交渉
「ではあっしがとどめを刺しやしたんでテゴウ村の領地はあっしがいただきやすね」
「それについては構わないがテゴウ村の村人は集落側に譲ってもらおうか?」
オズのことだ。アルフレに聞いた話によればかなりの金を請求するらしいからな。村の方はとられても人はこちらがもらわねば。
「あきまへんあきまへん。あんさんばかでっか?人というのは金になるんでっから」
「だめだだめだ。これだけは譲れん」
俺はオズに言うとオズは俺の方にゆっくり歩いてきて
「あんさんほんまに馬鹿でっか?あっしがビーナにとどめさしたんですから手柄はどう見てもあっしのもんでしょうよ」
「は?追いつめたのは俺だ。なら俺の言い分もちゃんと通してくれなきゃな」
俺はオズに言うとオズは
「だからあんさんは生かしてかえしてあげますようにしますって。それだけで充分じゃないでっか?村人のとりあいとなると話は変わりまっでー」
オズは体格に似合わない小ぶりな剣を握ると
「別にあっしは今あんさんをここで殺してもいいんでっせ。それかそこの弱っているジョーはん?でしたかな。そいつを殺してもあっしはいっこうにかまいやせんがあんさんはそうではないでっしゃろ?」
くっ。たしかに俺は1人なら何とかなるがそれなりにビナー戦で力を使ったからな。守りながらとなると少し武が悪いか。
「全くせわのやける。追いついてみればジョーのやつ倒れているじゃないの」
ちょうどヨトリがジョーの近くにまでたどり着いてぼやいていた。
「ナイスタイミングだヨトリ。ジョーを連れて先に集落に戻ってくれ。チドラのやつも見かけたらついでに頼む」
「は?何で私があんたの言うこと聞かないといけないのよ。私は私の好きに動くわ。まずはジョーは連れて帰るしチドラも見かけたら集落に戻れって言うわ」
いやそれ俺頼んだことまんまじゃねぇか。まぁこの際やってくれんなら何でもいいや。
「わかった。ヨトリの好きにしていいから頼んだよ」
「ふ。言われなくても」
ヨトリはジョーを担いで俺の前から去っていき、俺とオズは向き合って
「これで俺はお前とすきに戦えるわけだがどうする?」
「・・・仕方ありまへんな。こちらが折れましょうか。村人も譲ります。ただし領地だけは譲りまへんで」
オズは剣をおさめてやれやれという顔をしながら俺にいい、俺も思わず戦わなくて済んだので安心して一息ついてしまった。




