そんな事言っても・・・。せっかく、ただの実験体になる所を助けてあげようと言うのに・・・」
「・・・私に何をする気?」恨めしそうに上目使いでアリオンを見る。
アリオンは長身で黒髪の短髪で琥珀の瞳が神秘的なイケメンではある。
「そうですね。まずは貴女はもうここから出る事は出来ません。ここでずっと私の子孫を産み続けていただきます。実験体になりたいなら一生貴女は、卵子を採取され続ける事になるのですよ。」
「いっ いやぁ・・・」セイラは目にいっぱいの涙をうかべてアリオンを睨む。
「貴女は美しい女性になります。容姿まで良いとは私も運がいい。だから貴女には特別に選択肢を与えてあげます。私の妻になるか、実験体となるか・・・」
アリオンはセイラの服を強引に剥ぎ取り始める。
「いやあ!やめて!!」泣き叫ぶが誰にも聞こえない。セイラは下着だけのあららもない姿で必死に抵抗するがすぐに押さえ込まれてしまう。
「いっやあああー」
『ドドドドォォン』ものすごい轟音とともに、セイラの身体はボロキレのように傷だらけになり血飛沫が飛び散る。
古代魔封具を破壊して魔力が暴走したのだ。マインクラウ邸は全壊し瓦礫と化す。
その魔力爆発の余韻が、魔封具を通してアンブロシアのシェスターに伝わる。
ものの数分もせずマインクラウ邸上空にシェスターが出現。
「セイラーッ!!」血塗れのセイラを見つけると側に転移。
シェスターは、引き裂かれてボロボロになったセイラの身体を抱き上げ、怒りの咆哮をあげる。「ウアアアアアアアアッ」
マインクラウ邸の周囲、領地の三分の一ほどの範囲はシェスターの凍てつく波動を受けて凍りつき灰塵と化した。
かたやサーフィスは、先日の晩餐会でのマインクラウの動きを怪しんでいた。
動きを察知したサーフィスもすぐに駆けつけていたがその目に映ったものは、セイラを胸に抱きしめて上空に止まる蒼き鬼神の姿だった。
「あぁ これは僕じゃ相手にならないなぁ」サーフィスは呟くのだった。
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