大陸制覇
ついにドナ鬼神国の深部に到達したルーナとセイラであったが、突いてみるとボス以外の敵はラーズが先に撃破していた。とはいえラーズも深手を負ってしまい、戦闘不能になっていたのだ。そして、ドナを覆う呪いを排除し、大陸統一を果たすため最後の戦いが始まったのである。
戦闘が終わり、セイラは慌ただしくマスター達の所を労いに回りながら、効率の悪い治癒魔法をかけて行く。それがまた、仕えている者たちには心温まる時間を与えているのだ。そんな風景も、何故かルーナには苛立たしい時間に感じられていたのだった。
「よう、危なげも無かったな。」シーベルがルーナに声をかける。
唯一シーベルだけが、ルーナの変化に気付いていた。
「貴方は全く仕事してなかったでしょ!」
「してたよ!ルーナを見てた。」シーベルは少し離れて誰かヘマして危険な状況になって居ないかどうか注意していたのだ。
「やっ、あんまり綺麗に踊ってたから、声をかけられんかっただけ。」にっこりとルーナに笑いかける。
「次はちゃんとやんなさいよ!母様に言いつけてやるんだからぁ。」
「そっそれは困るなぁ。ちょっとお嬢様?」一人にするべきではないと判断したシーベルはルーナについていく。
ルーナは誰も見張りをしていないのに気付いて星の見える簡易の見張り台に腰掛けて周囲に気を配る。
「誰も気付かないならそれで良いじゃん。代わりに俺が見ててやるよ。」シーベルがいつの間にか側に座っている。
「ちょっとー、あっち行きなさいよー。」
「俺もさぁ、解って貰えなかたんだよね。誰にもさ・・・。でも見ててくれる人が、解ってくれる人が一人だけいたんだよ。それが、僕の心から愛するメルだったんだ。」
その話を聞いた瞬間、ルーナの胸がズキッと痛むのを感じた。
『あぁこの人は私と同じなのかもしれない。とても器用だから、何をやらせても、誰にも教わらなくても何でも上手く出来てしまう。人の気持ちもすぐに分かってしまう、だからこそ余計なことを言わずに、人に理解を求めずに静かに生きてきた?この人なら、私の事を解ってくれるかも知れない。』
意地をはっていないと言えば嘘になる。でも今まで感じなかった暖かい感情を押さえる事が出来なくなって行く。
この瞬間、メルティアはまたもや娘の恋敵になってしまったのだった。
次の日もドナ国の奥地に進んで行く。しかし敵は何も出てこない。とにかくひたすら侵攻して行くと、奥地には海に面した黒い街が見えて来た。
しかしながら街のあちこちからは煙が上がっており、市街地には多くの大男達が生き絶えていた。街の中心には小さな神殿がありそこにはがれきの山と、ラーズが倒れていた。セイラがあわてて駆け寄ろうとするがシェスターが制止する。よく見ると神殿の中から巨大な魔力を放つヒトガタが這い出てくる。戦闘開始である。
マスター達が一斉に攻撃を仕掛けるが側に寄ることも出来ない。一人、また一人と倒されて行く。
ルーナがセイラを制止して、自ら強大な魔法構成を描き出す。
対魔法ジャミングを超えて魔力が増幅して行く。
「オメガ・フォトン・バースト!」
全てを原子レベルに分解して無に返す最強魔法が唱えられた。これはメルティアの光属性の最強魔法である。
勝負は決まったかに見えたが次の瞬間、対魔法ジャマーが壊れると同時にルーナの魔法が反射して全て自分に返って来たのだ。
咄嗟に闇属性の防御魔法を展開したが間に合わない。これを受けてしまうと、さすがにルーナと言えど助からない。
諦めかけた瞬間、光の閃光が反射した光のカーテンを切り裂いて行く。
「インテグラル・コメット・フレア!」
「姉様は絶対に死なせない!!」
対魔法ジャマーが解けた後にもう一つの光の最強魔法が放たれていたのだ。
セイラの放った、魔法抑制のかかっていない閃光は、反射した光の粒子を相殺して返す刀で神殿ごと巨大な魔力を放つヒトガタを切り裂いていった。
最後は、結局敵の正体は分からなかったもののドナ鬼神国の制圧に成功したのは確かだった。
結局の所ラーズは逃げたのではなく一人で敵の本拠地に乗り込んでいたのだ。全ての大男は倒したものの、敵の本体に返り討ちになったという落ちであった。しかしながら、大男達を一掃した功績によって、ラーズはセイラの補佐兼サーバリオン大陸の宰相に返り咲いたのだ。
ともあれ、今回の遠征で明らかになったルーナの本音の寂しさをセイラの直向きな気持ちで満たせたかは定かではないが、これでサーバリオン大陸の制覇が実現したのである。
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次回からは世界最大の大陸の魔法学院に入学して色々な経験を積んでいくストーリーとなって行く予定です。引き続き閲覧者一人しかいないけど頑張って書いていきます。宜しくお願い致します。
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