虚仮死 -コケシ-
ぼ、ぼ、ぼぼぼ僕は、悪くない。悪くないんだ!!
僕じゃなくて、あいつらが悪いんだよ。
あいつらが、僕を変な目でみるから。
あいつら全員、僕を馬鹿にするんだ。
いつもいつもそうなんだ。
みんな、僕を駄目な人間だって。
え?いや、そう直接言われた訳じゃないけど。
僕には分かるんだよ。
うん、うん。そう。馬鹿にされた。馬鹿にされたんだ。
みんな僕を見下すんだ。蔑んで、自分はこいつよりはマシだって。
分かるんだよ。
みんなみんな。もうこんな世界は嫌だったんだ。
だから、だから僕は!!
ち、ち、違う。
確かに、みんな消えてしまえとは思ったよ。
思ったけど、僕は何もしていない。
な、何だよ!!
思うだけなら僕の勝手だろ!!
こ、この国には、思想の自由ってものがあるんだからな!!
な!!なんだよ!!お前も僕を馬鹿にするのか!!
え?違う?じゃ、なんだよ。何で僕に話しかけたりするんだよ。
え?
どこ?
あれ、ほんとだ。
何でこんな所にこけしが。
え、欲しいの?これが?こんなものが?
……………いいよ、君は、本当に僕を馬鹿にしてないみたいだからね。
ほら、あげる。
うん、じゃあ。
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○年10月。
I県のとある高校、グラウンド隅にて。
霊斗【れいと】記す。