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第6話 選んだ道
ハゲ男の選んだ道。それはモデルだった。
坊主時代に鍛えたおかげで、顔は精かんな顔つきで、からだは細身。
すぐにオーディションに合格した。
ワイルドで細身の繊細さ。
ハゲ男は、オオカミ男子と呼ばれた。
そしてもう一つ。ハゲ男はカツラをかぶっていた。
オシャレなカツラ。そう、自費でオリジナルのカツラをかぶっていた。
それがまたかっこいい。
しかし、ある事件が起こった。
それはあるモデルショーの出来事だった。
気持ちが乗り、激しい動きをした時に、カツラが落ちたのだ。
会場はざわついたが、ハゲ男は気にしない。
カツラを音楽に合わせ、エレガントにすくいあげ、退場していく。
その次の日、スポーツ新聞の一面は、「オオカミ男、カツラだった」である。
一気に、ハゲ男の話題で持ちきりになった。
しかし、ハゲ男は動じなかった。
ワイドショーのインタビューに応じる。
それは淡々としたものだった。